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第72話 森の奥の洋館

 

 煌びやかなカジノの中にある意味深な金蜘蛛のモチーフ。

 秘密結社『グリッチスパイダー』の証であろうこのモチーフを見ていた。

 しかし、アーローさんが言うにはここのオーナーであるブラックさんは、自身の信仰を匂わせる為にこうしているのではなくて、純粋に金蜘蛛が好きだからこうしているらしい。

 そう考えると可愛らしいようにも見えるが、やっぱりなんとなく不気味なのは間違いない。


「お!羽山健人!久しぶりだな!」

「ゴーパー!元気してた?」

「キッシシ!相当元気だったぜ?お前らは?」

「……あ、私は大丈夫」

「キシシ!アルダードとストームはどうしたんだ?」

「2人は俺の家にいる。めちゃくちゃバカみたいにデカい巨大な大豪邸を買ったからさ」

「俺にも早く見せてくれよ!」


 ゴーパーは変わらないな。こんなゴーパーを信仰している人が裏で世界を支配しているだなんてなんだかバカみたいなお話しだ。

 ブラックさんもバカらしくなってるんじゃないかな?信仰していた金蜘蛛がこんなにも軽い感じの雰囲気だったなんて。

 俺は前に案内してもらったカジノにある事務所に1人で赴く。はぁ、怖いなぁ、なんかいきなりヤバそうな人達に囲まれたらどうしよ。


「失礼します。羽山健人です」

「来てくれたか。どうもブラックだ」


 前に会った時と同じように、すごいスマートでなんだかカッコいいブラックさん。この人も水色の髪の毛をしている。そういえばコッパーさんも水色だったかな。


「君をここに呼んだ理由は簡単だ。金蜘蛛をパーティーに招待したいという人達がいてね。それをお願いする為なんだよ」


 つまりは例の秘密結社の会合に行く事になるという事か?それならアルダードもストームも戻しといた方が良いかな?俺がダメそうな時は協力してもらう感じで。

 嫌だな、さっきの話を聞いてからいきなりこんな提案をされても乗り気になる訳がない……はぁ、でもこれも俺の運命かな。


「……分かりました。ちなみに、そのパーティーってどんなパーティーなんですか?」

「ハハハ。金蜘蛛を愛する者達の集まりだよ。あらゆる物よりも金蜘蛛が好きなのさ」

「……そ、そうですか」


 ビンゴだ。あの、ビンゴです!

 秘密結社に乗り込むとかそんなスパイみたいな事するとは思わないじゃん。スパイ、スパイ。

 俺はまるでスパイだな。うーん。どうやら思考が纏まらないみたいだ。束にならないで散らばってる。


「問題ないよな?羽山健人君」

「は、はい!問題ないです!」

「よろしい。それでは私が車を出す。それまではゆったりしていなさい」


 スマホを取り出して何処かへと連絡をしているブラック。超怖いです。町。帰りたーい!誰かー!助けてー!


「キッシシ!俺に会いたいんだってな!」

「そうだね……うーん、良い人達だと良いけど」

「良い奴らに決まってんだろ!?俺に目を付けるってのは良いセンスしてるよ!」

「そうなんですかねー」


 さっき聞いた話をゴーパーにする訳にもいかず、そして、ブラックさんの前で強く否定する訳にもいかず、気まずい。

 やっぱりこういうめんどくさいのは、嫌いですな。出来れば戦闘だけで全部を終わらせたいんだけど、中々そうもいかない。

 色々嫌にもなってきたけど、あとちょいだと思って頑張ってみるか……いや、どうせなら楽しんじゃった方が良さそうだな。奇妙な体験が出来ると思って楽しもう。それ以外にもうない。


