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川中島決戦 名もなき英雄たち  作者: 山脇 和夫
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出陣

4 出陣

新兵衛が旅立って二年が経った永禄四年、武田信玄は全軍を率いて川中島に出陣した。

すでに川中島からは狼煙を使って越後勢の襲来を伝えてきていた。

今回は越後の総大将、上杉謙信も着陣しているとの事である。

信玄としても自らが出陣しないわけにはいかなかった。

信玄には川中島の情勢を迅速ならしめる二つの武器がある。

一つは川中島から古府中まで続く狼煙台を設置した事…狼煙を上げ、リレーする事によっていち早く情勢の変化を知る事が出来た。

もう一つは川中島までの道のりに戦さ道を設けた。

行軍に適するよう最短距離の道を整備したのだ。

これによって川中島の火急の報せにも数日で着陣する事ができた。

上杉謙信、善光寺平に着陣との急報を得て5日後、

信玄は本隊一万二千の軍勢を率いて海津城に入った。



越後勢善光寺平本陣


謙信の本陣である善光寺の客殿に、柿崎影家が足早に入室してきた。

すでに謙信の元に上杉家の重鎮である直江兼綱、同盟者としても絶対の信頼を置く宇佐美定行が対座していた。

「申し上げます!ただいま武田信玄が海津城に着陣いたしました」

影家は着座するや否や謙信に報告した。

一同は影家を凝視して渋面を作ったが、謙信だけは

「やはり来たか!」と膝を叩いて立ち上がった。

「わしは良い友を得たようじゃわい!今宵は皆の者を集め酒宴を催すぞ!

影家!皆にそう伝えぃ」

謙信はなお上機嫌で、やはり来たかと高笑いしながら退出していった。

影家と宇佐美定行は怪訝な表情で顔を合わせていたが、直江兼綱が両人に割って入って

「わしにもはっきりした事を教えてはくれなんだが、どうもお館様の所には度々密書が届いておるらしいのじゃ。今回も川中島に武田信玄を出陣させるよう取り計らうという事らしい」

「しかし、信玄めが来陣したとしても海津城と犀川に築かれた大砦にたてこもられたら手も足も出ないではないか?」影家が口を挟む。

「密書には信玄を柵の外に誘い出すゆえ、

存分に首級を挙げよとあるらしい。」と兼綱が付け加えた。

「信玄を動かすほどのものなら密書の相手は武田の重臣という事になる…結束の固い武田家臣団にも

不満を持つものがあるという事か?」定行が言う。

「ならば心強い!今年こそは信玄の首を挙げ、長きに渡った戦いに決着を付けようぞ!」影家は拳を振り上げた。

兼綱も同調するが、ひとり定行だけが罠でなければ良いのだがと思案顔で俯いていた。


その夜は、主だった武将たちが本陣に集まり酒宴を開いた。

長く続いた戦乱の世である。

たまには羽目を外そうぞとばかりに皆、大いに酒をあおった。

謙信も終始上機嫌である。

普段はなぜか女を近づける事なく、黙々と手尺で酒を煽るのが普段の飲み方であったが、今宵だけは女が差し出す酒にも手を伸ばした。

それにしても酒が強い…肴には目もくれず浴びるように酒を煽った。

いい加減目も据わり出した謙信は、ガッと立ち上がると皆の者!聴けい!と大音響で叫んだ。

「よいか!!明日より本陣を川中島が見渡せる西条山に移す!そこを拠点に、武田との雌雄を付ける!

一同の者心してかかられよ!!」

皆、突拍子のない陣ぶれにキョトンとしていたが、我に返って鬨の声を挙げた。

一夜明けて越後勢は、全軍をあげて善光寺平と川中島の中間に位置する西条山へ向かった。



武田勢海津城本陣


海津城内も慌ただしく動き始めた。

信玄が到着するや否や、静まり返っていた越後勢が

本陣を移動したからだ。

それも、より川中島に近く犀川大砦を眼下に収める西条山に陣を構えた。

山上からなら大砦の軍様が手に取るように望む事が出来る。

報告では着陣後、木を伐採したりして陣地を構築しているとの事であった。

海津城の高坂昌信は事の重大性にかんがみ、軍議を開くよう具申した。

一刻もすると各諸将が海津城本丸に参集した。

戦国最強と謳われた武田の諸将が勢揃いして首領の信玄を待っている。

首座に向かって左には副将であり信玄の弟でもある信繁を筆頭に、嫡男義信、ご親類衆筆頭の穴山信君、三弟信廉、そして武田家譜代の重臣たちが続く。

2段目には武田と同盟を結ぶ縁戚関係の諸侯が居並んだ。

向かって右は武田家歴戦の諸将が並んだ。

侍大将の筆頭内藤昌豊、信虎の頃より武田に使える飫富兵部、三郎兵衛兄弟、勇猛で天下に轟く馬場晴信、海津城守将高坂昌信、足軽大将として名を馳せた原虎胤、原隼人そして鉄砲隊を預かる土屋昌次、小山田信繁らが居並んだ。

