第31話 魔法の試験 1
実家に帰ってから数日が過ぎ―――。
私とアンディは学院の寮に戻っていた。
アンディは王城から学院に通うかのと思っていたけど、寮の方が近いから便利なのだろう。
馬車で、登校するのが目立つから嫌だとも言っていたわね。
生徒の中には馬車で通っている人もいるから、あまり目立たないとは思うのだけど。
もう今更じゃないかしら?
私は、地味な茶色のワンピースにそでを通し着替える。
安物だけど、着なれている服が一番落ち着くわ。
寮を出ると、アンディが入り口で待っていた。
「学院を休み過ぎだわね…授業についていけるかしら」
歩きながら、アンディに話していた。
これから久しぶりにクラスメートに再会する。
何週間ぶりかしらね。
「まあ、何とかなるんじゃないの?」
「家庭教師を付ける」とか言ってたし、多分何とかなるのだろうけど。
もちろん私にも教えてもらえるのよね?
寮から数百メートルの学院へ着き、建物内へ入る。
廊下を歩き、教室に足を踏み入れると一斉に注目された。
何だか、恥ずかしいんですけど。
「アンディ、私たち注目されているわね」
「そうだね」
一か月近く登校してなかったからね。
珍しくて見られてしまうのは仕方がない。
ガバッ!
私は、久しぶりに会ったセレナに抱きつかれていた。
「ベル、婚約おめでとう!アンディくんが王子様だなんて知らなかったよ」
セレナの一声で、教室内は騒がしくなった。
「あれ、王子様って噂本当だったの?」
「信じられない」
「凄えな」
「そういえば…」
ザワザワとクラスメートたちが喋りだしていた。
まさか、クラスに王子様がいたなんて思わなかったわよね。
動揺するのも分かる気がする。
私だって、未だにアンディが王子様っていうのが信じられないもの。
パンパン!
ラン先生が、教壇で手を叩いた。
「皆さん!席について!始めますよ」
騒がしい教室が、一瞬で静かになった。
「久しぶりの生徒もいますが、特別扱いはしませんからね。今日は実技の試験です」
えええっ?
テストですって?
聞いていないわよ…。
隣のアンディを見るが、突然の事で驚いているみたい。
テストって一体何をするのかしら?
「驚いた…久しぶりに来てテストとか。どうしようかベル?」
「どうしようもないわね。実際、何をするのかしら」
前もって知っていれば、練習のしようもあったのだけど。
準備も何も出来ていないわ。
点数が悪くても仕方がないわね。
座学のテストじゃないだけ、ましなのかもしれない。
「ラン先生容赦しないね。少しは、ベルたちをかばっても良いのに」
セレナが呟く。
学院に来て、いきなり不安な気分になった。
顔をしかめていると、アンディが背中をくすぐってくる。
「な、なにするのよ…くすぐったい」
「ベルは笑顔の方が似合うよ」
自分も不安だろうに、私の事を気遣ってくれていたみたいだ。
*
場所を移動して、外の演習場へやってきた。
初めて来た場所だわ。
「ベルたちは演習場へ来るのは初めて?ここで教師たちが採点をするらしいよ」
広い敷地に丸い的が立てられていて、魔法を当てるみたいね。
難しいテストじゃなくて良かったわ。
「あたしたちは何回か練習してたから良いけど、ベルとアンディくんは初めてだよね。大丈夫?」
「大丈夫じゃない…正直不安だ。俺、魔法苦手なんだよな」
俯いてアンディが弱音を吐いている。
頭を抱えて、深刻そうだ。
先ほどの元気は、何処へ行ったのだろう。
「でも、基礎魔法はある程度出来るんでしょ?」
「そりゃ、ここに入るときに散々練習したからな」
彼は、剣の方が得意って言っていたものね。
「せめて、剣術とかだったらマシだったんだがなぁ」
「ふうん?じゃあ、前の学校へ戻ったらいいじゃない」
アンディの目が、点になっていた。
しだいに顔が青ざめる。
「…ご、ごめん!そんな事言うつもりなかったんだ。俺はベルを追いかけてこの魔法学院へ入ったんだよ。知ってるだろ?もうこんな事言わないから…」
アンディは、狼狽えていた。
私は、腕を組んでわざと顔を逸らす。
「ベルって…何だか凄いね」
「そう?」
何故かセレナが、感心したように呟いていた。




