第43話 教会のお勤め 1
私は王都の教会へ来ていた。
教会へは、魔法を教わるために何回か来ているのだけど。
堅牢な三角屋根の大きな建物を見上げる。
一か月近く王都を離れていたので、久しぶりだわ。
受付と書かれた入口で声を掛けた。
「こんにちは。ベル・クリスタルです。マリー様に言われて手伝いに来ました」
「ああ、いらっしゃい。お待ちしていましたよ」
20代くらいのシスターに迎えられる。
「魔法学院の生徒さんなのよね?回復魔法が使えるとか。一応、服だけ着替えましょうか」
確かに一人だけ、普通の服だったら浮いて変に思われるものね。
私は奥の小部屋に通された。
「サイズは小さめがいいかしらね」
紺色の祭服が、幾つかハンガーにかけられていて用意してもらう。
当たり前なのだけど、シンプルで地味なデザインだわ。
「裾が長い…袖も…」
「可愛らしいですね。とってもお似合いですよ」
服が大きくて、ダボついていて子供っぽく見えるわ。
背が小さいのでワンピースの裾はどうしても長めになってしまう。
辛うじて、ひきずらないけど…長すぎないかな。
短いよりは良いか。
背が伸びれば似合うのかもしれない。
まだ、成長期だしきっと大丈夫。
「着替えられたかしら。それでは、他の職員に紹介するわね。一緒にいらっしゃい」
私は、シスターの後を付いて行くと祭壇の方にシスターや神父が集まっていた。
「今日から、一緒に働くことになりました。ベル・クリスタルさんです」
シスターから、皆の前で紹介されて頭を下げる。
そういえば、マリー様以外の聖職者と顔を合わせるのは初めてだわ。
*** アンディ・ロードス・ウッドストック 視点
「それで、青い魔女の行方は見つかったか?」
俺は王城に着くと、自室で騎士から報告を受けていた。
行方不明の、アルト商会オーナと青い魔女は見つかっていない。
もしかしたら一緒に行動しているのかもしれないな。
なんとなくだが、そんな気がする。
「ヴァネッサは見つかっておりません。アルテーンの居場所も同様です」
「そうか…」
そんなに簡単に見つかる訳はないか。
学院が始まる前に捕まえた方が良いと思うのだがな。
「今回は、珍しく熱心にしておるのだな」
「父上」
「今回ばかりは、学院のクラスメートが被害に遭いましたので。出来れば早く捕まえたいですね」
白いマントをはおったヴィック王が姿を見せる。
ベルと同じ色の見事な銀髪が、少し羨ましく感じた。
俺は母親似で、髪色が群青色だからな。
「勉強もそのくらい熱心だと良いのだがな、教師から報告を受けておるぞ。学院が休みなのだろう?遅れた授業分を婚約者と城で勉強するとよい」
実技は好きなのだけど、座学が苦手なんだよね。
前回は実技のテストだったから良かったけど、筆記試験だったら散々だろうな。
「苦い顔をするでないわ。座学も意外なところで役に立つものだからな。教師を城に呼んでおいたから好きな時に始めればよかろう」
顔に出ていたらしい。
俺、嘘をつくのが苦手なんだよね。
「もう、教師を呼んだのですか?では、勉強は確定ですよね」
「もちろんだ。休みは一週間程度らしいから丁度良いでは無いか」
どうやら勉強は避けられないようだ。
しかし、一か月分を一週間とかって少し無理があるんじゃないだろうか。
「ご配慮ありがとうございます」
俺は頭を下げる。
父上は一国の王で、命令には逆らえない。
「愛しの婚約者と勉強をする方が、はかどるであろう?」
「「ち、父上!」」
ヴィック王の口元が緩み、顔がニヤニヤしている。
俺は顔が熱くなり、思わず叫んでしまった。