2段目には信濃攻略で名を上げた真田幸隆、信綱親子をかわきりに諏訪衆や小県衆が膝を揃えた。

しかし、わしを忘れるなと言わんばかりに山本勘助が2段目首座に陣取っていた。


信玄が着座すると信繁が介添えとなって軍議が始まり、まずは戦況報告で高坂昌信が口火を切った。

「この度の越後勢の動きは、今までにない事でございます。我らを挑発するような動き…何か良からぬものを感じます」

昌信は長い事川中島を見てきた。

越後勢の動きに只ならぬ危機感を感じたのだ。

「なーに、越後勢がいくら策を弄そうと難攻不落の砦があれば何する事でもござらん」

親類衆筆頭の穴山信君は楽観的だった。

一同も頷く中、畏れながらと信君に配慮をして馬場晴信が意見を述べた。

「此度は謙信直々の下知かと思われます。何か考えのあっての事と存じます。先ずは意図を探る事が肝要かと…」

中添えの信繁も大きく頷く。

その後も色々な策が披露されたが、先ずは様子を見ようと固まりかけた時、申し上げると具申するものが出た。

山本勘助である。

「申し上げる。諸侯の申す事もっともでござるが、

貝のように篭ってさえいればというのは越後もそのように思うで御座ろう…

そこに空きがあるというもの!まさか我らが攻め込むとは夢にも思っていないであろう…

こちらが来襲しないと踏んでいるからこそ、悠々と陣地を構築している…

逆に慢心こそ最大の危機!そこを突けば体制整っていない越後勢を壊滅させられるどころか謙信めの首級もあげる事は可能でござる。」

勘助は立ち上がった。

おぉ〜とどよめきが上がる。

確かに謙信としても、

まさか武田の方から戦を仕掛けるとは夢にも思わないだろう。

そう踏んでいるからこそ目と鼻の先で陣地構築など行っているのである。

勘助が口火を切ると止まらなかった。

自身も悦の境地になるのだろう…身振りや手振りも交えての発言は確かに人を惹きつけていった。

皆が身を乗り出した。

「お館様、夜襲をかけましょうぞ!

好機でござる。敵は行軍に次いでの陣地構築で疲れ切っておる。今宵夜襲をかければ完勝間違いなしじゃ。

先ずは主力が敵陣めがけて突入し、慌てた越後勢が善光寺に退却するところを、別の一隊が待ち伏せして攻撃、挟み撃ちにする…

まさに必勝の戦略でござる。

そう…まるで啄木鳥のように木をトントン叩いて、餌が反対から飛び出すところを…」

勘助の顔は紅潮し、まるで弁士のように抑揚のついた喋りは止まる事がない。

高坂昌信はこれは不味いと信繁に目配せした。

信繁も同じ思いだったのだろう、意を受けて信玄の方に向き直った。

勘助の話を遮るように

「お館様、そろそろ策も出尽くし申した。下知のほどを」と、頭を下げた。

信玄は一同を見渡し、少し間を空けたのち

「この度の謙信の動き…やはり意図のあるものであろう。もしや罠かもしれぬ。

我らが目的は、すでに完成なった大砦と我が方の大群を見て、川中島にはもはや手出しは叶うまいと知らしめるところにある。

謙信が諦めて退散するも良し、もし決戦を挑んできても、犀川大砦にて越後勢を完膚無きまで叩きのめす。

この度は、大砦の守備を一層強固にし守りに徹する事に致す!」

信玄の下知は下り一同は平伏した。

勘助も熱弁を振るっていた割には、

それ以上言及する事なく引き下がった。



越後勢 西条山

夜が白々と明けてきた頃、謙信のいる陣幕に斥候が戻ってきた。

「申し上げます。武田方の動きはございません。

ただ犀川大砦には増兵の模様…」

謙信はうなづいたが、堰を切ったように高笑いをした。

「そうか…今宵は来なんだか!我が友の調略も失敗したようじゃな…

まぁ闘いはこれからじゃて…」

謙信は皆のものに陣を払うとともに休息せよと告げると陣幕を出て行った。

昨日は早朝より西条山に本陣を移すとすぐに築陣にかかり、夜は武田の夜襲があると踏んで不眠不休で臨戦体勢のまま全軍待機していたのだ。

陣幕に残された直江兼綱と宇佐美定行は顔を見合わせた。

「やはりこの度の陣立は密通者の具申によるものであったのでござろうか?」

定行は兼綱に問いかけた。

「拙者ら重臣にもお館様は語って下さらん…我らはお館様を信じて突き進むだけじゃ」

そう言って頑なに一点を見つめた。

「ここだけの話じゃが、越後の国人衆も決して一枚岩ではござらん。

この度の川中島出兵で何らかの成果が上がらなければ、内紛を起こすものが出ないとは限らん。

謙信殿が何も語ってくださらんのは、我ら国人衆が敵と内通するのを恐れてのことであろう…

それにしても武田の密通者は如何の者でござろうか?

