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襲撃後 其ノ二


 あの時、後方で不気味な落下音を立てて崩れ落ちた二人。 その姿は無惨という他無い。

 確認したわけではないけど、凡そ私の予測では確定済み。


 玄関(ここ)を離れたのは数時間前。 外は薄明るくなっている。

 通行人の一人二人に既に見咎められているかもしれず、そうであればひと騒動だ。 放置したままだったことが今更悔やまれた。


 玄関(ここ)は封鎖するしかないか――


 勝手に訪れてそう為った赤の他人だが放ったらかすのも倫理に背く。 化けて()き纏われても困るので確認後は早急に処理してあげねば、と硝子が抜けた枠のひとつから恐る恐る、そこを見る。

 大きな血溜まり……と思ったら、薄黄色したゲル状のものを垂れ流したものが目に映る。 そこに割れ落ちた硝子の破片()()(まば)らに沈んでいる。

 在るべき筈の目を背けさせる物体は無かったが、逆にゾッとした。 あれ等はどうなったのか? 引き摺り移動させた跡もそれをした何者かの靴跡さえ無い。 


「煙になって消えたなど現実的では無い。しかし溶液で溶かして消し去ったとかも、有り得なくは無いが大事過ぎるよね? 着ていた物だって消失しているのだし。」


 戸を押し開き、この泥濘(ぬかるみ)を避け玄関先のアスファルトに立つ。 微かに立つアルカリ臭。

 化学反応を起こす程の濃度は無いだろう。 水で流してしまっても苦情は出ない……多分。


 水撒き用蛇口に散水用ホースを繋いで、粘度を持つものに勢い浴びせ急き立てる。 押し退かされたそれはガラス片を伴って、歩道の側溝へと流れていく。 グレーチングにガラス片が取り残され溜まっていった。

 箒で掃いて攫って、集まった物を専用袋に詰めて不燃物屑バケツに放り込む。 臭いは取り去らえきれないが、幾分はスッキリした。 証拠隠滅。

 用を終えたホースを輪にして巻いて元の位置に戻したところで、市場からの帰りだろう魚店のトラックが前を通過した。 運転者と目が合い、何故だかニヤニヤされて自分の身なりを目視した。

 体表面を看護婦の様相に投影させることが頭からすっぽり抜けていて、闘志士のスタイルのままだった。 2.5次元崩れとでも思われたか?


 やっぱり玄関(ここ)は封鎖したが良いかも……



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