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第60話 新たなS級冒険者

 

 選挙当日までの日々は、ひたすらに復興の手伝いをしている日々だった。日々と言っても大した日数じゃないけど。あちこちの避難所に行った。

 俺は眠らないから、別に問題なく24時間手伝えたけど、ジャックさんもそれに近い感覚でずっと働いていたのは驚いた。

 途中でカフェインがスゲー入ってそうなドリンクを飲んでいたところをみると、もはや気合いで乗り越えているんだと思う。大変だ。


「選挙なんだってな。お前なら昇級出来るだろう。一段落付いたらもう一度会おう」

「そうですね、なら秘書のアーローさんとの連絡先も」

「そうだな。一緒に冒険に行こう。お前は色々と勿体ない」

「え?まぁ、行きましょう」


 勿体ない、とか言われてしまう。まぁ、俺は完全にスキルでゴリ押ししているタイプだから、もうちょい俺自身に実力があったら、色々と簡単に物事は進んでいく可能性がある。


「メイルの秘書にも連絡しておいてくれないか」

「あぁ、分かりました」


 メイルさんの秘書って誰なんだ?そんな疑問を持ちながらそこで待っていると、車がやってくる。運転手はアーローさんだ。


「あ、この方がアーローさんです。秘書の」

「今度、羽山健人とダンジョンへ行く事にした。こちらも秘書を通して正式に依頼をさせてもらうよ」

「え!あ、分かりました。それでは私の方でも準備をしておきますので」

「メイルの秘書とも繋げられるか?」

「あぁ、それは私ですので。それも任せてください」


 そうだったんだ。アーローさんってめちゃくちゃ大変そうだな。心配の種であろう俺はアーローさんの事を少し心配していた。しているだけだね。


「選挙当日ですけど、トリガーラッキーさんの様子は?行けそうなんですか?」

「ニュースとか見てません?」

「まぁ、ずっとお手伝いしてたんで。ちょっとは見たかもしれないですけど」


 サイトに俺の写真が出てたのにビックリして、すぐにサイトを閉じちゃったんだよな。

 でも、スマホのニュースサイトにトリガーラッキーさんの名前がズラーッて並んでいるのを見た気はする。良いニュースだろうか、それとも悪いニュースだろうか。どっちもあり得るなぁ。


「英雄扱いですよ。もちろん、犯人を殺してしまった事に対する批判や、事前にこの事を知っていたんじゃないか?という指摘もありますけど、ニュースのほとんどは称賛で溢れ返っていますので」

「はぁ……そうなんですね。じゃあ大丈夫そうかな?」

「貴方も色々なところに名前が出てますので。なので、貴方も問題なく当選すると思われますよ」

「それは、まぁ、良かったです」

「そもそもがDからC程度の昇級ですからね。そんなに心配する必要なんてないんですけどね」


 その言葉に少し安心しつつも、車は進んでいく。事務所が近くなってくると妙な列が歩道に並んでいて、なにかを熱狂的に待っている人の気配を感じた。

 すると、その中の1人が車内の俺に気付いて手を振る。俺は振り返す。


「後部座席は外から見えない方が良いと思うんですけどね」

「あの人たちは?」

「トリガーラッキーさんの昇級を期待している人たちですので。ここから事務所までズラーです」

「ズラー?結構距離あると思うけど」

「まぁ、S級への昇級なんて久しぶりなので」


 俺はさっきからずっと手を振り続けている。最初は1人だったのが段々と増えてしまい、今ではみんな俺に気付いてしまった。なんだかスターになった気持ちだな。うーん。


「人混みが凄いですね。通れなくないですか?」

「そうなので。車内で待ちますか?どこかの駐車場で」

「そうした方が良さそう……」


 事務所の前には人混み。今もはや人が団子になって固まってしまっているみたいだ。ちょっと道路にはみ出してるし。

 熱狂的だなぁ、とか思いながら、俺たちは少し離れた場所にあるコインパーキングで、結果が出るのを待つ。タピオカ飲みながら。


「アーローさんは行かなくても良いんですか?」

「私は元秘書なので。今は別の人が秘書をしていますので」

「へぇ……誰が?」

「チキンという方です。ご存じですか?」

「知らないかも。まぁ、沢山いますし、冒険者」

「知っておいてくださいね。失礼のないように」

「まぁ、努めます」


 無理な話だ。いや、無理じゃないんだけど、人の顔覚えるの怠いからしたくない、したくないというか、覚えられない。努力したくない。


「そろそろですよ。貴方とトリガーラッキーさんの結果は同時に出るので」

「選挙ってどこでやってるんですか?そういえば」

「ネットです。簡単なので投票してください」

「まぁ……はい」


 それからしばらく待っていると「やっ、やったー!」とアーローさんが言い出した。その様子を見ると、まぁ、普通に当選したんだろう。きっと俺もだ。


「2人とも無事に当選です!良かったですね、2人ともで」

「確かに。俺だけ落ちてたら気まずいですしね」

「これから忙しくなると思います。本当はまだまだこれからなんですよ。大変なのは」


 何が大変なのかはよく分からないが、今後はトリガーラッキーさんもS級ダンジョンとやらにも行くのだろうか?

 そうすると死神とかストームみたいなボスと戦う事になるんだろうけど、結構大変そう。


「あの、こちらにサインお願いします」

「はいはーい」


 いつものように昇級の後のサインをすると


『称号を獲得しました!スキルを解放する為にメールを開き、添付されたURLのサイトにアクセスしてください!』


 といつもみたいに声が聞こえてきたので、スマホを開いて確認する。


 ________________



【上級冒険者】の称号を得ました!

 おめでとうございます!


 ________________ 


 どんなスキルが付いてくるんだろう?と思いながら、スキルを見る。


 ________________ 


 〈ベーススキル《カンスト》〉

 [スキルを解放しますか?]

 《はい/いいえ》

 ________________ 


「あの、カンストってスキルはどんなスキルですか?」

「簡単ですね。ステータスの上限がなくなるというスキルです。今は体力が99,999しか伸びないと思うんですけど、それが手に入ると無限に体力が増えます」

「へぇ……」

「カンストする事なんて中々ないので、基本的には無駄なスキルになりますけど、貴方なら使えるんじゃないですか?そのスキル」


 へぇ、とか思いながら《はい》を押す。すると、《カンスト》というスキルを手に入れる事が出来た。

 俺ってステータス低いから使う機会無さそうだけど、S級になる為にはないとダメなスキルかな。


「そういえばトレーニングメニューはちゃんとこなしてますか?もちろん、大変なのは分かってますけど」

「ちゃんとやってますよ。一応毎日」

「おかしいですね。それなら解放されてるはずですので……あ、ダンジョンか」

「え?」

「一日中ボスと戦っているせいでリセットされてるので。残念ですので」

「まぁ、それならしょうがないですね」


 嬉しい気持ちはちょっとかき消される。当選したのは一応嬉しいが、トレーニングが無駄だったのは凄い悲しい。

 無駄と言ってもそこまで無駄ではないのか?実際に、復興の手伝いやっている時にはいつもより体力あるなぁって感じたし、なんか内部ステータス的な何かが良くなってるのかもしれない。


「さてと、事務所前は大変だと思いますので。今日はホテルを予約してありますので」

「あ、今日も?」

「なので」


 俺は車に揺られながら窓の外を眺める。どこまで昇級するんだ?俺は。とりあえずはS級目指すけど、ホントになりそうだな。


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!他の人に広めてもらえたりなども嬉しいです!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

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