第22話 告白
*** シスターマリー 視点
「殿下は、彼女をこれからどうなさるおつもりですか?」
ベルが眠りについた後、殿下とわたしは別室に移動した。
部屋の中は暗く、窓から月明かりが漏れている。
侍女が、燭台を持ってきてテーブルに置いた。
「どういう意味だ?」
「このまま王城で、一緒に暮らしたいと思っておられるのでしょう?ずいぶんと執心のご様子でしたから」
最初に教会に見学に来た時、彼はベルとだいぶ親しくしている様に見えた。
殿下は、窓の外に視線を向けて月を見ている。
夜もだいぶ更けてきている。
「そうだな。ここならば、襲われる事はないだろう。それに神官もいるから、聖女として魔法の練習も出来る」
「教会ならば、元聖女が手取り足取り教えられますよ?それに今まで通っていた学校はどうするのですか」
「講師を王城へ呼べばいいだけの事だ」
「せっかく、教えがいのある生徒なのに(わたしから)取り上げるなんて酷いじゃないじゃないですか」
わたしは殿下の顔色を伺う。
何十年かの逸材を逃したくない。
またいつ機会が訪れるのか分からないのだから。
「マリー聖女が、王城へ通えば良い事だろう」
「…分かりました」
殿下の言う事には逆らえない。
「もう夜も遅い。今日は城へ泊まっていけ。部屋を用意させる」
「お気遣いありがとうございます」
わたしは深々と頭を下げた。
*** ベル・クリスタル 視点
「んー良く寝た」
ふわふわのベッドで、ぐっすり眠れたみたい。
寮のベッドよりも柔らかくて快眠できたわ。
機能性重視の寮のベッドは悪くはないのだけど、屋敷のベッドより硬いのよね。
最近はだいぶ慣れてきたのだけど。
「えっ」
視線を下に移すと。
椅子に腰かけて、ベッドにうつ伏せになって寝ている群青色の髪が見えた。
一晩中ここにいたの?
流石に眠くなったら、自室に帰るかと思ったのに。
「アンディ!」
「ん?おはよーベル」
アンディは、眠そうな目をこすりながら、ふわふわとした表情で挨拶をする。
「貴方、ちゃんと眠れていないんじゃないの?一晩中いなくても大丈夫だったのに」
「だって、ベル泣いてたし。俺が一緒にいたかったんだもん」
「ふあああ」
彼は、欠伸をして腕を伸ばした。
「そっか…」
昨夜、アンディは道也の生まれ変わりだったって聞いたんだっけ。
夢を見て泣いていた私をなだめてくれて、自分は道也だって教えてくれた。
最近の私は道也の事もすっかり忘れていて、久しぶりに夢を見て泣いてしまっていたのだけど。
「俺は…言い方は悪いけど、道也でもアンディでも正直どっちでも良いんだ。ベルの事が大好きだから」と言われたのよね。
でもね。
私はいつの間にか、アンディの事が好きになっていたの。
今のアンディの事が。
「ありがとうね。ずっと一緒にいてくれて」
私は、彼の手を両手で包み込んで伝える。
「アンディ、私を好きでいてくれてありがとう。私も貴方の事大好きよ」
「えっ?ほ、本当に??俺の事好きって…」
「嘘を言ってどうするのよ」
アンディは眠気が一気に覚めたようで、目をパチパチさせている。
「それって、俺が道也だからじゃないよね…」
どっちでも良いとは言っていたけど、やっぱり気になるわよね。
一度、変な返事をしたせいか妙に疑っているわ。
「私は今のアンディが好きなの。今までずっとごめんなさい…」
「そっかー。よかったー」
私はアンディにぎゅっと抱きしめられる。
トクントクンと彼の心臓の音が聞こえてきて。
温かくて不思議と安心した。




