第31話 人間になりたい
とりあえずはアーローさんだろ。
という事で連絡をしてみる。どっちなんだ?褒められるのか?それとも貶される……貶されるって事はないか。
ここで終わるのか、まだ続けるのか。どっちなんだ?
「あのー、すみません。アーローさんでしょうかー」
「はい。羽山健人さんですよね?というか、そんなに畏まる必要なんてないので」
「そうですか〜。はい〜」
「なんか、なんかおかしくなってません?もしかして見つけてきました?そんな訳ないと思いますけど」
「いや〜、申し訳ございません……実は《金蜘蛛の心臓》がどうしても手に入らなくてですね〜」
「はは。ギブアップですね。それでは戻って来てください。二千万はツケですよ。後で返してくださいね」
「いや〜、ありがとうございます〜。後、他にも一応報告がありまして〜」
「なんですか。報告って」
「あの〜、ゴー。金蜘蛛が召喚獣になってくれたんですけ……」
「えぇーー!うそーー!」
「うぉ!」
鼓膜が千切れそうなほど高音の大きな声。俺は咄嗟にスマホを耳から離した。というか、地面に落ちてしまった。
危ない、リジェネが無かったら死んでいた……
そんなに慌てる事なんてないのに。とか思いつつも、もしかしたら俺が思っている以上にゴーパーは凄い奴なのかもしれん。
俺は落ちていたスマホ(画面が割れた)を持ち上げ、またアーローさんとの会話を再開する。
「聞いてるんですかーー!あのー!」
「すみません!ちょっとスマホを落としてしまいました!」
「え?そちらで何かありましたか?それとも不注意?」
なんで自分の声が選択肢に入ってないんだ。どう考えてもタイミング的にはそれだろう。普通に考えれば。
なんだか微妙な気持ちでその事を言ってみる。
「まー、アレですね。いきなり大きな音が聞こえてきたんで驚きましたー」
「……なるほど。それは、それは申し訳ないので。謝罪します」
「そういうアレじゃなかったらんですけど、まぁ、話を戻しましょう」
別に謝罪がほしくてこんな事を言った訳ではないのだ。なんとなく誤解されたくなかっただけなのだ。
「話を戻しますが、金蜘蛛を使役したというのは本当ですか?」
「まぁ、はい。今から行きますか?そっちに」
「うーん、事務所に来てください。私も見てみないと自体を把握しかねます。よく分かってないです」
「それじゃ、【転移】」
青白い光に包まれた俺は、事務所の前の道路にいた。すると二階の窓からスマホを耳に当てたままのアーローさんがコチラを覗いてきている。俺はひとまず手を振ってみた。
そして、通話中のスマホを思い出す。
「それじゃあ、今から行きますねー」
「知ってますよ。来てるじゃないですか」
「便利ですね。コレ」
「なんでそんな所に突っ立てるんですか。時間の無駄なので。早く来てください。というか、通話も辞めちゃってください」
「はいはーい。待っててくださいよー」
「誰ですか貴方は。よく分からないので」
やり取りはこの辺りにして部屋の中へと入っていく。なんか、友達欲しいなぁ。今まであんまり。いや、ほとんど。もはや居なかったからなぁ。
「どうも。話は聞いてますので。証拠とかはありますか?」
「じゃあ、ゴーパー。喋れる?」
「キッシシ。証拠なら称号を見れば直ぐにでも分かるだろ?分からないなら教えてやるが、【大富豪の素質】って奴だ」
この世界では全人類の称号がオープンになっている。中には匿名の人もいるけど、みんな基本的には他の人の称号は見る事が出来るようになっているのだ。
だから俺もスカウトされたのだろう。そういえばあのスキルって前もって解放されるタイミングが分かるのか。
15年目の称号が解放された日の5年後同じ日付。通りで情報が回るのが早いと思ったよ。
ゴーパーの言葉を聞いたアーローさんはスマホを確認し始めた。それから数分後。
「確かに……確かに使役されたようですね。確認できたので」
「キシシ!!珍しいだろ?何人だ?」
「15人……貴方って本当になんなんですか?召喚獣にリジェネは関係ないですよね?」
「まぁ、そんな事もないですよ。結構普通に走り回ってたので」
「何匹倒したんですか?」
俺はその質問を、右手の人差し指を上に差す事で答えた。すると、アーローさんは頭を抱えて溜息を吐き始める。
そんなに悩むようなアレでもなくない?なんで?敵じゃないんだから。
「貴方も……まぁ、ありがたいですよ。本当に。貴方も天才でよかったので。はいはい」
「大変ですね」
「あの、普通のフリして天才なの辞めてください。準備が出来てないので」
「……」
「照れるのも辞めてくださいよ。どっちなんですか結局」
「照れるのは仕方なくない?」
「まぁ、なんでも良いですけど、金蜘蛛ですか……それなら向こうも納得してくれると思いますよ。最後にもう一度確認しますけど、心臓はないですよね?」
「キッシシシシ!!お前らみんなバッッッカ!だな!俺が生きてるのに心臓が落ちる訳ねーだろ!」
「……金蜘蛛、金蜘蛛」
「ど、どうしました?」
「金蜘蛛だから……金蜘蛛だから……」
それから、アーローさんと話し続けて時間は過ぎていった。帰り際に「明日は休みなので」と言われたので……明日は休もう。
ちゃんと自分のステータスを確認して、今の自分の状況を理解する必要がある。
あれから今まで病気とかには罹っていないけど、休まずにずっと今みたいな生活を続けていたらきっといつか。
それすら無いのだとしたら、本当にとんでもないスキルだな。一生健康でいられるかもしれないって、数億グル。いや、数兆グルぐらいの価値はあるでしょ。
そしてアーローさんからメール。
『明後日はブラックさんに会いに行きましょう。一度見てみたいという事なので』
『分かりました。それではお疲れ様です』
『ホントにお疲れ様です』
とんでもない事になりそうだ。そんな気持ち。
○○
ーー私は自由だ。
けれど;自由じゃない。
エテル:モンスター。どうしても、その事が頭を離れなくて、どこにも私の居場所がないと思ってしまう,
?居場所と自由はどっちが大事なんだろう
°°°°°°きっとその答えは私には分からない。
「♪あのーとき〜見ーていた〜わーた〜しのきーぼ〜は」
確かに私が見ていた希望−本音。
そこに残っているの幻想の中にいると錯覚し続ける私だ。
なん%の自分が私を支えているんだろう。
私が、私があの時見ていたのは。
「・・・そーらはきょーもおーなじ・・」
あの時の私は生きてたーー今は?
私はわたしだけでは生きていない。
私&誰かで生きていたい。
つまりは、一人だと寂しいという事だ,
誰か、私と友達になって欲しいな。
+私は沢山の人に囲まれたいな。
×私は私になりたいな。
=人間になりたい〆
おしまいの夢
きっと、結論が先だ。
読んでいただきありがとうございました!!
何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!
ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!
ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!