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 指定された時間と場所で、父に連れられてきたそのラクシュ様と顔合わせをする。その顔立ちは、中世的な顔立ちをしていて、余り西洋人っぽくない、というか、髪色も黒という事もあって身近なものに感じる。少し、幼い感じもするから、可愛い系男子というか…男の娘っぽい感じがする…

 近くまで来て、父から紹介され…カーテシーをすると共に、自己紹介と、挨拶だ。


「グランシュネル公爵が次女のネルアと申します。どうぞネルアとお呼びくださいませ。本日はお越しくださいましてありがとうございます、ラクシュ=ノア=ディベル様」

「こちらこそ、私の打診に快く応じて頂きありがとうございます。ただ、正式な申し込みはまた後程。…お名前をお呼びしても?」

「ええ、わたくしは、騎士様とお呼びしてもよろしいですか?」

「それよりも、貴方様の方がいいですね。そう呼んでいただけますか」


 その問いに、わかりましたと答え、後は二人で。と言って、父は屋敷へと戻った。

 この、ラクシュ=ノア=ディベル様は、少し特殊なのよね。名前を、第二王子であるルーヴェリア様に預けている。というか王族につく護衛騎士はそういうものなのだ。だから、その名前を呼ぶことは、禁忌と言われている。ただ、その王子様から許可をいただければ別、らしい。

 で、そうなるとじゃあ何て呼べば?となるのだけれど、これは騎士様とか、貴方様、フルネームで、あとは最悪、家名のディベル様と呼ぶ事になる。王族が集まる場では、ルーヴェリア様の騎士様と呼ぶことになるので、大変らしいけれど。


 さて、東屋に案内して座れば、ドレスを褒められる。髪色ともマッチしていて良いと、ふんわりと笑うから、すこしどきっとしてしまった。なんかこういうの、しばらくぶりだなと。

 メイドがお茶を入れてくれて…このメイドは、父につくメイドなので、余り接点がなくて、今日もただ粛々と作業をしているだけという感じがして、さみしい。けれど、使われる茶葉は、私の希望した物を用意してくれた。これは領地のお茶だから、それをラクシュ様へ説明していたのだけれど…


「これは、困りましたねぇ」


 ぽつりと聞こえた声に、思わず、「え?」と、声を漏らしてしまった。慌てて指先で自身の口を覆うけれど、そうしても漏れ出た声は消えない訳で。

 ラクシュ様は、困ったように笑うと動かないようにと言ってくるけれど、首をかしげてしまった。あ。また笑われてしまった。言われたことが守れない子だと思われたのかもしれない。まあ…こんな人のよさそうな顔で笑う人だけど、王子様の護衛騎士をしているならば、おそらく何人も妻を抱えるのだろうし…そんな人と結婚なんて遠慮したいので、嫌われるのならその方がいい。

 だからと言って、わざとそういう事をするつもりはない。あくまで、穏便に、修道院生活へ移行したいのだ。


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