表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/107

第87話 金蜘蛛の捕獲

 

 【破壊雷(ハカイライ)】を発動したせいか、俺のスマホは故障してしまい、ただの文鎮になってしまったので、アーローさんに連絡が取れなくなった事を報告する為、事務所まで来た。転移先に携帯ショップを登録しておけば良かった。


「あ、こんにちは」

「どうかしましたか?あ、そういえば私からもお話ししたい事がありますので」

「アーローさんから?」


 おそらくキングとの決戦に関する事だろう。一週間後には俺は彼と戦わなければならない事になっている。なんか最早ワクワクしてきた。死ぬかもしれないのに。


「映像、途中まで見ましたので。《白紙(ホワイト)》を使われてましたね」

「あぁ、あの、お札みたいなアイテム」

「あのアイテムは市場に中々出回ってませんので。使い続けさせればいつかは無くなります」

「あ!そうなんですか!?どのぐらいで?」

「多くても10ぐらいなので。私たちの方でも売ってる《白紙(ホワイト)》はひたすら回収しましたので」

「あ、ありがとうございます。あぁ、そっか。それなら案外すぐに……すぐには難しそうですけど簡単に決着が付きそうですね」


 色々と勝つ為の手段を考えていたが、【波紋化(ウェーブ)】+【鉄人化(スティール)】の体制が築けてしまえば、あらゆる敵に勝利する事が出来る。


「しかし油断は禁物ですので。あの映像内でも何度か殺されかけてましたよ?」

「あぁ、それはもう重々承知しております」

「ネットで勝敗予想がされているんですが、今ちょうど半々ですので。貴方には期待も、私の貯金もちょっと乗っているので頑張ってくださいね?」

「あはは……頑張ります」


 賭けとかするタイプなのか。というか、そんなギャンブルが存在するのか。

 半々、普通に考えればキングが勝つという風になるはずなのに、半々になっているっていうのは重たい物を感じる。色々な人の人生も背負っているのか?


「それで?用事があるんですよね?」

「あぁ、実は特訓してたらスマホが壊れちゃって……ちょっとの間連絡が取れなくなるかもってだけの話です」

「壊れるほどの特訓ですか?」

「まぁ、ちょっと……俺にも良く分かってないんですけどもね」

「?」


 頭を傾げたアーローさん。いつもと違うテンションなのは、きっと俺と同じようにワクワクしているからだろう。

 やっぱり戦いだよな!裁判なんて重苦しいよ!戦おうよ!よっしゃ!


