9/22
鍵
華麗に絵付された磁器の有田焼より、素朴な陶器の萩焼の方が、湯飲み茶碗としては好きです。と言いつつ、何気に落として割ってしまったり。
鍵
--
開く鍵あり 閉じる鍵あり
鍵は鍵穴に合わせるもの 俺はおまえとは会わない者
封じるに鍵をもってする 我が身に災いの降りかからぬよう
放つに鍵をもってする 世界を我が手に納めるよう
その鍵で何を開くのか 鍵に何を求めるか
開くもの また閉じるもの
ここに鍵あり
入口
----
首を傾げて覗き込むと
暗い穴の向こうに星が光る
手を伸ばして月を取ろうとすると
腕の先から吸い込まれる
相変わらずな御者が相変わらずな顔をして
錆びついた滑車を力ずくで廻す
どうしようもなく不機嫌にどうしようもない速さで
外れたロープが落ちていく
ようやく見つけた月の雫を飲もうとして
湯飲み茶碗を忘れてきた事に気がつく
そうこうする内に指の間から零れ落ちて
落ちていく何もかもが
自分の中に開いた暗い淵
それを夢と呼んだこともあったのだが