第17話 いざ、霊園教の教会へ
~リドール視点~
「リドール君、ベーラーさん。
準備は良いですか?」
「うん!」
『はい!』
「では…『リカエル救出作戦』を始める!
霊園教の教会へ行くぞ!!」
「いぇーい!」
ついに出発だ。
ご主人様がいる霊園教の教会へ。
とっくに覚悟は決めてある。
死ぬかもしれない。
その可能性だってある。
正直怖いさ。
でも、ご主人様を守るって決めたんだ。
絶対に、ご主人様を救って見せる!
そうして、自分たちは『アラウン・フォックス』村を出て、霊園教の教会へ向かった。
あ、そういえばベーラーさんがなんで『アラウン・フォックス』村にいたか聞いたけど、本人曰く。
「休憩場所にしようとしていたから」
らしい。
「はぁ、はぁ、はぁ…………
オリア、霊園教の教会は後どれくらいで着くんだ?
もうかれこれ3時間は経っているぞ?」
ベーラーさんは汗を大量にかきながら呼吸が乱れていた。
それは、もう3時間も歩いたからだ。
確かに、自分も体力が限界へ近づいている。
人形だから汗などはかかないが、心のどこかで疲れている。
だが、師匠は全然平気そうだった。
汗もかいていない、呼吸も乱れていない。
「ん?もう3時間も経ったのか。
歩いて向かっているから後10時間くらいかな」
ベーラーさんは師匠のその言葉を聞いて、目を白黒させた。
「へ?
今なんて?」
「だから、歩いて向かっているから後10時間くらいかなって言っているんだよ」
「そ……んな」
なんかベーラーさんがめっちゃ可哀想に見えてきた。
「じゃあ、なんでオリアはそんなに平気そうなんだよ」
そう、それ!
それ自分も師匠に聞きたかった!
「え?いや、別に特別なことしているわけでもないよ?
俺には《健康》ってスキルがあるから汗もかいていないし、呼吸も乱れていないんだ」
………………え、ああ、そういうこと?
へー、スキルのお陰なんだ。
へー。
この時の自分は師匠に嫉妬していた。
だってズルくない?
なんだよ《健康》って。
能力そのままにしたみたいなものじゃん。
って、あれ?
自分ってこんなこと思う性格だっけ?
そういえば、作られた人形は作り主の性格にどんどん変化して成長していくと聞いたことがある。
もしかして、それで?
それでこの性格に?
まぁ、でも。
ご主人様に近づけたならいいと前向きに思っておくか。
問題はベーラーさんだ。
師匠のスキル《健康》を聞いて、ベーラーさんはフリーズした。
たぶん、自分と同じことを思っているだろう。
ズルいと。
もしここでベーラーさんの機嫌は悪くなって協力するのをやめてもらってしまうと、ご主人様を救える可能性が減る。
なんとかして、ベーラーさんを休ませないと!
『もう3時間も歩いたんだし、少し休憩しませんか?』
べーラーさんのこともだけど、自分自身もかなり疲れているから、正直休憩を入れたい。
お願いします、師匠!
「……………まぁ、そうだな。
そろそろ、休憩しないとな。
ちょうど今歩いているこの森の近くに、カフェが有名な『ナビレ』町という町があるから、そこで一旦休憩を取ろう」
『え!?』
「ほ、本当か!?」
自分とベーラーさんが驚愕した。
ベーラーさん、これ、実は本当なんです。(たぶん)
って、そんなこと考えている場合じゃない!
これで、休憩が出来る!
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