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手提げ鞄とこうもり傘  作者: 萩原 學
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観光

冬の美空は何を言うでもなく垂れ込めて

私の骨ばった手は届かない

まだふくふくと小さかった頃には

この空の中まで飛んで行けたような

砕けたオレンジの微かな香りと共に

噛み砕く氷のように味気ない道程

幸せでしたとも不幸せでしたとも

よく知る人や知りもしない人に告げたくはないものだが

遠くで木を伐る音が聞こえる度に

旅に出た自分のことかと一々身動ぎするのも面白くはなく

でも死体のように何も感じなくなるよりは

死体を踏んで踊る方がまだマシというもの

コートの襟は立てたまま

帽子を押さえつけて歩いていった

GAGA#59 2004年4月

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