「ブラック様。車の用意が出来ました」

「そうか。それでは行こうか、羽山健人とゴーパーくん」

「キッシシ!行こうぜ!」

「まぁ、外では自由にしちゃダメだけどね」

「車の中だぞ!?ダメか?」

「私有地だけだから。【召喚解除】」


 車移動って事は車道を進む訳だから、公道でゴーパーを召喚する事になってしまう。もう正直これ以上アーローさんに迷惑かけられんとですよ。本当にそれですわ。

 俺たちは歩いていく。前を歩くブラックさんの後ろ姿が立派すぎて従いたくなってしまった。身長も相当高いし、別の世界の住人って感じがする。

 これから先はおそらく危ない世界だ。俺も人を殺す覚悟をしておかないと。そして、もっと言えば酷い世界を見る覚悟をしておかないと。


 そこで人体実験や生贄の儀式が本当に行われているのであれば、俺はそれを見る事になる。うん。大変だ。

 グロ耐性ないけどどうしよ……とか思ってたけど、シリンの所でモンスターのグロテスクな姿を見ていた事を思い出す。

 俺はその時に思った。結局のところ、俺はモンスターを人間のように扱えないのだろうと。モンスターだから内臓を見ても問題なかったんだ。

 でも、俺がどう思うのかは関係ないのであった。将来はみんながモンスターを人間のように扱ってるといいな。


「君のおかげで客足が倍だ。入場料を高くしたんだけどそれでも波のように押し寄せてくるんだ」

「ありがとうございます。まぁ、ゴーパーのおかげだと思います」

「そうかもしれないね。助かるよ、ゴーパー」

「キッシシ!感謝しな!」


 実際問題俺はどう思ってるのかな。今こうして話すと人間のように思えるんだけど、根本的にどこかでモンスターをモンスターとして見ている。

 それからしばらく車に揺られる事数時間、どこかも分からない街から随分と外れた場所にある洋館に辿り着いた。長かった。窓の外の景色ばっかり見てた。途中から。

 周囲には木々が生い茂っていて、いかにも秘密結社の拠点という感じがある。なんだか古めかしいこの洋館は、やっぱり大昔からあるのだろうか。歴史を感じる。感じざる。


「ここだよ。ここまでありがとう」

「またお呼びください」

「え?行っちゃうんですか?」

「長居する事になりそうだからな。残念ながらここでお別れだ」

「ごゆっくりお寛ぎくださいませ。羽山健人様」


 オイオイオイオイ。本当にホントにこの中ではヤバい儀式が行われているんじゃないか?秘密結社が居るんじゃないか?

 いやー、さっきアーローさんにあの話を聞いたのマジで間違いだったかもしれない。これで何にも無かったらなんなんだって感じだしな。


「こんなところにまで。あの、大丈夫ですかね?俺みたいなのがこんな立派な所に入っちゃって」

「衣装は向こうで用意されているよ」

「衣装?」

「パーティーにそんな姿で行くつもりだったのかい?」


 俺は全身に鎧を纏っていたし、背中にハンマーを背負っていた。まぁ、このまま入ったら多分俺が1番高い服を着ている事になる?

 アクセサリーを含めたら5億グル以上を纏っている人も普通にいそうだな……なんかイメージが大きくなりすぎてるか?

 てか、アルダードとか呼ぶの忘れてるけど、このまま行っても良いのだろうか?なんか不安だ!


「有名な冒険者がいるそうだから挨拶でもしてコネを作ると良いよ」

「コネ、なるほど」

「便利だよ。人間が1番便利だ」


 怖い事を言うブラックさんと並んで、洋館の前にある巨大な、4メートルぐらいはありそうな門の前に立つ。門の横にある柵から見える中庭は、一目見ただけでも数億の価値を感じた。

 よく分からない花がきれーいに並んでいる。噴水もあるし、豪華!金持ち!秘密結社!これだけ立派な庭を維持するには中々お金がかかるだろう。全然相場は知らないけど。

 ビクビクしながら門の前に立っていると、それがいきなり開き、中から頭を下げた執事が出てきた。


「いらっしゃいませ。こちらにございます」

「ありがとう」

「あ、ありがとうございます」


 ここは入り口だ。きっと地獄の入り口。怨念渦巻いているんだ。おんねん。

 どうにかなりそうだった俺は中庭を進んでいく。沢山の薔薇が並んでいて綺麗だ。洋館も凄い綺麗だった。


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!他の人に広めてもらえたりなども嬉しいです!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

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