第27話 謁見 1
私はアンディと二人で、王様にお会いする事になった。
婚約する事を報告する為だ。
王子様の婚約者が私で大丈夫なのかしら?
自分に自信が持てない。
アンディは問題はないと言っていたけれど…。
「とてもお綺麗ですよ」
王城の侍女さんが、私を褒めてくれた。
ドレッサーの鏡で自分の姿を見て驚く。
お化粧すると、こんなにも変わるものなのね。
頬に触ると、サラサラとした肌の質感。
銀髪も丁寧にとかされて艶々と輝いている。
赤い口紅を付けると、見たことのない私がいた。
「お化粧はほとんど付けていませんよ。まだお若いですからね。ドレスもとてもお似合いです」
以前、街で買った水色のドレスを着てクルリと回る。
ふわりと空気をはらんで羽のように軽い。
元々、お城へ行くために購入したものだったけど。
お店に頼んで、王城に届けてもらっていた。
これから、アンディと一緒に王様に初めて会いに行くことになっている。
失礼のないようにしないといけないわ。
コンコンコン。
「ベル、入って良い?」
「どうぞ」
「今日は謁見の間じゃなくて、自室って言って…」
水色の瞳が大きく見開かれる。
「ベル…だよね?凄くキレイ…天使みたいだ」
「て、天使??大げさだわ」
そう言った彼の装いも、始めて見る服装だわ。
群青色の髪に、落ち着いた青色のジャケットに白いシャツで凄く爽やかな印象。
普段着でもカッコいいのに、キラキラして眩しい。
「うわー。すっごい可愛い!お前が連れてきた人ってこの人?」
アンディの後ろに、水色の髪で琥珀色の瞳の青年が立っていた。
少しシャツを気崩して、気だるげに立っている。
「ちょっと、兄貴失礼だろ」
「ああ、失敬した。オレは第五王子のルベリオス・ロードス・ウッドストック。アンディの兄だ」
「私は、ベル・クリスタルです。アンディ殿下とは親しくさせて頂いています」
私は、ドレスの両端を軽く摘まんでお辞儀をする。
「そういう堅苦しいのはいいからさ。君の事、聞かせてよ」
「兄貴は軽すぎるんだって」
兄弟っていいわね。
一人っ子だったから羨ましいわ。
私はクスクス笑った。
「ベル?笑っているけど、俺たち何かおかしかった?」
「ほら、私って一人っ子だから、良いなあって思って見てたのよ」
「こいつと結婚すれば、もれなく兄貴たちが付いてくるよ?残念ながら女子は居ないけどね」
ルベリオスは、アンディを親指で指さした。
「妹!一人いれば可愛がっただろうね」
「ばっかだなぁ。これからオレたちの妹になる人が目の前にいるだろうが」
*
「じゃあ、そろそろ行こうか。兄貴またね」
「おう。またねベルちゃん」
私は、アンディと手を繋ぎ廊下を歩いて行く。
廊下で、すれ違う侍女たちがみな頭を下げている。
彼女らは、王族のアンディに頭を下げているのね。
「ベル、大丈夫?顔色が悪いよ」
「うん…緊張しているのよ」
初めて王様と会うと思ったらドキドキしてきた。
私、変な事言わないだろうか?
婚約を取り消されてしまうのではないか?
悪い事ばかり想像してしまう。
いっそ、この場から逃げてしまいたい。
胃がキリキリと痛む。
「大丈夫だから。落ち着いて?今回は謁見の間じゃなくて、自室だから他の大臣たちはいない。君は挨拶するだけだからね」
「う、うん」
私は、アンディの手をしっかりと握っていた。
*
コンコンコン。
「アンディです。入ってよろしいでしょうか」
「入れ」
「失礼します」
私は、失礼のないように頭を直ぐに下げる。
「ああ、よい。公式の場ではないからな。顔をあげてくれ」
恐る恐る顔をあげて、声の主の姿を確認する。
ゆったりとしたソファに腰かけて、寛いでいる銀髪の中年男性。
「二人とも立っていないで、そこのソファに座りなさい」
穏やかに言葉が掛けられる。
優しそうな水色の瞳で私たちを見ている。
この方が…王様。
ヴィック・ロードス・ウッドストック。
私は、アンディと共に指定されたソファに座った。




