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幼馴染

「ベル。体はもう大丈夫なのか?」


 次の日。

 近所に住む、幼馴染のアンディが屋敷に訪ねてきていた。

 私が階段から落ちた事を聞いて、見舞いに来てくれたらしい。

 今日は大人しく部屋で一日中過ごしている。


 アンディは少し年上の14歳で、仲のいいお兄さんのような存在。

 群青色ぐんじょういろの短髪で、瞳は綺麗な水色をしている。


「お父さんに、しばらく休んでなさいって言われたわ。もう大丈夫なのに」

「うん。無理しないほうが良いかもね。そうだ、母に言われてクッキー持ってきたんだけど」


 アンディは可愛くラッピングされた袋を差し出した。

 母親の手作りクッキーね。

 彼が少し羨ましいわ。

 この世界の母はとっくに亡くなってしまっているから。


「いつもありがとう。丁度甘いもの欲しいと思っていたの」


 私は、袋をテーブルの上に置いた。


「あれ?食べないんだね」

「うん。後で、紅茶と一緒に食べたいと思って」

「そうなんだ。残念だな」


 アンディがチラチラお菓子を見ている。

 あら?一緒に食べたかったのかしら?


「リリーさん。紅茶お願いします。やっぱり今食べましょ?アンディも食べたかったのよね?」


 部屋の片隅に立っていたメイドのリリーさんにお願いして、紅茶を用意してもらう。

 一人で食べるより、一緒に食べたほうが美味しいものね。


「そうこなくっちゃ」


 素直に食べたいって言えばいいのに。

 アンディって、結構食いしん坊なのね。




「そういえば、ベルは教会の鑑定の儀式ってまだだよね?」

「鑑定って?」


 お皿にクッキーが並べられて、紅茶の香りが部屋に漂う。

 私は紅茶を口に付けて、彼に訊ねた。


「女神エリナーゼ様からスキルを頂くんだ。12歳になると鑑定の儀式を受けられる事になっているんだけど、この前ベルは怪我したから、先延ばしになっていたんだろうな」


 後日、父親に訊いたら階段から落ちた日は、どうやら教会へ行く予定だったみたい。


「スキルによって出来る仕事が決まってくるらしいよ」

「アンディはどんなスキルだったの?」

「剣術のスキルだって。今行っている学校が剣を習う学校なんだよ」

「ふうん。そうなんだ」


 スキルがあっても、訓練しないと使えるようにならないってことなのかな?

 そりゃそうか。

 いくら才能があっても磨かないと光らないだろうしね。



      *



 一週間後。

 アンディが言っていたように、鑑定の儀式をするために父と教会へ来ていた。

 教会には同年代の子供たちが列を作って待っている。

 私は、お出かけ用にと白い帽子に若草色のドレスを着てブーツをはいていた。


 馬車から降りる。

 父親と一緒に外出するのは随分久しぶりかもしれない。

 父はご機嫌の様でにこにこしている。


「ベル、少し緊張しているみたいだな。どんな鑑定結果でも大丈夫だから」


 父が笑顔で送り出してくれる。

 何でこんなに緊張しているのか分からない。

 緊張しすぎて気持ちが悪くなってきた。


 うん。

 深呼吸して、気持ちを落ち着かせることにしよう。



 *** アンディ・ロード 視点



 今日は教会へ行くとベルが言っていた。

 怪我をしてから、少しベルの様子が変わった気がする。


 以前なら、お菓子をあげたら

「わーい。ありがとう」って言って直ぐに袋を開けていたのに。


 俺の考えすぎだろうか。

 心境の変化があって、何か変わったのかもしれないし。

 以前と比べて、少し元気が無いのも気になった。


 カーンカーンカーン…。

 街の教会の鐘が鳴った。


 時間はもうお昼になる。

 ベルは今頃、鑑定結果が出ているのだろうか。

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