第12話 真夜中の出来事
夜中に目を覚まして、窓の外を見たらアンディが魔法で空中に浮かんでいた。
私は窓から身を乗り出して、彼の腕を掴む。
全く無意識の行動だった。
「え?ベル?ちょ…なにし…」
バランスを崩し、そのまま落下する。
「「きゃっ!」」
「「うわっ!」」
*
「んんーーー?えっとここは…」
気が付くと屋外に居るようだった。
何で外にいるのだっけ?
夜空には星が瞬いている。
三階から落ちた衝撃で、気を失っていたみたい。
その割に痛くない。
下を見ると、私はアンディの上に乗っかっていた。
「あ、アンディごめん!」
直ぐにどいたけど、アンディは気を失っている様子だ。
頭を打ったのか、額から血が流れている。
私をかばって怪我をしたらしい。
どうしよう。
遅い時間だから、教会も開いていないしポーションも持っていない。
いざという時、ポーションくらい持っておくべきだったわ。
「痛っ!」
立ち上がろうとすると、足をねん挫をしたのか立ち上がれない。
助けを呼びにいこうにも立ち上がれない。
目の前のアンディが、道也と重なって見えた。
悪夢の光景を思い出してしまう。
道也は、あのまま帰らぬ人となってしまったのだ。
このままアンディまで失ってしまったら…。
背筋が凍るように寒くなった。
【お願いです!アンディを助けて!】
私は両手を組んでぎゅっと目を瞑る。
女神エリナーゼさまに強く強く祈った。
*** アンディ・ロード 視点
俺は眠れなくて屋外に出ていた。
魔法が苦手な俺は、魔法の訓練ついでに屋根に上ろうと考えていたのだ。
夜空は不思議と心が落ち着く。
風魔法で、夜空に浮かんでいるとベルが外を見ていて視線が合った。
ベルも眠れないのか?
近づいて、彼女に声を掛けると腕を引っ張られる。
予想もしなかった行動に、バランスを崩し俺たちはそのまま落下した。
目が覚めて、起き上がろうとしたら体に痛みが走る。
何処か怪我をしたのだろう。
ベルが目を瞑って必死に祈っている。
辺り一面に、オレンジ色の光が辺りを包み込んでいた。
幻想的な風景に息をのむ。
「痛みが消えた…それにこの光は一体…」
ベルの瞳が大きく見開かれた。
「道也…良かった…」
「おい、俺はミチヤじゃ…」
誰かと間違えられているが、まあいいか。
どうやら、俺は怪我をしてベルの回復魔法で治ったらしい。
まだ光魔法の使い方を、教わっていないにもかかわらずだ。
きっと、彼女は凄い聖女になるだろう。
俺はベルに抱きしめられていた。
「俺はアンディだよ」と言おうと思ったが、そのままにしておいた。
そのうち気が付くだろうから。
彼女はしばらく泣いた後、正気に戻ったらしく「ごめんね」と必死に謝ってきた。
「ううん」
泣いた彼女が可愛くて、思わず見惚れてしまい…そのまま瞼にキスをしていた。