信玄公を動かすほどの大物であろうと推察するが

未だに身分すら分からん。

謙信公はご存知の様子か?」

定行の問いに兼綱は首を横に振った。

定行も未知の内通者に不安を感じつつも、次の動向を見守るしかないと腹を括った。



越後勢は以後、西条山の要塞化を進めるが武田は犀川大砦に篭ったまま攻めてくる気配がない。

どちらも膠着状態が続いたまま数週間が過ぎようとしていた。

川中島では秋が深まり収穫の時期を迎えた。

今年も豊作で年貢として納められる米俵が荷駄に乗せられ甲斐の国に送られようとしていた。

あと数日もすれば、寒気が舞い降り一気に冬の気配が川中島を包むことであろう。

初雪が降れば、今年も膠着状態のまま越後勢は引き上げることになる。

川中島を堅持する事は、結果的に武田の勝利を意味する事でも有るのだ。

謙信としても正面切っての犀川大砦攻略は難しい。

打つ手も無く日々だけが無用に過ぎてゆこうとしたその時、謙信の元に一通の内通書が舞い込んできた。

いつもの事だが、謙信もこの間者を見た事がない。

ただ就寝中の枕元にそっと忍ばせてあるのだ。

謙信の寝所は無防備ではない。

むしろ厳重に警護されネズミ一匹通ることもままならぬくらいである。

それを易々と誰に知られること無く、ましてや謙信自身が全く気付かないのだ。

自らを毘沙門の生まれ変わりと信じる謙信にとって

神懸かり的な技量を持つ者を敬愛しないはずがない。

しかも持たらす情報も正確であった。

しかし謙信においてもこの内通者が誰なのか知らなかった。『助』と書かれた一文字が内通者の名の一部なのか、助っ人を意味するものなのか…

しかし謙信にとってはどうでも良いことだった。

命を張って情報を提供してくれるのである。

それこそ『友』と呼ぶにふさわしいと思っているのである。

【時を見て犀川まで駒を進められよ。信玄公も大砦に出張るであろう。存分に攻められよ。霧がそなたの味方をいたす。 助】

まさに天佑であった。

よし!謙信は立ち上がった。



武田勢 海津城内


「一大事でござります!越後勢が犀川対岸に布陣致しました!その数一万以上!ほぼ全軍とお見受けいたす」

犀川大砦からの使番が息を切らせて、城主高坂昌信の元に転げこんできた。

昌信は副将武田信繁に報告、緊急軍議のため諸将に参集を命じたのである。

本陣には主だった諸侯が居並び信玄公の来着を待つ。

「それにしても何故、越後の大群が犀川に出張るまで気がつかなんだか…?」

昌信は犀川大砦の守将を命じた諸角豊後守に問いただした。

「は、ここ川中島は冬支度に入っておる故、川霧がよう出るようになり申した。

昨夜は殊更濃い霧が 犀川を包み申した。

一寸先も見えぬ故、兵も見落したので御座ろう」

諸角も申し訳なさそうに肩を落とした。


信玄公が着座するとさっそく軍議が開かれた。

まず信繁が口火を切った。

「犀川対岸に布陣した越後勢は一万三千ほど…

謙信公の本陣は最後尾に展開いたしております。

我が犀川大砦には三千程を配置してありますが、

心持ちませぬ。

あと最低でも五千から八千が必要でしょう。

至急増援を致したく思われます。」

今度は内藤昌豊が

「謙信公の思惑は決戦に有ると存ずる。我らの準備が整う前に攻勢に出るのではないか…」と口をさす。

すかさず高坂昌信は

「犀川大砦と海津城との距離は約一里…攻撃が始まれば、狼煙をあげる手はず…

すでに城内の兵はいつ命令が出ても出撃できる準備は致しております。」と準備が整っていることを報告した。

「何もそこまで案ずる必要は無かろう…どんな大群を持ってしても大砦は難攻不落!

