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第16話 魔法学院の理事長

 *** イザベラ・ゴルド・ベンウェル 視点


 わたくしは、理事長室に呼ばれていた。


「お父様、わたくしに何の用かしら?」


「「バン!」」

 

 目の前の机を父が叩く。

 書類がバサバサと床に落ちた。

 

「教室でアンディ様は、女子生徒相手におかしな行動をとったらしい。お前…何て事をしてくれたんだ。あの方には手を出すなと言っておいただろう」


 父は大きなため息をつく。


「わたくしは、あの方には手を出していないわ。あの女に渡した物を、あの方が勝手に食べたらしいじゃないの」

 

 わたくしは何も悪い事はしていない。

 媚薬を入れたクッキーは、ベルが食べる予定だったのだ。

 

 ベルが、クラスで失態を見せて、彼に嫌われるだろう。

 そう予想していたのだ。

 結果は異なってしまったが。


 父は頭を抱えていた。

 まさか、アンディ様が食べてしまわれたなんてね。

 ああ、不謹慎にもあの方が乱れた姿を想像してしまったわ。

 わたくしが、あの方の目の前にいたらキスくらいされていただろうか。



      *



 しばらくして、わたくしは学院を退学処分になってしまった。

 一年後に卒業して、アンディ様と結ばれる予定だったのに。

 父は、理事長職を辞めさせられた。


 この件があってから、近くにいた取り巻きはわたくしから離れて行った。

 特に親しくしていた友人さえもいなくなってしまった。

 

 たった一人きりになってしまったわ。


「あの女がすべて悪いのよ…たかが男爵風情が…」


 父が退職したのも、わたくしが学院を辞めさせられたのも、あの女の所為だわ。

 あの事があってから、すべて上手くいかない。


「絶対に復讐してみせますわ」


 わたくしは、唇をかみ拳をぎゅっと握りしめていた。



 *** ベル・クリスタル 視点



 今回の騒ぎでイザベラさんが退学処分になった。

 イザベラさんの父親が、学院の理事長だったらしく責任を取って辞職したとか。


 というか、イザベラさんの父親って理事長だったのね。

 だから、学院を辞めさせるって息巻いていたのね。

 知らなかったわ。


「えっと、それで何でアンディが理事長代理になっている訳?」


 私は理事長室へ来ていた。

 理事長の代わりにアンディが椅子に座っている。

 机の上に理事長と書かれたプレートが置いてあって、アンディが偉そうに手を組んで座っている。


「父親が、社会勉強でやってみろだってさ」

「社会勉強?」


 そういえば、アンディは領主の息子だったわね。

 領主ってそんな権限あったかしら?

 この学院は国の施設だったわよね。


「次の人が決まるまでの短い間だけどな」

「まあ、その間の授業はどうするの?」

「授業は頑張って受けるつもりだよ…俺はベルと一緒にいたいからね。しばらくの辛抱さ」


 さらっと恥ずかしいセリフを平気な顔して言うわね。




 コンコンコン。


「失礼します。ああ、ベルさん居たのですね」


 ラン先生が書類を持って現れた。


「どうしたんだ?用件を聞こうか」


 一瞬にして、アンディの表情が変わったわ。

 彼の真剣な眼差しは初めて見る。


「ですが…」


 ラン先生がわたしをチラリと見る。

 お邪魔って事ね。


「私は一般生徒なので、教室へ戻りますよ。お邪魔しました」

「ごめんね。ベル」


 私は、手をヒラヒラさせながら理事長室から退出した。

 学院の授業と、理事長職なんて両立できるのかしら?

 


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