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第50話 SSS級冒険者

 

 みんなでシリンを捕まえた翌日。街にある大きな液晶に俺たちの顔とシリンの顔が映っていた。

 どうやら大ニュースだったらしく、その他あらゆるニュースサイトがこの事を扱っている。

 トリガーラッキーさんの予想通り、シリンは人間をモンスターに改造していたらしい。やっぱり運命ってあるのか?


「捕まえましたけど、まだこれで終わりじゃないんですよね?どうなるんですか?結局」

「ソルドがシリンと話している所を撮った写真を持っているので。これを今からネットにばら撒きます」

「え?……なるほど。でも、話してるだけだったら別に問題なくないですか?一応シリンも冒険者なんですし」

「関係ないので。それをすればソルドは動き出しますので」


 この人怖いなぁ。仲間で良かった?けど、間違いなく敵にはしたくない。防御不可能な運命で攻撃してくるんだから勝ち目がないわ。


「それに警備員の方の証言もありますので。ちゃんと証拠らしい証拠もありますよ?」

「あぁ、それなら……まぁ、良かったんですかね?」

「そもそも昨日の襲撃にも証拠はなかったので。今更いい子ちゃんぶらないでください」

「……確かに……まぁ、そうですね」


 トリガーラッキーさんは結構厳しい人だ。

 アーローさんは俺がどれだけアホだったとしてもある程度手加減をした表現で、というか、自分の中で感情を押し殺してしまうが、トリガーラッキーさんは思いっきり言ってくる。辛い。うん。


「大体こんな感じですかね。写真の拡散は終わったので」

「早いですね……」

「どうすれば沢山の人に見られるのかも分かるので。というか、沢山の人に見られるのが運命なので」

「なるほど、凄いスキル……え?それって間違ってる事ないんですか?」

「間違う事はないですので」

「……俺の将来ってどうなってます?それって聞いても?」


 聞いてみてから怖くなる。もし仮にローズとの約束破ってたりしたら、どうな気持ちでこれから生きていけばいいんだ。そうなったら俺は運命を変える必要があるのか?でもどうやって?


「SSS級冒険者になってますので」

「え?何ですか?それって」

「貴方がS級冒険者になった後、同じS級冒険者のみんなで相談して貴方を特別な存在にしますので」

「……本当ですか?」

「はいなので。特別な存在がSSS級冒険者です。もっと言えば王様ですので」


 王様だったらローズとの約束を守れそうだ。でも、王様って言ってもそこまでの権限はない?なんだかよく分からないけど、いきなり責任感が背中にやってきた。

 自分にとって一番大事なのは、ローズとの約束を守る事だ。それが叶うと、叶いそうだというのなら、それで良い。


「それでは行きましょう。明後日にはソルドを殺していますので。その準備なので」

「え、明後日?」

「はいなので。今日私たちがやる事はシンプルなので」


 色々と早い。やっぱりこの人の生きてる世界は俺たちのところとちょっと違うような気がする。というか、明後日俺は人を殺してる?なんか、なーんか嫌だなぁ……いくら正義?正義の為とは言え。

 なんだっけ?ソルドって人はなんで殺されないといけないんだ?あれ?その説明受けてなくね?


「あの、ソルドって人は何をしたんですか?」

「これからするので」

「じゃあ、これから何をするんですか?」

「召喚獣を放ち街の人を殺そうとしているので。それによってこの世界の均衡を崩そうとしていますので」


 俺と方向性が一緒みたいな事言ってたけど、そういう意味で?確かに俺はモンスターが自由に街を歩けるような世界を作りたいと思ってたけど、それを無理やりやろうとしているのがソルドさんって事か?


