第15話 街の教会
*** セレナ 視点
今日、あたいのクラスは授業の一環で街の教会に来ていた。
教室で本を見て説明するより、実物を見たほうが分かりやすいね。
天井の一部がガラスで出来ていて色とりどりで美しい。
授業は室内より、屋外の方が好きだな。
あたいは熱心な信者ではないので、あまり教会へは来たことが無い。
スキル鑑定の時に来たくらい。
あたいのスキルは慧眼で、物事を見通す力があるらしい。
魔法学院なのに関係ないスキルじゃん!って感じなのだけど、学院には親がお金を出して通わせてもらっている。
ラン先生は教会で祭られている、女神エリナーゼ様の話をしていた。
「へえー王都の教会って大きいのね」
「田舎とはだいぶスケールが違うよな。そうそう、王都には教会の他に大聖堂っていうのがあるんだよ」
「知らなかったわ。アンディって随分と物知りなのね」
「えへへ」
今日も、ベルとアンディくんは仲が良い。
何となく、最初から二人が仲良いのは分かってたけどさ。
まさか、アンディくんが学院の理事長になったのは驚いた。
強力な後ろ盾があるのかもしれない。
スキルで視たところによると、彼は何かを隠しているみたいなのだけど。
内容までは解らないんだ。
まだまだ、半人前なのでスキルを磨いていかないとだよね。
祭壇に置かれている白い女神像を見ていると、シスターが近づいてきた。
「聖女候補の方はこちらですか?」
濃い青色の修道服を着た、年配のシスターだ。
優しそうな人だな。
「さあ、ベルさんこちらへ」
ラン先生が、彼女を呼んでシスターに紹介する。
「光魔法を使った事はありますか?」
「実は…」
「「それは、凄いですねー!」」
シスターと、ベルが少し離れた所で話をしている。
話の内容は聞き取れないが、何だか驚いている様子だ。
何だろう?
「ベルさんはこれから特別授業なので、ベルさん以外の生徒は学院へ戻りましょう」
ラン先生がクラスの皆に声をかけた。
そういえばすっかり忘れてたけど、ベルって聖女スキルがあるんだっけ。
「俺もここに残る」
アンディはベルに付き添うみたいだ。
「分かりました。さあ、皆さん帰りますよ」
あたいも残りたいな…と思ってたけど、先生に袖を引っ張られて学院へ戻ることになってしまった。
*** ベル・クリスタル 視点
私だけ、特別授業ということでクラスの皆と分かれる事になった。
アンディが残ってくれて少し嬉しくなった。
「呪文を唱えずに発動させたなんて凄いですね。でも言葉を通した方が威力もあがるし確実なのですよ?」
これから、優しそうなシスターに光魔法の使い方を教わっていくみたい。
聖女スキルの私は、週に何回か光魔法の勉強をしないといけないらしい。
学院で教えるのは、一般的な魔法のみだからね。
光魔法をきちんと扱える人は、教会のなかでこのシスターマリーだけなのだそう。
きっと優秀な人なんだろうな。
「ありがとうございました」
今日の授業は初めてだったので、簡単なさわりの部分だけようだ。
光魔法以外の初級魔法は、ラン先生に教わったお陰で学院へ来る前から使えていたのよね。
夕方、アンディと一緒に学院へ帰っていた。
「ベル、いっその事聖女になってみたら?人助けになるし意外と楽しいかもよ?」
「…そうねえ」
魔法で、怪我を治療できるなんて凄い事だわ。
優雅にのんびり暮らしたいと思っていたけれど、人の役に立てる仕事ならやってみても良いかもしれないわね。




