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第95話 俺もS級冒険者

 

 アレから数日が経ってもまだ、俺の勝利はニュースで大々的に取り上げられていた。そして昨日、キングは大衆の前で自らの罪と自分自身の事を告白した。

 俺は忙しくてそこに行けなかったけど、どうやらブーイングの嵐だったらしい。

 行かなくて良かったぁと思う気持ちと、俺も一緒に居た方が良かったのかなぁと思う気持ちが半分半分だったが、怖いし行かなくて良かったという結論を導き出した。

 街が破壊された件に付いては、キングが協力してくれると言ってくれた。もっと言えば、お金を代わりに払ったりしてくれるのだそうだ。神、いや、王。

 それをみんなが知ってくれさえすれば、きっともっと彼に向けられる目線は良い物になるでしょう。おそらく。


「羽山健人ー!居るかー!」

「居ますよー」

「応援してるぞー!!お前なら大丈夫だー!」

「ありがとうございまーす」


 俺はS級冒険者へ昇級する為の選挙を行なっていた。事務所の中には人々人々。びっしり人が中に詰まっていて、饅頭だったら美味しそうだ。うん。

 俺は窓際でじっとしていた。なんか会場とか借りた方が良いんじゃないの?


「あの!取材よろしいですか!」

「一問だけなら良いですので!どうぞ!」


 アーローさんが記者から俺を守ろうとしてくれている。俺は窓の外にいるファンにサービスをしていた。手を振ったりお辞儀をしたりしていたのだ。平和。


「ハットの身柄が確保されたそうですが!その件に付いて一言!!」

「捜査に協力出来る事があればいくらでもします。しっかりと罪は償ってほしいですし、もしアレだったら僕も警察に協力します」

「あの!アレってなんですか!?」

「質問は一問までですので!次の方!」

「はい!キングとの試合によって発生した損害はどのように補償されるおつもりでしょうか!」

「キングとも協力して、少なくとも金銭的な問題は解決出来るような体制を築き上げようと努力しております。その他、様々な問題に関しても真摯に向き合っていく所存であります」


 俺は政治家か。いや、S級冒険者になったら準政治家なんだっけ?

 協力してっつってもほとんどはキングの資産から出されるみたいだし、ちゃんとそこら辺も説明しとかないと。いや、結果的に知る事になるか、どうせみんな。


「次の方!!」

「はい!ブラックが手に入れたというグリッチに付いてお聞きしたいのですか!」

「グリッチ?」

「あの、ダンジョンの設計の不備を利用してアイテムなどを不当に入手する」

「あぁ!!へぇ」


 『グリッチスパイダー』ってそういう意味の名前だったんだ。そのままじゃねーか。


「あの!質問に!」

「あぁ!はいはい。えー!ブラックさんに関しては今回のハットの件に付いて私よりも前に調査を始めていた方なので、捜査の中でいずれ明らかになると思われます。今後のブラックさんの活動に注目していただければなぁ、と思います!」

「こちらよろしくでしょうか!?S級冒険者になった際の案に付いてご質問よろしいでしょうか!」

「なるほど……大丈夫?アーローさん」

「もう言っちゃってもいいので!」


 この数日の間に、俺がS級冒険者になった後に提出する案をちゃんと決めておいた。

 何度も何度もアーローさんと話し合った結果、いくつかの案に分裂してしまったので、S級冒険者になった後にも政治家的な活動をしなければならなくなったが、しゃーない。


「私が考えているのは、冒険者選挙の際、召喚獣にも一票を与えるという案です」

「え!?だ、大丈夫なんですか?それは」


 この場にいた記者のみんなが目ん玉をクルクルにしてコチラを見てくる。後ろの方の目玉が地面に落ちてしまった。今頃誰かに踏まれている頃だろう。


「今回の一連の事件の最大の問題は、冒険者に対する監視の目があまりにも甘すぎる事だと思います。そこで、冒険者同士がお互いの監視の目を厳しくする為に、冒険者の使役する召喚獣に一票を与えたいと思います」