「でも、なんでそんな事を?」

「さぁ?そこまでは私には分かりませんので。ただソルドと話す機会はありますので」

「その時に……」

「はいなので」


 うーん、これから殺すっていう人と会話をする事になるのか。でも、それってボスモンスターと戦う時とほとんど同じ構図のような気がする。やっぱり、俺はこれから行うであろう事にそこまでの抵抗感がない。やばいかも。

 もしかしたら、俺が戦うのは未来の俺かもしれない。


「話を戻しますので。今日は、カジノに行ってもらいますので」

「カジノ?なんでですか?」

「召喚獣ですので」

「あぁ、ゴーパーの力が必要に?」

「違いますので。でも、ゴーパーは必要なので」

「なるほど」


 適当に「なるほど」って言っちゃったけど、あんまり意味分かってないな。力は必要ない、でも、ゴーパーは必要。どういう事?

 まぁ、もしかしたらトリガーラッキーさんにもどうしてそうなるのかが分かってないのかな?知らないけどさ。


「それではカジノに行くので【転移(テレポート)】」

「うわぁーー!いきなりー!」


 いきなり青白い光に包まれた俺は、次の瞬間カジノの真ん前にいた。うーむ、これがトリガーラッキーかぁ。

 俺たちは2人でカジノの中へと入っていく。


「おぉ!!トリガーラッキーさんだ!!」

「ありがてえ!拝んどけ!」

「勝てますように!!勝てますように!!」


 2人でカジノへと入っていったが、すれ違う人全員に俺たちは拝まれていた。というか、トリガーラッキーさんが拝まれていた。

 どうしてだろう?と一瞬思ったが、ラッキーさんはルーレットを7回連続で当てたみたいな話をどこかで聞いた事がある。

 それが理由なんだろうなぁ、とか思いつつ俺は後ろを歩く。


「凄いですね」

「なので」

「ゴーパーってどこにいるんですかね?」

「私に着いてくればいますので」


 黙ってラッキーさんに着いていくと、確かにゴーパーがそこには居た。みんなに撫でられて、可愛がられている様子だ。本人がそれを望んでいるのかは知らないが、俺個人的にはその状況が嬉しい。


「さぁ。帰りますので」

「キシシ!ここは天国だぜ!?俺は帰らねーよ!」

「って言ってますけど?」

「私は《運命》というスキルを持っているので。帰るので」

「な、ななな!何!?《運命》だと!?お前何者だよ!」

「私はトリガーラッキーですので。よろしくお願いします」


 ゴーパーにとっても《運命》というスキルは特別な扱いになっているそうで、心臓が飛び出たんじゃないか?っていうぐらいに彼は驚いていた。


「分かったよ!それなら俺はここから去るぜ!みんな!今までありがとな!キッシシ!!」

「あぁ!行っちゃうー!待ってくれぃ!」

「悪りぃな!きっとまた戻ってくるぜ!」


 ゴーパーはみんなに見送られながらこの場所から去ろうとしている。ここまで受け入れられるだなんて……やっぱりモンスターと人であってもある程度は理解し合えるはずだ。

 そんな感じで俺の元に戻ってきたゴーパー。蜘蛛みたいにカジノの壁を這っている。


「お帰り。どうだった?」

「キッシシ!そこそこ楽しかったぜ!お前はどうだ!?」

「俺?俺は……まぁ、俺も色々あったけど良かったよ」

「なんだよ色々って!後で聞かせてくれよ!?」


 別に後でである必要もないし、今ちょびっとだけ話そうかな。ローズさんの事、シリンの事……はまぁ、別に興味ないか。


「まぁ、あの、なんかかんや色々あってさ。俺はローズさんと付き合う事になりました」

「えー!?俺が居ない間に何が!?」

「まぁ、色々あったんですねー。これがね」

「お前!!お前!そこまでの覚悟を決めてるとは思わなかったぜ!キッシシ!!流石だ!一生着いていくぞ!!」


 まだゴーパーをスマホに戻していなかったので、思いっきり抱きつかれた。なんだこれ……

 俺はその状態のまま事務所へと帰る。アーローさんは困惑していた。


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!後半分ぐらいで完結です!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

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