「一応勝算はあるので期待はしといてください。負けたらどうせ全部ダメになりますし」

「そうですよ。もう喧嘩売っちゃってるので」

「それでもトリガーラッキーさんならなんとかするんでしょうけどね」

「でしょうね」


 湧き上がる闘志を押さえつけながら、俺は携帯ショップへと向かい、新しいスマホを買う。どうせまた戦闘の時に壊れるんだろうな。いや、持っていかなければ良いのか。

 データの引き継ぎを終わらせてみると、ブラックさんから連絡が入っていた。『カジノに来てほしい』という内容だ。

 なんだろうと思いながら、俺はそこに向かう。転移(テレポート)で。


 豪華絢爛キラキラカジノ。俺はその中に足を踏み入れる。目的地はブラック殿。

 堂々と歩いていると、カジノのお客様方からお声がかかる。なんとも嬉しい物でしてね。えぇ。


「よく来たな。歓迎するよ」

「ありがとうございます。それで?ご用件は?」

「簡単だ。この後時間は空いているか?」

「うーん……まぁ、空いてますね」

「それなら今から金蜘蛛を捕獲しに行こう。ここに住まわせる許可が降りたんだよ」

「あぁ、おめでとうございます」


 また『始まりの大地』か。まだ地形は回復してないのかな?時間が経つと勝手に元の姿に戻っていくみたいだけど。

 残念ながら、今日この後の予定なんて何にもなかったので、俺はブラックさんに付いていく事にした。

 あの子の事もちょっと気になるし、作業もどうせ長くなるだろうし。


「分かりました。今からですよね?」

「そうだ。【転移(テレポート)】」


 ブラックさんって冒険者だったんだ、とちょっと思いながら『始まりの大地』へと移動する。まだ隕石がぶつかったような穴は空いていた。


「なんだ?これは」

「あぁ、ちょっと……まぁ、色々と」

「関わってる?」

「まぁ、関わってはいますね……いや、もう探し始めましょうか、金蜘蛛」

「……そうするか」


 説明するのも面倒だったので、なんとかはぐらかし金蜘蛛探しへと移る。しかし、金蜘蛛ってどうやって見つければ良いんだろうか?ゴーパーにでも聞いてみるか。


「ゴーパー?金蜘蛛ってどこら辺に居ると思う?」

「俺を自由にしてくれたら見つけてきてやるぞ?」

「そう。なら【召喚】」


 ゴーパーを召喚すると、彼は何を言う訳でもなく何処かへと走り去ってしまった……追いかけてみようか。

 こんなんだろうと思った……思ってなかった。まぁ、良いや!どうせ長くなりそうだったし。


「俺はゴーパーを追いかけます。ブラックさんはブラックさんで頑張ってください」

「見つかったら連絡してくれ。私は川に向かう」

「分かりましたー!」


 生贄にされそうだったあの子の事に付いて、作業中になんでもない感じで聞こうと思ってたけど、このままだとそうはいかなそうだ。

 合流した時に不意に切り出せばいいか。というか、多分安全な場所には居るだろうから、そんなに心配しなくてもいいか。

 もしかすると感謝されたいのかもしれない。そんな考えもありつつ走る。


「待ってー!ゴーパー!」

「キッシシ!!お前足早くなったな!!」

「このままだと追いついちゃうぞー!良いのかー!」

「そうはいかないぞ!?ホラ!」


 色々とあった俺の身体能力は高まっていて、ゴーパーぐらいなら余裕で追い付けるぐらいの速度を出せるようになっていた。しかし、彼には蜘蛛の糸がある。空中を自由に縦横無尽に動き回る。

 どこかにある糸を絡め取ったり、切ったりすれば落ちてくる事は知ってるので、ハンマーを空中に向かってブンブン振り回しながら走る。変質者。


 あぁ、こうして何にも考えずに走っている時間が1番楽しい。なんで色々と面倒な事が俺にはのしかかってくるんだ。

 俺がキングを倒さないと、ハットがまた元気になって、前と同じような事が繰り返されそう。


「おら!」


 空中にあるゴーパーの糸を見つけ、それを絡めとるように手繰り寄せると、空を自由に歩いていたゴーパーは地上へと落下する。

 俺は何故かそこに思いっきりガバッと抱きつき、もう逃げられないようにした。


「捕まえた!」

「キシシ!俺を捕まえてどうするんだ?金蜘蛛を探してんだろ?」

「あぁ、そういえば……」

「せっかく俺が見つけてやろうとしてたのにな?」

「いやぁ、逃げるから……」


 逃げるから謎に追いかけていたけど、そもそもゴーパーを捕まえる為にここにきた訳じゃない。

 そんな感じで本来の目的を思い出した所で、ブラックさんから金蜘蛛を見つけたという連絡が入ってくる。普通に川に居たそうだ。


「あ、金蜘蛛見つかったってさ。行こ」

「久々に楽しかったぜ!キシシ!」

「そう?それなら良かった」


 ゴーパーは追いかけっこが好きみたいですね。

 ローズも追いかけっことかで喜んでくれたら良いんだけど、中々そう単純でもない。部屋で暴走しちゃってから、お互いになんとなーく距離があるようなないような。

 いつかはなんとかしないとなぁ、とか思いながら、ブラックさんの元へと向かった。


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!他の人に広めてもらえたりなども嬉しいです!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