#実神鷹 ―出会い― 1
『今日の放課後、視聴覚室まで来てください。大事な話があります。』
女の子の字であろう丸い文字が、僕の持っている紙に書いてあった。
これはいわゆる手紙というやつだろうか?
差出人の名前は無い。
「何これ?」
言いながらも、この手紙が何なのかはうすうす感じてはいる。これは、いわゆる呼び出しであって、呼び出し以外の何物でもない。そして、何の呼び出しかということも。
だがしかし。それにしては不自然だ。もしこれが、僕の想像するような告白系イベントであるとするなら、いくつか疑問な点が沸いてくる。
「いや―――無いだろ。だってまだ4月だぜ?」
もしかしたら、僕は中2病で、手紙=告白という勝手な解釈をしてしまってるのかもしれない。舞い上がってるのかもしれない。調子に乗ってるのかもしれない。
それに、さっきも言ったとおり、今はまだ4月である。高校に入学して、2週間。もし告白だというのなら早過ぎないか?いや、そもそも告白とかじゃないのかもしれないんだけど………
結局僕は、視聴覚室に行くことにした。きっと可愛い子が照れた様子で迎えてくれるんだろう、というささやかな期待を抱きながら(多分嘘)。
しかし、実を言うと、僕はあまり乗り気ではない。別に告白されたいわけじゃないんだ。ただ、教室に入った途端に数人に囲まれて、バットで殴られるようなパターンも想像できなくもない。
一応用心して、そっと視聴覚室のドアを開けた。部屋の中には入らず、ただただ確認行為を行った。しかし、そこに居たのは喧嘩腰の男子達ではなかった。
部屋の隅にちょこんと立っている女の子。うちの制服を着てるので高校生で間違いないだろうけど、やけに身長が小さかった。150ないくらいだろうか………僕が目を合わせた瞬間に、その小さな体がびくっと震えた。
僕はまだ気を抜かない。
この女の子はおとりで、僕が部屋に入るやいなや、男子達が乗り込んでくる可能性もあった。
が、それも僕の心配だけに終わる。
全く――何でこんなに用心してるんだろう………
「あ、あの、実神くん……ですよね!?」
唐突に、女の子が口を開いた。
「あ、そうだけど……」
「じ、実は私、えっと、あれ、あ、違う。えっと、私、岡後舞魅っていいます!」
中途半端ですいません。