犀川を渡る前にたっぷりと矢雨を降らせ、運良く渡りきれても柵と槍ぶすまの前に手も足も出まい…

これとて、決戦を挑んできたらの話じゃ…

謙信公にあっては不落の城塞を見て、恐れおののいて退散するは必定!」

穴山信君は鷹揚に振舞って余裕のあるところを見せた。

そうかも知れぬと何人か同調する姿勢を見せたが

馬場信春が別の意見を述べた。

「越後勢が決戦に出るにせよ、そうでないにせよ、

これを武田の好機と見る策も練っておくのが宜しかろう。挑んで来るには犀川を渡らなければなりませぬ。ならば我らは別働隊を持って越後勢を背後から襲い、犀川にて挟撃するのも一考かと…」

一同から、おぅと感嘆の声が上がった。

信繁も信春の具申を支持して

「此度の謙信公の動きは決意のようなものを感じます。ならば我らも守るだけでは無く、反撃をもって

二度と川中島には手が出せないと謙信公に知らしめるのも宜しかろうと存ずる。」

ほぼ意見が出尽くし裁可に入ろうとした矢先、

またしても山本勘助が物申すと立ち上がった。

「今朝は突然、我が砦の眼前に謙信公が現れ、我らは度肝を抜かされた!」

おどけるような仕草に笑いが起きたが、

「ならば我らも謙信公を驚ろかしてやろうではこざらぬか!」

皆が勘助に注目した。

「朝霧が謙信公の陣容を隠したように、我ら殿にも犀川大砦に出張っていただきます。

霧が晴れて我らの陣に孫氏の旗や諏訪法性の馬印がたなびけば、今度は越後勢が度肝を抜かすは必定!

敵の戦意は一気に下がり、たとえ戦が起きようとも主導権は我らにあり!

戦が起きずとも以後大きな語りぐさとなって

武田の栄華に残るで御座ろう!!」

勘助の話は熱を帯び、独特の抑揚もあって、人の心に入り込む。

皆が食い入るように耳を傾ける。

馬場信春が高坂昌信が、これはまずいと武田信繁に目配せした。

信繁も意を得て、

「それではお館様の下知を持って決議にいたす!」

と宣言したが、今回の勘助は静まらなかった。

「殿が前線に出張れば、武田の将兵は勇気百倍、

主人も共に戦うのだと、ますます武田に忠誠を誓うことであろう!

さぁ参られよ殿!武田の繁栄はまさにこの一戦にありじゃ」

信繁も勘助を無視するように

「お館様、御下知と!」と信玄を促した。

「いやいや、殿ばかりを危険な前線に就かせるわけでは御座らん!不肖この勘助めも杖を槍に変えお供いたす所存。拙者が命に代えても殿をお守り申す所存なりぃ!」

勘助の執拗な態度に高坂昌信は

こ奴、何か企んでおるのではと疑った。

信春や信繁もピンと来たらしい…

場が異様な雰囲気に包まれた時、信玄が口を開いた。

「下知をいたす。此度、我が本陣は五千の将兵と共に犀川大砦に進出。

翌朝、霧の晴れを待って越後勢に我が武力を誇示することにいたす。

また万が一、謙信が攻勢に出てきたら狼煙にて増援を督促すると共に、一隊を千曲川の渡しに差し向けて謙信公の背後を扼す事といたす。

この戦を持って謙信公との最後の戦いといたしたい」

信玄の裁可は下った。

しかし勘助はまた執拗に、拙者もお供いたしますぞと言い張った。

何かあると疑った信繁も私も同行をと主張したが、

信玄は首を横に振った。

「信繁は海津城に残り、副将としての任を全うせよ。そしていざ合戦になったら援軍を頼む。

その折には馬場信春に騎馬隊を預け、謙信公の背後を突くよう申しつたえよ。」

信繁にはもはや言う言葉は無かった。

「勘助は信繁を助け、良き案を持って支えよ」

勘助はまだ何か言いたそうな素振りを見せたが、

信繁の睨み顔をみてようやく引き下がった。


軍議の帰り道、馬場信春が高坂昌信に肩を寄せ

渋顏を作った。

「勘助殿を如何思う?」

「うむ…この度の具申、それほど的外れでもあるまい…

今まで謙信公の策には後手に回っておったからの。今度は我々が意表をつくのも悪くはあるまい。げんにお館様も採用なされたのだ。」


「それは分かっておる!わしが言いたいのは勘助殿の態度じゃ。執拗なまでの態度は、何か企んでいるのでは無いかと疑いたくなるというもの…

それにお館様を未だに殿と呼ぶとは…」


「おぬしの気持ち、わしも同じじゃ。元々勘助殿の主君は先代信虎様…勘助殿なりに二君には支えずとの気持ちなのだろうよ。しかしわしも違和感がある。お館様も先代に遠慮しておるが決していい思いではあるまい。」


「それはそうとて、勘助殿からは目を離さぬ方が良いと思う。

何か嫌な予感がするわい…」


「典厩(信繁)様も分かっていなさる。我らも心してことに当たろうぞ!」

二人はうなずき合い、それぞれの陣屋に戻っていった。


その夜、信玄自らが率いる5千の精鋭が犀川大砦に向かって出発した。

闇夜と霧に乗じて、越後勢に悟られぬよう細心の注意を払っての行軍であった。

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