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第53話 思い出(終話)

 パトリックがアンディの側近になった。

 以前、パトリックのお父様が騎士をしていて、責任を感じて騎士を辞めたというのは聞いている。

 その所為なのか、その後パトリックは魔法学院を辞めていた。

 一緒にいた期間は短かったけど、アンディと仲良くしていたのは憶えているわ。



「アンディ殿下はいらっしゃいますか?」


 パトリックが、アンディを探しに私の部屋までやってきた。


「アンディ、《《また》》何処かへ行ったの?」

「ベル妃殿下、お手数を掛けます。見かけたら戻るように言ってください」

「分かったわ。大変ね。パトリックも」




 パタパタ…。

 足音が徐々に遠のいていった。


「助かったよ。アイツが、あんなに厳しいとは思っていなかった」


 ベッドの奥に隠れていたアンディが、顔を覗かせる。


「早めに戻ってあげなさいよ?彼が可哀そうじゃない」

「俺は可哀そうじゃないのかよ」


「王城中を探し回るなんて大変よ?この建物は結構広いのだから。逃げるのはほどほどにしておきなさいな」

「仕事が多くて、やってもやっても終わらないんだよ。兄貴たちは誰も手伝ってくれないし酷いと思わない?」


 私とアンディは結婚して、一緒に暮らしている。

 相変わらず広い王城に住んでいるのだけど。

 アンディは仕事が大変なのか、時々逃げてくる。

 困ったものね。


 アンディは事務処理をしているらしい。

 第一王子や、第二王子と違い国の行事にかからなくても良い代わりに、裏方の作業を主にしている。

 もちろん大事なところは、国王が自らやっているらしいけどね。


「私もそろそろ仕事に戻らないといけないから出るけど…早く戻ってあげなさいよね」


 私はアンディに声を掛け、部屋を出た。



 午後の休憩時間を終えて、王城内の教会に戻る。

 白いローブを付け、身支度を整え礼拝所に向かった。

 聖女としてお祈りをする為だ。

 あとは、オルデガがポーションが残り少ないって言っていたから、また作らないといけないわね。


 廊下を歩くと、通りすがりの侍女に頭を下げられる。

 初めは気恥ずかしかったけれど、すっかり慣れてしまった。


 少しはアンディのお嫁さんらしくなったかしら?



「ベルちゃん~」


 ほんわかとした声が廊下に響いた。

 遠くから手振っているマリアンヌ王妃が歩いてくる。


「またお茶をしましょう。今度はマリーと一緒に」


 マリアンヌ王妃は、元聖女のマリー様とも親しいらしい。

 マリー様は光魔法のお師匠様だ。

 ここでは嫁姑とかの争いは全く無くて、穏やかに過ごしている。


「はい。是非楽しみにしています」


 私は笑顔で答えた。

 

 そういえば、最近実家もほとんど帰っていなかったわね。

 今度休暇を取ったら、帰ろうかしら。

 アンディのお母様のご様子も気になるし。




「え?実家に帰る?まさか王城が嫌になったとかじゃないよね?」


 アンディが、驚いた様子で訊いてきた。


「実の親が心配だから、様子を見に行くだけよ。あと、貴方のお母様のご様子も気になるし」

「じゃあ、俺も一緒に行くよ」

「そうね。そのほうが良いわね」



      *



 数日後。

 私とアンディは馬車に揺られて、懐かしのルルムへ向かっていた。

 緑の景色が多くなり、畑が見えてくる。

 住んでいた時はそうでも無かったけど、離れると実家の街も良いものね。


 ふと、アンディと初めて会った時を思い出していた。

 可愛らしい群青色の髪の男の子。

 森の中で初めて見て驚いたわ。

 まるで本に出てくる王子様かと思ったの。


「ベル、今何を考えてた?」


 まさか大きくなって、結婚するなんて思ってもいなかったけど。

 それが、本当に王子様だったとか信じられないわよね?


「内緒」

「内緒って…余計気になるよ」


 私の後を追いかけて、学院に入学した彼は初めて会った時から、私の事が好きだったらしい。


「貴方がよく知る男の子の事よ」

「ふうん?」


 背が伸びて体が大きくなったけど、ぷくっとむくれた顔をする彼は、あの頃と変わらない。

 お菓子が大好きな男の子。 

 幼いころから、一緒だったあの頃のままね。




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最後まで読んで頂きありがとうございました。


楽しんで頂けましたでしょうか?


宜しければ評価の★を付けてくれると幸いです。


次作は「猫と二人で異世界生活」の続きを書く予定です。


良かったら読んでくださいね。^^

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