表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/107

第13話 鉄人化

 

 イフリートを俺の召喚獣として使役する。コレが何を意味するのか、俺にはまだ分かってない。暗闇だ。

 俺にとっての闇。どないしよ。


「結論を出すのも遅いのか!!というか!早くガードを解け!」

「そんな制度知らないしなぁ。したらどうなるのかを教えてよ」

「はあぁぁ!面倒だぁ!!!」


 いきなり癇癪を起こしたイフリートは、さっきまで俺に対して有効的だったのにいきなり口から火を噴いてきた。

 これでまたMPが少なくなった。後どれだけ待っていればゼロになるのかは分からないが、着々と討伐まで近づいている。

 どれだけ非効率的なんだ。ここでガードしている時間をレベル上げに費やしていれば、結果的にはもっと早くイフリートを倒せていそう。


「はぁぁーーもう無駄だな。我はもう寝るぞ。それまでに結論を出しておいてくれ」

「分かった」

「その間もお前はガードをし続けるつもりか?」

「そうだな、あ、眠ってもMPとか回復しないよね?」

「戦闘中にはステータスが自然回復をしないようなシステムになっている。お前がガードをし続ける限り、これはやはり戦闘中だ」


 俺はいつまでガードしてれば良いんだろうか?

 コレを解いたら普通に殴り殺されるだけだし、そこに俺の勝機はない。

 別に俺もそこまで疲れてない。飽きてはいるけど、そこまでではない。

 おそらくコレもリジェネの効果だ。恐ろしいほどに恐ろしい。


 ○○


 子供の頃からずっと健康が大事だった。

 怪我とかして悪い菌が身体の中に入ると良くないから、体育の時間はほとんど休んでいた。

 しかし運動をしないのも身体に悪いから、ただひたすらに街から街を歩き続けるなんて馬鹿な事をずっとしていた。

 自転車が乗れるようになるまで時間がかかった、擦りむかないようにしていたから。


 冒険者という夢が現実的じゃなかったのは、戦闘と健康は反対の場所にある価値観だと思っていたから。

 だが、その二つは思ったよりも近くにあったらしい。韻も踏んでるし。


 ○○


 ピコンッ!


『称号を獲得しました!スキルを解放する為にメールを開き、添付されたURLのサイトにアクセスしてください!』


 ガードをしながら半分寝ていた俺の元に、さっきと同じような感じでメールが届いた。

 また新しいスキルが解放されたのか。

 なんだろう。ずっとダンジョンにいたからそれに関わる称号が解放されたのか、それとも……ガードか?

 どう考えてもガードに関わる称号が解放されているに決まっているが、それを確認する事は何故か少し怖かった。


「うー、むにゃむにゃ」

「……」


 ガードを解く事はそこまで恐ろしくない。ここまで眠っているイフリートに恐怖を感じる事はない。

 もし仮にコレがガードの時間に関わる称号なら。

 どれだけガードをし続けているのかを確認するのが怖い。自分が狂気の淵に立ち続けているのが怖い。


「こんにちはー」

「こんにちはー」


 みたいな感じで深淵と会話している。怪物と仲良くなっちゃいそうだ。実際にそうだ。モンスターと仲良くなってる。

 みんな純粋だし、とは言ってもまだ二人しか……二人じゃない二匹だ。二匹なのか?

 そんな悩みを抱えながらガードは解かない。地面から来るマグマの熱さはリジェネで帳消しに出来る。

 それに、額に貼る冷たいヤツは一個しか貰えなかったので、また新しく貼り直すという事が出来ない。

 そうなるともうアレだな。アレしかない。


 出来る限り熱くない場所に移動して、それからずっとただひたすらに、ほとんど眠りながらガードをし続けていると、イフリートが夢の中から飛び出てきた。こんにちはー。


「ふぁぁぁわ。よく寝たぞ……お前、まだやってたのか?」

「まだ、やってたね」

「どうする?気持ちは決まったか。召喚獣の話だ」

「よく分からないけど、よろしく。どうすれば使役?出来るの?」

「まずは我を瀕死にする必要がある。実際にどうするのかはそれからの話だ」

「マジか」


 もう、ずっと馬鹿みたいにガードし続けたせいで、優勢だったはずの状況がどんどんと悪化していっている事は分かった。

 なので、召喚獣として使役して、戦闘する事なくこの場を終わらせようと思っていたけど、使役には戦闘が必要らしい。

 先に言っておいてくれ。なら、流石の俺でもこんなにガードし続ける事なんてなかったのに。


 ピコンッ!


「またか!」


『称号を獲得しました!スキルを解放する為にメールを開き、添付されたURLのサイトにアクセスしてください!』


「待ってやるから良い加減それを確認しろ!なんなんださっきからずっと」

「どうも」


 イフリートは腕を組みながら斜め上を見ている。

 使役をするというならこれから先、仲間になるという事だろう。

 それなら、その言葉は信じるに値する。多分。


 俺はガードを解いて自分のスマホを確認する。そこに書いてあったのは。


 ________________



【ガードばっかり】の称号を得ました!

 おめでとうございます!


 ________________ 


 そのままだな。とか思いながら、一番最初に来た方の通知を受け取る。

 今さっきもらった称号もガードに関するものだろうか?


 ________________



【貝物】の称号を得ました!

 おめでとうございます!


 ________________ 


 なんか謎の称号をもらった。

 カイブツって読むのかな?これだけだとなんの称号かよく分からないけど、まぁ、おそらくガードに関わる物だろう。


 ________________ 


 〈ベーススキル《ガーダー》〉   

 [スキルを解放しますか?]

 《はい/いいえ》

 ________________ 



 なんだこの意味の《ガーダー》とかいうワケの分からないスキルは。ひとまず説明を読む為にタップしてみる。


 ________________


【ガーダー】

 片手でガードコマンドを使用出来るようになる。その際にガードによるダメージ軽減の効果は二割下がる。


 ________________



 片手でガードが出来るようになったら何がいいんだろう?

 その間にスマホとか見れたり、さっきみたいな額に付けるヤツを付けたり出来るんだろうか?

 まぁ、とりあえずは次も見てみよう。そっちが本命っぽいし。


 ________________ 


 〈|発動スキル【鉄人化】〉   

 [スキルを解放しますか?]

 《はい/いいえ》

 ________________ 


 鉄人化。なんかよく分からないが強そうだ。

 よく分からなかったので、スキルの説明を読む為に文字をタップした。


 ________________


【鉄人化】

 発動してから解除するまでダメージや状態異常を無効とする代わりに、一切の身動きが取れなくなる。


 ________________


 強。

 強っと思ったが、実はそんなに強くないかもしれない。身動きが取れなくなるなら、何にも出来ないじゃないか。

 とか思っていたが、リジェネがあれば普通に有効活用できる事に気付いた。やっぱ強。


「はぁー。よっしゃ!それじゃあ戦おうか」

「来たか!随分と長かったな!」

「これから先も長いよ。マジで」

「そうか。それなら、お前の名前を教えてくれ。先に聞かせておいてくれ」

「俺?俺は羽山健人。改めてよろしく」

「我はアルダード!これは我自身の名前だ。他の誰でもない、我の名前だ」

「アルダード。良い名前だ」


 これから長いぞぉめんどくさいぞ。

 俺は何度かハンマーを素振りする。向こうの腕を振り回したり、準備体操のような作業をしている。


「じゃあ、行くぞ!」

「かかってこい!羽山!健人!」




読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、どうか次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定です!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