表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/107

第7話 デカゴブリン

 

 道中でモンスターを倒しながら、ボスのいるダンジョンへと歩いていく。

 そこは洞窟だそうで、その奥の奥にデカゴブリンがいるそうだ。

 段々と深くなっていく森の中。どこに目的の洞窟はあるんだろう。


「もう行けそうですね。戦闘は逃げた方が早いです」

「いやいや、まだ5レベでしかないですよ」

「もう十分じゃないですか?リジェネもありますし」


 リジェネがあるから大丈夫だ。というのは俺も思い始めていた。

 だって、一発で殺されない限り、回復し続けるわけだから。

 さっきまでの戦闘で負った傷ももう癒えてるし、身体が疲れているような様子もない。

 このまま一生外で戦い続けたら、とんでもない冒険者にでもなるのかもしれない。

 二人の目の前に洞窟があり、そこに入り込んだ。今までとは違う冷たい空気で背筋が伸びる健人と、一切変わらないアーロー。

 対照的な二人は進み続ける。道中の敵はほとんど無視をしながら。


「ほんとに逃げていいんですかね?」

「良いですよ……というよりもね。貴方!ちょっと良いですか!?」

「え!?なんですか?」


 今まで冷静だったアーローさんがいきなり高圧的になる。顔を思いっ切り近づけて俺の目を見てきたのに対して、相当驚いてしまった。驚いてよろけそうになってしまった。


「リジェネって本当にヤバいスキルですからね?リジェネですよ?そんなのあってあんな雑魚に負けるわけないじゃないですか」

「まぁ、そうかもしれないですけど」

「S級クラスですよ?リジェネって。分かってます?自分がどれだけ恵まれてるか?」


 ……まぁ、良いでしょう。進めば良いんでしょ?進めば。

 そんな感じでまたまた洞窟の中を進んでいくと、一番奥の部屋に大きなゴブリンがいた。アレが噂のデカゴブリンか?

 横にいるアーローの顔をパッと見てから、文句も言わずに前へと進んでいく。やれば良いんでしょ?やれば?


 健人は前へと進んでいく。上から漏れる微かな太陽の光に照らされたデカゴブリンは、彼自身の身長よりも四倍ほどはあった。

 その片手には大きな棍棒。大きな豚の鼻と緑の肌と鋭い耳。頭に革の防具を付けたほとんど裸の生き物。脂肪でダルダルの全身は、ダラけた私生活を想像させる。体質か?

 それでも巨大なゴブリン。その周りには取り巻きのゴブリンが何人もいた。


「見せてくださいよ。実力」

「はーい」


 背後から声が聞こえてくる。もし仮に俺が死にそうになったら、きっと助けてくれるだろう。安心して死ぬ気で戦う事としよう。


「オーーイ!一人か!?ハハ!」

「うす」

「一人寂しく冒険者か!?可哀想だな!」

「お前なんか俺一人で十分なんだってさ?だから、俺は一人でここにいる」


 パーティには俺しかいない。だから、ステータスが全部二十%も上がっている。それに《リジェネ》、いつまでも、一生、ずっと発動している。

 まぁ、恵まれた俺にはこれぐらい簡単なのかもしれないな。なんだかよく分からないのは間違いないけどさ。


 健人は一番近くのゴブリンに【圧死(アッシュ)】を発動して、押し潰す。一撃で倒れた無残なそれをみたゴブリンの集団は、「ウオォワーォ!」と言いながら彼に向かって突撃をする。

 鎧は重たいけど、コレさえあればよほどの事がない限り即死はしない。即死さえしなければ俺の勝ちだ。

 考えてみればガードをした時に喰らうダメージと、リジェネのカイフ……


 ブワッ!!

 デカゴブリンの振り下ろした棍棒が健人を上から押し潰そうとする。それを喰らった健人は思いっ切り吹き飛ばされた。


「イッター!はぁ!ちょっと、いきなりすぎる……」

「油断はしないでくださいよ!もう体力は真っ赤ですから」


 今の俺の体力がどれだけあるのかは知らないけど、今のだけで三千ダメぐらいは喰らった気がする。

 結局アレだ。回復するから大丈夫といっても痛い物は痛いな。

 とりあえずは防御の姿勢を取る。コレでダメージは九割ぐらいカットされるはずだ。このまま時間が過ぎるのを待とう。

 吹き飛ばされて壁に叩きつけられた彼は幸いにも敵のモンスターから距離を取る事が出来た。

 ゴブリンはニタニタと笑っているだけで、健人が回復し続けている事に気付かない。

 しばらくその状態が続いていると、下っ端のゴブリンが様子を見る為に健人の近くへと寄る。


(もうほとんど回復したかな)


 俺の身体から痛みや違和感は消えた。迫り来るゴブリンに対応する為に、防御の姿勢を解いて攻撃の準備をする。マジで気を付けないと死ぬかもな、気合い入れよう。

 二匹同時にやってきたゴブリンを【(プッシュ)】で横薙ぎにし壁に押し付ける。

 ドス黒い返り血を浴びる事になった俺は、同じタイミングでレベルが上がった。


 ________________


 〈新しくスキルが解放されました〉

【補助スキル:重装備】


 ________________


 なんだコレ?よく分からないスキルを解放してしまった。

 残り一匹だけとなったデカゴブリンは、今の戦闘を見て動揺していたので、その隙にスキルの詳細をスマホで確認する。


 ________________


【重装備】

 一定時間攻撃力や俊敏性が著しく低下するが、防御力が大きく上昇する。

 ________________


 ちょうどいいスキルだな。

 どうせ持久戦になるんだ。それなら、とりあえず使ってみるか。

 まだ余りに余っているMPを少し使い、【重装備】というスキルを使ってみる。すると、まるで重力が二倍になったみたいに、全身が重たくなった。

 あぁ、倒れそうだ。

 倒れそうだけど、コレで防御力が増しているなら、もう俺の勝ちだ。


 ノシノシと、地面を叩きつけるように歩きながらデカゴブリンへと向かう。

 健人はもうすでに勝っていた。しかし、その道のりはおそらく長くなるはずだ。




読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、どうか次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