【番外編】―物語が始まる前―【リュミエル連邦サイド】―王と六耀将―
◼️王アステリオン・ルクス=リュミエル
「我は統べる者にして、導く者。光あれ」
天界より選ばれし“エルフの星の血”を引く若き王。
生まれながらに魔法と自然との強い共鳴を持ち、予言と霊視の才もあった。
だが彼は、見えすぎる未来に絶望しかけたこともあった。
戦が起こり、血が流れ、友が散る――それを知っていて、それでも王でいなければならないのか?
迷いの中で、彼はこう言った。
「ならば、すべてを抱いてなお、生きる者となろう」
優しさも、非情も。救いも、犠牲も。
そのすべてを抱えて立つ王は、孤高の“希望の器”である。
◼️軍師イレーネ・シュヴァルツ
「戦とは対話。殺さずに勝てるなら、それが最善」
イレーネは“戦わない軍師”と揶揄されてきた。
天才的な空間魔術の使い手でありながら、彼女は常に非戦と撤退を重視した戦術を立案する。
だがそれは、子供の頃に体験した“避けられた戦”を、誰も止めなかった記憶に起因する。
「知恵で戦を止める人間になりたい」――それが彼女の原点だった。
彼女の戦術は冷静で緻密、非効率を切り捨てるが、心までは捨てていない。
王アステリオンとは幼なじみであり、最も信頼する相談相手である。
【六耀将】
①ルミナ・セリス 〜光の孤児〜
「光は癒しであり、裁きでもある」
大戦で家族を失い、聖域教会の孤児院で育った少女。
癒しの力に秀でていたが、侵略される村々を目にし、
「癒すだけでは、何も守れない」と気づく。
己の力に破壊の意志を宿し、“攻性聖女”として六耀将に登用される。
救うために、壊す――その矛盾に苦悩しながらも、歩みを止めなかった。
②フェルノート・ラグヴィール 〜焔を継ぐ者〜
「正義は燃やしてこそ熱を持つ」
熱血漢で短気。だが、それは弱者を前にした時にこそ最も顕著に現れる。
かつて村を焼かれ、親を失った。
その経験から「弱い者を守るための強さ」を求めて剣を取った。
連邦軍の中でも「最も暴れすぎる問題児」として有名だったが、
王の一言で心を救われ、六耀将として生まれ変わる。
③ネイア・ミルエル 〜影を抱く者〜
「感情に縛られる者は、刃にすらなれない」
精霊信仰の強い家庭に生まれるが、幼少から影精霊と繋がってしまい、忌み子とされる。
孤独と軽蔑の中で育ち、他人を信じることをやめた。
その鋭さと冷徹さを見込まれ、影鎌を授かり六耀将に。
彼女は今も信じている――“正義”は常に誰かの影でしかない、と。
④エリオット・グランディ 〜風の観測者〜
「勝ち負けには、風向きがあるんだよ」
天才的な空間感覚と観測能力を持つ射手。
彼は元々学者志望だったが、戦争の現実に否応なく引き込まれる。
「戦場でもっとも人を救えるのは、視える者だ」と気づき、前線へ。
風を読むように、人の心を読み、敵の動きを読む。
“冷静な参謀役”として他の六耀将の暴走を抑えるストッパー的存在。
⑤シア・フレイネール 〜氷の姫君〜
「静けさの中にこそ、揺るぎない意志がある」
リュミエル連邦《六耀将》の一人にして、氷槍を操る戦場の要塞。
透き通る銀髪と蒼氷の瞳を持ち、冷静沈着な判断力で味方を守り抜く守護者。
その戦いぶりは、降り注ぐ氷雪のように美しく、そして容赦ない。
敵を一瞬で凍てつかせる《氷晶穿界》の一撃は、戦場の空気すら凍り付かせると言われる。
民からは「氷の姫君」と称えられ、同時にその名は、侵略者たちにとって恐怖の象徴となっている。
⑥ザラッド・ヴォルケーン 〜雷鳴の豪傑〜
「力こそが平和を守る。そう教えてくれた人がいた」
豪族の子として育ち、雷を纏う戦士の家系を継ぐ。
最初は戦いを嫌っていたが、幼馴染の少女が戦禍に巻き込まれたことで覚醒。
以来、雷槌を携え「誰も泣かせない力」を求め続けている。
ぶっきらぼうだが、人一倍仲間思いで、兵士からの信頼も厚い。
彼の雷撃は、怒りよりも祈りに近い。




