第17話 街で買い物 1
*** アンディ・ロード 視点
「王城に帰って来いって…言われてもなー」
俺は、理事長室で王からの手紙を眺めて呟いた。
幼い頃から、ルルム街の屋敷に暮らしていたのは側室の母が命を狙われたりしていて、城を出て身を潜めていたのだ。
お陰で、ベルとも知り合う事が出来たのだけど。
俺もある程度大きくなったので、王城へ戻ってこいという事なのだろう。
そうすると、ベルに話さないといけないよな。
俺は一応王子だったりするから。
とはいえ、六番目の王子なので王位継承権はずっと下なのだけど。
「はぁ…今更、放っておいてほしいよ」
椅子に座り、机に脚を投げ出す。
「お行儀悪いじゃない。何か悩み事?」
「ベル、いつの間に…来てたんだ」
「ドア、開いていたわよ。すっごく真剣に悩んでいて、ノックに気が付かなかったみたいだけど」
「ベル、改めて訊くけど聖女になる気はある?」
聖女になれば、王城で働くことになる。
そうすれば、また一緒にいられるかもしれない。
「以前よりは、頑張ってみようかなって思っているけど」
「そうか。分かった」
俺は立ちあがり、ベルに近づく。
「一緒に王城に行ってみない?お城の中に小さい教会があるんだって」
「お城に?」
ベルは目をぱちくりさせている。
いきなり王城って言えば、そりゃ驚くよな。
*** ベル・クリスタル 視点
アンディがお城に行かないかって訊ねてきた。
何で急に?と思ったけど何か理由があるに違いないわ。
「行けるのなら、一度お城に行ってみたいと思っていたわ。でも何で急に?」
「うん。父親がいるんだ。是非、君を見たいって言ってる」
「まあ、街のお家じゃなくて勤め先に呼び出しなの?」
「父はずっと王都に居るからね。城から離れられないし」
前世でいう、単身赴任みたいなものかしら?
アンディがそわそわして緊張しているみたい。
お仕事で、お城を離れられないのなら仕方がないのかも。
「でもお城って、やっぱりそれなりの服を着て行かないとダメよね?」
学院に行く事しか考えていなかったから、余所行きの服なんて持っていないわ。
「一緒に買いに行く?俺がお願いしたことだし」
「そうね。お願いしようかしら」
私は、寮と学院の往復しかしていないから街に行ったことが無いのよね。
王都の事をよく知っていそうな、アンディにお願いすることにした。
週末。
私とアンディは初めて街に買い物に来ていた。
「お城に行くのだから、それなりのドレスを着たほうが良いわよね?」
「知り合いのお店に行くから、金額をまけてくれるようにお願いするよ」
街の中心部へ二人並んで歩いていく。
初めて来る街は、目新しいものが沢山あるわ。
王都だけあって、お店が沢山あり大勢の人が歩いている。
道路も石が敷き詰められていてお洒落に見えた。
「このお店だよ」
連れてきてもらったお店は、格式が高そうなお店だった。
ショーウィンドウには、白い華やかなドレスが飾られている。
もっと庶民的なお店を予想していたのだけど。
周りのお店も高そうなお店が並んでいるわ。
「わ、私そんなにお金持ってないわよ?」
怖くなって、逃げようとする私をアンディがなだめる。
「大丈夫だから、このお店は顔が利くんだ」
いつもこんな高級なお店に行っているの?
領主の息子って、そんなにお金を持っているのかしら??




