第47話 白いローブ
「ベルー!お久しぶりーー」
久しぶりに学院に来ると、教室でセレナに抱き着かれた。
「うん。久しぶりね」
「休みの日はどこかへ行っていたの?寮に遊びに行ったけどいつも留守だったから」
「えっ?何度か寮に来ていたの?」
悪い事をしちゃったわね。
寮長には城に行く事を伝えてはあったけど、その事が伝わらなかったのね。
「王城へ行って家庭教師を付けてお勉強をしていたのよ。ほら私とアンディしばらく学院をお休みしていたじゃない」
「ああ、そういえばそんな事もあったねって…ベルって真面目なんだねえ」
周りを見ると、みな久しぶりに友達に会って喜んでいる。
騒動が収まって本当に良かったわ。
「よ!久しぶりー」
「殿下…」
「パトリック、他人行儀だな。アンディって呼んでくれよ」
パトリックが椅子に腰かけていると、アンディが声を掛け肩を叩いていた。
パトリックのお父様は謹慎中だって言ってたっけ。
街の被害も少なかったみたいだし、何事も無くて良かったわ。
*****
三年後―———。
私たちは学院を無事に卒業した。
私は15歳になり、アンディは17歳になった。
アンディは卒業後、王城で公務の手伝いをするらしい。
第六王子なので、王位継承はほぼ無いから気にしなくて楽だとか。
稼業が王族なんて人、滅多にいないけどね。
今、私は教会の祭壇の前でシスターマリーと向き合っていた。
珍しく神妙な面持ちで、マリーが口を開く。
「魔法学院、卒業おめでとうございます。学院と教会に通いながらの三年間は大変でしたね。卒業祝いという訳ではありませんが、新しいローブを用意致しました」
シスターマリーからお祝いの言葉が掛けられ、白いローブを手渡される。
光沢があってサラサラしていて丈夫そうなローブだわ。
「有難うございます。高価そうな物ですが頂いてもよろしいのですか?」
「今まで、頑張ってきたのですものこれくらいはね。
コホン、ベル・クリスタルさん。今日で教会の修行は終わりです。明日からは聖女として王城で働くことになります」
「えっ?私が聖女ですか?」
「もうとっくに聖女としての資質は満たしていたのだけど、学院の卒業を待っていたのですよ。その方が、キリが良いでしょう?」
確かに王城に勤めながら、学院に通うのは少し無理があるわ。
シスターマリーはその事を考慮してくれたのかもしれない。
*
次の日。
私は王城へ出向いていた。
「おはようございます殿下」
「お、おはよう…ってええっ?」
私は、王城の廊下ですれ違ったアンディ殿下に挨拶をした。
アンディは私を見て戸惑っている。
昨日は会えなかったので、聖女になったと言う機会が無かったのよね。
アンディはずっと王城に居て、気軽に会える人では無いし。
「べ、ベル?何でここに?…それに今更そんな呼び方…ああそうか。これから王城へ勤める聖女って君の事か…そうか聖女になったんだ」
「それでは失礼いたします」
「あ、ああ」
これから、王様の元へ行って挨拶をしなくてはいけない。
私はアンディに頭を下げて、その場を離れた。
*** アンディ・ロードス・ウッドストック視点
驚いた。
まさかベルに王城内で会うとは思ってもみなかったから。
てっきり教会で修業をしているとばかり思っていたので、今日会いに行こうと思っていたのだけど。
「はぁー全く、心臓に悪いな」
胸がドキドキして鳴りやまない。
すっかり油断していたよ。
白いローブを纏った彼女は、さらに美しく輝いて見えた。
元々可愛らしい感じだったけれど、最近はもっと大人っぽくなってキレイになった気がする。
俺の気の所為ではないはずだ。
「殿下、大丈夫ですか?顔も赤いですし、お体の具合でも??」
しばらく呆けていると、お付きの侍女に心配され声を掛けられる。
「ああ、大丈夫だ。心配しなくていい」
おっと、俺は執務室へ行く途中だった。
早く行かないと兄たちに怒られるな。




