第50話 結婚の報告 1
***アンディ・ロードス・ウッドストック 視点
「おめでとう。アンディ、結婚するんだって?」
兄のルベリオスが、城の廊下で声を掛けてきた。
「ああ、うん。そうなんだよ」
「お前が一番年下だけど、兄貴たちよりも結婚が早いなんてな。ところで誰かいい女知らないか?」
ルベリオス兄は俺と同じ王子なので、婚約の申し込みはあるのだけど。
軽い性格が災いしてか、相手から断られてしまう事が多い。
ほとんどが政略結婚の申し込みなのだろうが。
「俺はそういう知り合いは居ないから紹介できないよ」
「え?お前顔が良いんだし、学院でモテていたんじゃないか?ベルちゃんみたいな優しい女の子とか…」
「ちょっと兄貴、まさかベルを狙ってないよね?」
「まさか、他人の物をとったりしないよ」
「まあ、社交パーティとかで探すしかないんじゃないの?」
「オレああいう所、正直苦手なんだよ。特に相手が何考えているか分からねーからな」
俺も苦手だ。
数年前に数回行った事はあるが、ギラギラとした雰囲気で落ち着かない場所だ。
身分を隠して行ったら、知らない相手から話しかけられたりして怖かったな。
ドレスで着飾っている女性たちが野獣の様に思えた。
良い相手を探すために、毎回行っている人もいるらしいけど、出来れば二度と行きたくはないかな。
*** ベル・クリスタル 視点
「やっと結婚するんだねー」
「やっとって私まだ15歳よ」
「王族同士の結婚だったら早くないよー」
「私、一般貴族なんだけど…」
私は結婚する報告にセレナの店を訪れていた。
セレナは学院を卒業後、家業を手伝う事にしたらしい。
「ねえねえ、今流行りのドレスなんだけどどう?」
隙あらば、私に商品を勧めてくるところは流石ね。
「あーうん。素敵だけど、私には派手過ぎて似合わないかも」
セレナの手には薄いピンク色の可愛らしいドレス。
小さい子供が来たら可愛いんだろうなぁ。
「ベルったらいつも地味な服しか着ないのだもの。たまには華やかな服を着ても良いと思うんだけど…それに凄く似合うと思うなぁ」
「そうだねえ。ベルちゃんにはこのくらい可愛らしいのが似合うと思うよ」
セレナのお母さんも勧めてきた。
「そう…ですか?」
「まいどあり~♪」
「ちょ、まだ買うって言ったわけじゃ…」
「せっかくだし、ベルちゃんに結婚祝いとしてプレゼントするよ。ほら、今、着替えて殿下に見せてあげなよ」
今日は二人で街に来ていて、馬車の中でアンディが待っているのよね。
セレナのお店は女性物の服が多いから、入りずらいみたいで。
セレナのお母さんに貰うのも悪いので、購入するって言ったのだけど。
結局、セレナのお母さんに洋服を貰ってしまった。
「「可愛いじゃないか、見直したよ」なあーんて言われるかもよ?」
セレナはわざと声色を低くして、アンディの真似をする。
「そんな事ないってば」
なんて言いつつ、服を着替えたらアンディは何か言ってくれるんじゃないかしら。
反応が楽しみになってきたわ。
「お待たせしてごめんなさい」
本当に待たせてしまっていたわ。
着替えた後に、セレナにメイクをされてしまった。
それが、思っていたよりも時間がかかって…。
私は急いで馬車に乗り込もうとしたら。
「来る時と、何だか雰囲気変わったよね。さらに可愛らしくなったというか…まるで花の妖精みたいだ」
アンディがとんでもない事を言いだしたわ。
妖精って何言ってるの?
「お、大げさなんだから…」
私はぎゅっと、彼に抱きしめられていた。




