表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/107

第90話 時間を稼いで稼いで稼ぎまくる

 

「皆様!長らくお待たせいたしました!!今回、非常に特別な戦いとなっております!今まで見た事もないほど豪華な対戦となっております!!なんと!なんと!!絶対的なS級冒険者として名高いキングと!彗星のように現れ!人々の期待と希望を背負う羽山健人が今日!ここで戦います!」


 なんだか大袈裟だな。完全にショーみたいになってるけど、どうせ雨で何にも見えないよ?


「まずはこの戦士に登場していただきましょう!!来てくれ我らのヒーロー!!羽山ァァァ!!健人ォォォ!!!」


 俺がステージに現れると、今までもずっと響いていた歓声がより一層激しくなる。

 俺はいつみんなのヒーローになったんだ、とか疑問に思いながら、とりあえずはみんなに手を振っておく。好感度は大事だ。うんうん。


「そして!絶対的な冒険者の王!キングゥゥ!!」


 そして、巨大なキングが現れる。さっきまでとは違い、会場全体がシーン静まり返る。前の俺と同じような感じになってて可哀想。気持ちは分かるぞ、キング。

 それにしても、こうして改めて対面すると大きい。見上げなければ顔が見えないし、見上げてもあんまり見えない。

 筋肉も凄いし、普通に戦ったら勝てないよなぁ。普通に。


「……」

「まぁ、お互い頑張りましょうか。キングさん」

「……決めようか。どちらが生き残るのか」

「とりあえずありがとうございます。あのままだと俺は捕まってたんで」

「……」

「どうしてハットに従ってるのか知りたいんで、出来る限り殺されないように頑張ってくださいね」


 キングさんはきっとまともな人だろう。俺に都合の良い人だからそう思ってしまっているという節は多いにあるが、それでもなんとなくそこまで悪い奴じゃない気がする。悪いけど。

 どうしてそうなっているのか、知れるなら知りたい。知れないならどうでも良い。


「それでは両者!!目をつぶって!……金蜘蛛に祈りを」


 司会者的な人が金蜘蛛、と言った瞬間に、会場にブー!ブー!と、ブーイングが巻き起こる。本当にみんな色々と知ってるんだな。

 ネットってコワァ。もし仮に俺が観客側だったらどうしてたんだろ?同じように盛り上がってたのかな?俺を応援して。

 そんな事を考えていると司会者的な人から「辞め!!」という言葉が聞こえてきた。あぁ、そういえば目を瞑らないとだったのか。


「両者見合って!」


 歓声はさらに激しくなる。まだ何にも始まってないのに緊張でダメージが入ってしまいそうなほどだ。

 はぁ!!もう始まるのか!ヤバい!流石に緊張してきた!心の震えが!!


「一言!!」


 あぁ、そういえばそんなの有ったなぁ。何言うか決めてないから、とりあえずキングに先に言ってもらおう。

 ジェスチャーでお先にどうぞ、とやる。すると、キングは口を開いた。


「我は偉大な王だ!!!!我が力を見よ!!」


 ブーイングがまた巻き起こる。つい最近までずっと慕ってたのに。俺も他人事じゃないぞ。ちょっとした?いや、全然ちょっとした事ではないかも知れんが、一つのキッカケでこんなに嫌われちゃうんだ。

 タイミングが悪いだけってのもあるけど、ハットとキングの関わりが明確になっちゃったからな。

 ネットには色々あーでもないこーでもない書かれてるんだろう。本当の事もあるだろうけど、嘘も多そうだ。俺に関してもそう。


「君も一言!!」

「えー、皆さん。危なくなったらすぐ逃げてください。ホントに命の危険があるので」

「「「ウオォォォォォ!!!」」」


 ホントになんでも良いんじゃねぇか?そう思ってしまうほどみんなは熱狂している。

 ホントに逃げてほしいのに。てか、本当の話をすると今すぐ帰って家で観戦してほしいんだけど、中々そうは行かなそうだ。

 みんながどういう風に生きようがそれは勝手だから、別になんでも良いんだけど、ねぇ。


「過去類を見ないほど多くの注目を集めているこの試合!!多くの方がこの行方を見守っています!!この勝敗に未来が掛かっています!!!この熱狂の中で!最後まで立つ事が出来るのはどちらなのか!!!それでは!!!…………はじめ!!」


