第13話 剣聖の称号を持つ少女
~リドール視点~
『生贄!?どういうことですか!?』
自分は汗をかいた。
ご主人様が生贄にされたということは、なにかされたということだ。
そのなにかが死だったら……………
そう思ったら汗をかいた。
いや、考えすぎかだな。
とも言えない。
だって生贄だろ?
生贄っていうくらいならもっとヤバいことをするはずだ。
「実は、昔、俺は霊園教が極秘で進めている実験…………『霊園実験』を手伝っていたころがあった。
その時の俺は金が少なかったから助っ人として手伝っていた。
報酬の額がとてつもなかったからな。
その時の俺はこの霊園教のことをよく知らなかった。
だが、その実験の内容を実際に見てみると吐き気がした。
実験体の人は転移魔法で強制的に実験をする場所へ転移されられ、まず全身に隅から隅まで廃人になる薬が入っている注射を打たれる。
それだけで実験体の人は強烈な痛みを感じ、叫び狂い、眠りにつく。
そして目が覚めると、廃人になる。
廃人になったら、なにもできなくなる。
それをチャンスとし、実験体を殺す。
そんな実験内容だ。
本当にヤバい、あれはヤバい。
なぜこんなことをするか俺は霊園実験を提案し、その進行管理を務めている『ヴィリア・バハムート』という人物に聞いてみた。
そして帰って来た返答は………………
「この霊園実験は死んだ者、つまり霊は本当に苦しみから解放され、楽園へ行けるのか調べるため」だとさ。
この返答にバカじゃねぇの?
俺はそう思った。
なぜなら死んだ者にはもう話などは聞けないから意味がないと思ったからだ。
もし仮に、生贄として死んだ者が霊となり、楽園へ行ったとしよう。
その結果を死んだ者にどう聞く?
死んだなら聞けないだろ。
つまり、ただの無駄死に。
俺はこの日を境に、霊園教とは関わらないようにしてきた。
だが、再び関わらないといけないようだな。
リカエルさんは霊園教の教会の真っ暗な地下室で現在、囚われているでしょう。
まださすがに殺されてはいないと思うけど、すでに注射を打たれているかもしれない。
リカエルさんが目を覚める前に一刻も早く救い出しましょう!
そして、これ以上被害者を出さないために、霊園教を潰しましょう!!」
『はい!』
その霊園実験とかいうふざけた実験でご主人様が殺される前に、絶対に救って見せる!
俺は覚悟を決めた。
救って見せると簡単に言ったが、正直なところ、自分の今の力で本当にご主人様を救えるか自信がない。
いくら師匠がいたとしても、救えることができないかもしれない。
その未来を覚悟して、やっと絶対に救って見せると言える。
ご主人様を守ると決めたんだ、必ず、救って見せる!!
そしてこれ以上被害者を出さないために、霊園教を潰して見せる!!
「なになになに?
アンタら、随分と楽しそうな話してるじゃない。
霊園教をぶっ潰すの?
私も話に入れさせてよ。
この剣聖の称号を持つ可愛い少女の私をね」
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