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第0話:いざ異世界へ‼

薄暗い…寒い…


…ザスッ!


痛い。思いっきりコケた。


…ん?なぜこんなところに僕は居るのか?


…わかったよ。少し話そう…







僕はイケメンでリア充な中学2年生。

…すまない、少し盛ってしまったがフツメンでちょっとオタクな男の子だ。

友人は結構いるが、彼女はいない。あえてね。

…あえて居ないんだからね?

まぁ良い。自己紹介はこれでおわり。


ちょうど今僕は学生の鬼門、夏休みの宿題が終わったところだ。


「ふわあぁぁぁぁあ…」


あくびが止まらない。すでに朝日が少しさしている。


「今は…?もう朝の5時半…」


「2時間は寝られ…る…」


こう考えたときにはもう、まぶたは完璧シャットダウン。机に僕は突っ伏した。


体が浮いてるかのような、天に登るような…

そんな眠りだった。




「不思議な夢だった…」


どうにも不思議な夢を見た。内容は詳しく思い出せないが、えーと確か…

 薄暗いところで目覚めて…周りには何も無くて。そこから冒険が始まった…はず。

 その後はあまり覚えていないが、なにか大掛かりな事をした。とにかく現実味があったのだ。


「そういえば今何時だ?」


恐る恐る目ざまし時計を見る。チラッ…チラッ。

おそらく我が人生で完璧の2度見だっただろう。そして絶望。

幸い、まだ詰んだわけじゃあない。机の上の宿題、定期券などをとにかくリュックにぶち込みまくる。

さぁ諦めるな。走ればいける‼


「いってきまーす‼」


…よし!もう駅に着く。危なかった…――しかし、安心もつかの間。

その時、僕の目に入ったのは、車道に倒れ込む子どもと気が付かないトラック。


 ガッシャーン‼バキバキ!グシャ。


すごく嫌な音がした。

あたりに悲鳴が立ち込める。


…でも、どうやら僕は子どもを助ける事ができたらしい。撥ねられたのは僕一人だけっぽい。


あ。でも、電車そろそろ行っちゃうかな。

学校間に合わない…な…


どうやら、そんな場合ではなさそうだ。視界がどんどん黒ずんでいく。体全体に生暖かい液体を感じる。

手足の感覚が消える…これはなかなか大ピンチだな。本能で分かる。


あぁ…最後に彼女をひと目見たい。


…いや…そういえば僕にそんな人、いないんだったな…




 



―――――――――?


ここはどこだ?僕は…僕は死んだんじゃないのか…?

急いで体を探ってみるも、怪我一つなかった。さっきまでボロボロだったはずなのに。

そのはずの僕の眼前には真っ白で際限なく広がる景色があった。そして…


「誰だ…?」


これまた白くて美しい女神のような人がいる。


「それにしても夢の中のような場所だな」


そんな事を言っていると、


『ここは夢の中などではありませんよ』


それと同時に、バシッ‼っとなぜか左頬をビンタされる僕。とても痛い。


『ほらね』


と、女神様。


「…いや、ほらねじゃねーよ!」


おかげで夢の中でないことは理解できたが、なんと横暴な女神様。

もう少し良さげなやり方があるのでは?


「じゃぁ結局ここはどこなんですか、女神様?」


『私は女神ではありません、この場所を統括している、天使です』


(天使と女神とかほぼ一緒じゃんか)


『全く違います』


!?

(この女がm…天使様は思考が読めるのか。言葉の誤魔化しようがないな。…ん?って言うことは、僕が初対面で、この人ちょっとえっちな服装してるな、って思ったのもバレてるのか?だとしたら気まず…)


『…こほん。そんなことより、改めて言いますがここは死後の世界、天獄界。あなた方人間の考えで言うところの天国や地獄とはまた違います。あなたは人を助けるため、その命をなげうった。あなたのようなまだ死ぬべきでないと判断された命はこの天獄界に残り、パラレルワールドへの転生が行われるのです』


「パラレルワールド?」


『遥か昔、原初の世界は唯一のものでした。しかし、あまりにも強力な力を持った者の誕生や、培っていた技術の暴走。これらのような事象によって世界は唯一ではなくなり、分岐が起きてしまう。このことを我々天使はパラレルワールド、と呼んでいます』


ふむむ…正直わからなかったけど…異世界のようなものだろう。


「僕はどんなパラレルワールドへ行くことになるんですか?」


『物わかりが良くて助かります。(分かってないらしいけど)あなたが行くのは魔法とスキルの世界。しかしその代わり科学技術が未発達。…して、転生時の注意なのですが…………


(…魔法?…魔法!?魔法って言ったのか今!?中二病真っ盛りの今の僕には、「魔法」というフレーズは刺さるものがある。魔法かぁ…どんな魔法を使おうか?王道の炎、でも氷や風も捨てがたい…

このときの僕は灼熱の炎で敵を焼き尽くし、絶対零度の氷で無双する自分をありありと想像した。

想像、妄想は中学二年生の僕の得意分野だからな。)


 ……ということなのです。理解しましたか?』


「んぇっ?えーと勿論理解しましたよ」


天使様が転生に関する注意を言っていたらしいがそんなこと知ったこっちゃないさ。今の僕は魔法への期待が膨らんで膨らんで爆発寸前なのだから!


『…まぁ良いでしょう。それでは、来世では後悔無きよう、行ってらっしゃいませ』


その瞬間、僕の体が宙に浮く。そして…

「うわぁっ!?」

僕の体が末端から崩れ始める。でも天使様が何も言わないってことはこれで合ってるんだろう。

一抹の不安はあるものの僕はなるがままに体を委ねた。


僕の体は完全に崩れ、それと同時に僕の意識は途切れた。




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