 ゴーンとゴングが鳴ると同時に、俺は「【天候(ウェザー)】を発動する。

 相手も同じような事は考えていたようで、「【瞬光(シュンコウ)】」とキングが言った次の瞬間には、俺の目の前に、本当に目の真ん前に、剣先がくっきり見えるほど近くまで刃が迫ってきた。瞳を突かれたのだ。


 たまたまゴーパーのスキルで無効化する。無事で良かった。

 アーローさんから教えてもらった通りで大丈夫だ。何度も何度も【鉄人化(スティール)】を発動して、最終的に絶対勝てるところまで持っていく。


「【爆独楽(バクドクラク)】」

「【鉄人化(スティール)】」


 相手の連続攻撃は全て鉄人と化した肉体が無効化する。戦う事は出来ているし、雨も降り始めている。


「《白紙(ホワイト)》」


 前と全く同じように、俺の【鉄人化(スティール)】は解除される。

 その直後に「【直撃(ストライク)】というもはや見慣れた突きを喰らってしまい、16万ほどダメージを受ける。もっとスマートなやり方がありそうだ。改良の余地あり。


 そしてまた俺は【鉄人化(スティール)】を発動する。これを繰り返していけばいつかは尽きる。そうすれば、【破壊雷(ハカイライ)】とかいう超危険な技に頼らなくても試合を決する事が出来る。

 もう既に天候は嵐へと変化している。いつでもアレを発動出来るようにはなった。


「《白紙(ホワイト)》」

「【召喚】」


 俺は、相手がアイテムを使った瞬間に【鉄人化(スティール)】を解除して、有利な状況を作る為に【召喚】をする。この状況でストームが出てきたら、嵐は大嵐になり、呑気に試合を見ている人の中にも逃げようとする人が増えるだろう。


「私も戦うぞー!アハハ!」

「いや!ストームは逃げちゃって?出来るだけ安全な所まで」

「いいのー!?」

「話している場合か。【愚者(フール)】」


 持っている剣を空中に投げ、腕をブンブンと振り回す。

 攻撃までの時間が長かったので俺はひとまずガードでスキルを防いたが、その攻撃が発する波動は俺を動かし、闘技場のステージの壁に衝突させた。

 その上、キングはもう一度【瞬光(シュンコウ)】を発動し、俺の瞳をもう一度突き刺した。

 ダメージの無効化は出来ず、合計12万もダメージを喰らってしまう。どう考えても俺が不利だな。やっぱり【鉄人化(スティール)】するしかない感じか。


 そうこうしている間に、【天候(ウェザー)】によって発生した嵐と、ストームによって発生している嵐が混ざり、空は太陽が死んでしまったみたいに真っ暗に変わる。

 夜みたいだ。それに、雨は俺たちの身体に痛いほどぶつかり、ダメージを与えてくる。風にも吹き飛ばされそうだし、どう考えても死ぬほど寒い。

 あんなに防寒具着込んだのに……全くとは言わないけど、ほとんど意味ないじゃん。

 キングの剣先も微かに震えている。お互い大変だな。


「【鉄人化(スティール)】」

「何度やっても無駄だ。《白紙(ホワイト)》」

「【召喚】」


 アーローさん曰く10回。不可能な回数ではないが、ちょっとした不運ですぐに崩れてしまうような、ギリギリの戦いだ。

 今俺が当たっているスキルは全て速さを優先している、攻撃が低い物ばかりだ。だから何とかなっているだけ。


「キシシ!俺に何のようだ!?」

「ちょっと盾になってくんない?無理?」

「良いぜ!お前が死んだら俺も死ぬからなぁ!」


 体力を回復する必要がある。時間を稼いで稼いで稼いで稼いで稼いで稼いで稼いで、稼ぎまくらないと俺はキングに勝てない。

 痛い雨は俺に僅かなダメージを与えてくるが、《リジェネ》はそれを帳消しにする。お前はそうはいかんだろ、キング。


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!他の人に広めてもらえたりなども嬉しいです!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