第四話 蒼月と紅炎の激突 — ジン対ギルベルト
空を舞う巨大な黒翼騎神《バル=グラド》の胸部装甲が爆発を起こし、、巨大な黒鉄の翼がゆっくりと閉じられ始める。
「――黒翼騎神、撤退か」
ジンは眉をひそめながらも、わずかに安堵の息を漏らす。
黒翼騎神はゆっくりとその巨体を持ち上げ、炎に包まれた翼をたたみながら後方へ退いていく。
地響きと共に、その姿は次第に遠ざかり、戦場は一瞬の静寂に包まれた。
城門の残骸が散らばる戦場。炎の熱気が空気を揺らし、焦げた匂いが鼻を突く。
その言葉通り、戦場の遠くから重厚な足音と戦斧の響きが響き渡った。
帝国の五剣将の一人、ギルベルト・アッシュフォードが炎をまとい、戦斧を構えて現れたのだ。
ギルベルトが両手で握る戦斧は燃え盛り、刃先からは灼熱の火花が飛び散っていた。
「蒼月刀のジンか。噂通りの剣技、見せてもらおう!」
ギルベルトの瞳が燃えるように瞳が輝く、そして力強く斧を振りかざす。
ギルベルトは轟音と共に猛然と突進を開始。
その斬撃は重く、広範囲に及び、一撃で複数の敵を薙ぎ倒す威力を持っていた。
一振りごとに爆炎が炸裂し、地面に亀裂が走る。ジンは刀に魔力を巡らせ、防御の壁を展開するも、その圧力に押されて後退を余儀なくされた。
「この斧はただの武器じゃない。炎の魔力と一体となって、敵を焼き尽くす!」
ギルベルトは叫びながら斧を回転させ、炎の竜巻を巻き起こす。
ジンは、《蒼月一閃》を放つべく構えをとる。
鋭い斬撃が炎の中を切り裂き、火柱を生み出すが、ギルベルトはそれを見切り、余裕すら感じさせる動きで斧を振り抜いた。
その斧撃は炎の塊となり、ジンを激しく押し込む。
「まだ本気じゃない……だが、このままでは持ない!」
ジンは冷静に次の一手を考えつつも、体力が削られていくのを感じていた。
熾烈な攻防の中、ギルベルトの炎の魔力が激しさを増す。
ギルベルトは笑い声をあげながら、炎の斧を回転させ、火柱を巻き起こしつつ一気に接近戦に持ち込む。
「この斧が焼き尽くす! 受けてみろ、火炎旋風斧!」
彼が斧を空中で振り回すと、巨大な炎の渦が戦場を包み込み、ジンの周囲に焼け付くような熱波が押し寄せる。
ジンは魔力の盾を強化しながら、瞬時に蒼月刀を構え、接近戦に持ち込む。
刃が交錯し、火花と雷光が入り混じる。ジンの一閃は確かな刃筋を描くが、ギルベルトの重斧はそれをしのぎ、逆に強烈な斧撃を叩き込む。
両者ともに息を切らしながらも、一歩も引かない。
だが、ジンは内心、今の自分ではまだ相手の炎の猛威に太刀打ちできないことを痛感していた。
「お前、まだ本気じゃないな?」ジンは息を切らしながら尋ねた。
ギルベルトは薄く笑い、「ああ、今はウォームアップだ。真剣勝負はこれからだ」と応じた。
「これで最後にしよう________蒼月一閃!」
ジンが蒼月刀に魔力を高め、一閃を放つ。
その斬撃は閃光のように走り、ギルベルトの斧に命中。
しかし、斧は炎の力で跳ね返し、二人は僅かな距離を保ったまま睨み合う。
戦いは膠着状態へ。
激しい呼吸音だけが戦場に響き渡る。
ギルベルトはフッっと笑いながら
「また会おう、ジン」
ギルベルトは斧を振り下ろしながら撤退の意思を示す。
ジンは刀を納刀した
「まだまだ、やつにはかなわない、もっと強くならねば」
戦いはまだ終わらない。
二人の剣と斧は、これからの激闘の序章に過ぎなかった。