「……それでは結局冒険者に甘い世界が出来るのでは?」

「はい。なので、それと同時に、冒険者が一度に使役出来る召喚獣の上限を定めます。そして」

「そして?」

「全ての召喚獣に対して、意思疎通を図っていきたいと思っております。皆さんはあまり召喚獣の事をご存知ではないかと思いますが、実は我々冒険者というのは召喚獣と共にあるのです」


 今はまだ仮初の権利だから、まだここは全然ゴールじゃない。はぁ……大変そうだ……


「どういう意味ですか?」

「召喚獣は、基本的にはずっと冒険者の行動を見ていますので、それを利用する事により、その冒険者が普段どのような活動をしているのかを把握する事が出来ます。もし仮に悪事を働こうとしていた場合はいち早くその事を察知するのも可能でしょう」

「……召喚獣が使役者の都合が悪い事を言いますかね?」

「皆さんが思っているよりも召喚獣は自由な生き物です。例えば、私が使役しているストームはソルドに使役していたのですが、今はここにいます。ちょっと、ストーム、なんか一言」

「えー!?いきなりなにー!?えーーー、こんにちは!」

「こ、こんにちは……」

「もちろん使役者を守ろうとするとは思いますが、第三者であってもしっかりとしたコミュニケーションが召喚獣と取れれば、冒険者の秘密の情報を聞き出せるはずです……試しに、少しの間だけストームに密着してみますか?」

「い、いや、それは流石に失礼いたします」


 ちぇ。ストームに密着取材してくれたらそれだけで大分状況は進展すると思ったのにな。

 本当に密着取材してくれていたら、ストームの人懐っこさにやられて記者の中にも好意的に思う人が出てきていただろう。そうすれば報道からも召喚獣の権利を訴える声が聞こえたかもしれないのに。


「そのような形で、私は召喚獣は冒険者の資質などを図る為に必要となる存在なのではないかな、と考えております」

「なるほど、ワタクシも冒険者の資質を問う機会は必要であると考えております。その案の動向もしっかり追わせていただきます」

「ありがとうございます」

「あ!羽山健人さん!そろそろ選挙結果が出ますよ」

「こんなん言ってて落ちてたらどうしましょうね。その時はお手柔らか目にバカにしてくれると助かります」

「いやぁ、ワタクシは昇級出来ると思いますがねぇ」


 その後、みんなでワチャワチャしながら結果が出るのを待つ。外の人達も大パニックで、今にも暴動を起こしてしまいそうなほど治安が悪い。もし落ちたらどうすんねん、ホントに。

 そのままの時間をしばらく過ごしていると、あらゆる所から同時に鼓膜破れるほどの歓声が湧き上がってくる。流石に当選か?流石に?


「お、おめでとうございます!羽山健人さん!当選ですので!!」

「あ、ありがとうございます」

「「「胴上げだー!」」」

「え?ちょ、ちょっと!」


 みんなは俺を持ち上げて、室内にも関わらず胴上げをしようとしてくる。なぜ?辞めといた方が良いんじゃない?みんなテンション上がりすぎてバカになってない?


「「「バンザーイ!!!バンザーイ!!!!」」」

「うぐ!痛い!天井近い!」

「「「バンザーイ!!!バンザーイ!!!!」」」

「や、やめれ……あぁ、なんだこれ!」


 あまりにも無茶な胴上げをされている俺は、色々な物にぶつけられながら投げられていた。痛い。後、鎧着ている人は胴上げに参加しないでくれ。硬い。

 嬉しいけど、なんか全然だ。全然嬉しいの感情よりもなんだこれの方が強い!


「楽しいねー!健人ー!」

「そ、それなら良かった」


 それなら良かった……良いのか?分からんが、とりあえずは俺もS級冒険者じゃ!!やたー!


読んでいただきありがとうございました!!

何かトラブルが起こらない限りは毎日投稿をしていこうと思っているので、次話もよろしくお願いします!18時頃更新予定ですよ!

ランキングに乗りたいのでブックマークや評価などしていただけると嬉しいです!他の人に広めてもらえたりなども嬉しいです!


ブックマークや評価等とても嬉しいです!ありがとうございました!

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