第16話 SS2~魔物に転生~
ん?ここはどこだ?
確か最後に見た光景は………
突然転移してきた竜の魔物が息を吹こうとしているところまでだ。
一体その後どうなったんだ?
でも、体の感覚は口を除けばあるんだよな。
口を除けば。
そう、口の感覚がなぜかない。
この特徴………人形という魔物の特徴に似ている。
それに、今思ったけど。
あんな巨大な竜の魔物が息を吹いたら、家は大変なことになっているだろう。
それに、その家の中にいた俺もヤバいことになっている。
なのに今の俺は口を除けば腕の感覚もあるし、足の感覚もある。
これは…………転生?
俺は死んだのか?
でも、死んだ可能性の方が高い。
だって、状況が異常すぎるから。
………………それに、死んで転生した根拠はまだある。
それは、今俺がいるこの場所が知らない洞窟の中だからだ。
しかも、俺の周りには全身が白い人形の物体………無数の人形の魔物がいる。
その人形の魔物たちはここがどこだかわからないような顔をしながらここら辺を歩いている。
この人形たちも、今生まれてきたのだろう。
これが、根拠だ。
うーん。
まぁ、とりあえず今は俺は死んで転生したと思って生きていくしかないかな。
前向きにね。
え、飲み込むの早いって?
まぁ、確かに死んで転生したっていうのは悲しい現実だけど…………
俺は元々、あんな何不自由のない退屈な人生をおさらばしたかったからラッキー!
ありがとう神よ……!
貴方様のおかげで俺は魔物という新たな楽しい人生を幕開けできました!
さてと、とりあえずこの謎の洞窟から出て外に行きたいな。
早くシャバの空気を吸いたい。
あ、あっちに道が繋がっている!
行ってみるか!!
『貴様、なぜ妾の領域から出ようとしているのだ?』
これは………《念話》?
一体どこから!?
『はぁ………貴様、妾の場所がわからないのか?
ここじゃよ、ここ。
これでもわからないのならば……力づくでわからせてやる。
スキル《血縁威圧》』
うっ!
なんだこの圧………
首を垂れてしまった。
ん?
前に誰かが来た。
俺が前を見てみると、そこには黒い椅子に座っている女の人間………?とその黒い椅子を持ち上げている2体の進化した人形の魔物がいた。
そして俺は気づいた。
真ん中の黒い椅子に座っている者こそが《念話》を通して俺に出るなと警告してきた本人だということを。
それに、こいつからは尋常じゃない程の赤いオーラが出ている。
そのオーラは俺の圧の元だ。
ついに俺は気がついた。
この真ん中のやつこそが、俺の………この場にいる全ての人形の親ということを。
『安心しろ。
貴様のような新参はパペットとして操り人形のように扱ってやるからな』
パペット…?操り人形…?
俺は、自由で楽しい新しい人生を送れないのか?
そんなのやってられるか!
俺はこんなところ逃げるぞ!!
『き、貴様待て!
おい、彼奴を追いかけて捕まえろ!!』
俺は逃げてやる!
全力で!!
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