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第46話 王妃様とお茶会 2

「ベルちゃん。これから家族になるのですものね。仲良くしましょ?周りは何故か男の子ばかり多くて…女の子が欲しいと思っていたのよね」


 王妃様は、思っていたよりも親しみやすそうだわ。

 それともアンディと婚約したから私に優しいのかしら?


「今、王都では何が流行っているのかしら?」

「そうですね…友達に訊いたところによると…」


 王妃様は、立場上外出が難しいらしい。

 そりゃそうよね。

 だけど、ずっとお城の中では息が詰まってしまう。

 珍しい話を聞きたくて興味津々の様子だわ。


 しばらく王妃様と話しているうちに緊張が解け、和やかな雰囲気になってきた。

 ルベリオス殿下の表情も和らいでいる。


「それで、貴方たちの出会いはいつ頃からなの?アンディったら全然教えてくれないのだもの」


「確か、私が五歳くらいの頃ですね…」


 あの頃は、まだ母が生きていた頃だったわね。

 平民出身の母は、近くの森へ山菜取りによく出掛けていたっけ。

 その時にアンディに初めて会ったのだ。


「えっ?そんな小さい頃に?どおりで王城に帰りたがらないはずよね」


 王妃様は、何を言っているのだろう?

 私が首を傾げていると。

 ルベリオス殿下が、ティーカップに口を付け補足する。


「アンディは、ベルちゃんに一目会った時から惚れていたらしいよ。以前に惚気話を聞かされた事があってね」


 そ、そうだったの?初めて聞いた…。

 私が目をまん丸くしていると、ルベリオス殿下に「あれ?知らなかったの?」と言われてしまった。


「…当時、エリザベス(アンディの母親)が王城内で命を狙われて、王城の別宅にしばらく息子共々避難していたのよ。しばらくしてから、大丈夫になったのだけど…

 アンディは王城に戻るのを拒んだのよね。どうしてかしら?と常々疑問に思っていたのよ。きっとベルちゃんから、離れたくなかったのね。こんなに可愛いのだもの無理ないわ」


 王妃様は、私を見てニヤニヤしていて、ルベリオス殿下は「羨ましい」と呟いていた。




「…王妃様、何をやっておられるのですか」


噂をすれば、当の本人が歩いてきた。

息を切らして、額から汗が流れてハンカチで拭っている。


「アンディ!真面目に走って来たか?」


「走ってきたよ…と言いたいところだけど、途中で止めてきた。何か嫌な予感がしたから」


「貴方がちっとも彼女を紹介してくれないから、ベルちゃんとお話していたのよ。ほら、アンディもこちらに座ったらどう?」


「分かりました…」


 俯いて、アンディが私の隣の椅子に腰かけた。

 

「話って、一体何を話されていたのですか?」


「王妃様に、私とアンディが最初に会った頃の事とか…」


「えっ…そ、そうなんだ…それだったら、最初から俺を呼んでくれれば良かったでしょう」


 アンディの頬が少し赤くなった。


「ベルちゃんと直にお話したかったのよね。貴方をどう思っているのだとか…色々聞きたかったのだけど」

 

 王妃様がチラリと私を見る。

 どうやら、根掘り葉掘り聞かれるところだったみたい。

 アンディが来てくれて助かったわ。


「王妃様、ベルはまだ初めて会ったばかりなのですよ?勘弁してあげて下さい」


「ええー良いじゃない。結構仲良くなったと思ったのだけど。あとアンディ。前から言っているように、私の事はマリアンヌって呼んでちょうだい。王妃だと他人みたいじゃないの。…全く、エリザベスも城に帰ってくれば良いのにね」


「…分かりました」


 アンディは、ルベリオス様とは親しく話をしているけど、王妃様とは難しい距離感なのかもしれないわね。

 アンディのお母様は側室で、王妃様は本当の母親ではないのだし。

 王妃様は、アンディと親しくなりたいのかしら。


「アンディも色々と大変なのね」

「何が?あ、このクッキー美味しいから食べてみなよ」


 アンディは、クッキーを一つ手に取り、私の口の中に入れる。


 サクッ。

 クッキーが口の中で溶けた。


「本当だわ。サクサクしていてすっごく美味しい!面白い食感ね!」

「でしょ?」


「あら、まあまあ…」

「堂々としてるよな。ある意味凄いよ」


 私は一瞬、王妃様とルベリオス殿下が居る事をすっかり忘れていた。


「す、すみません」


 つい、いつもの癖でやってしまった。

 恥ずかしい。


「ベル、何で謝るの?別に良いじゃない」


「イチャイチャするのも、せめて二人きりの時にしてくれ。彼女が居ない今のオレには目の毒過ぎる…」


「別に、可愛らしくて良いじゃないの。ラブラブなのも今のうちだけなのだから。二人で沢山楽しんでおきなさいね。はぁー、あの頃が懐かしいわ」


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