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ティアクライス物語  作者: (p‘・ω・〝q)
4/13

〈蠍座〜あるサソリのもとに届いた一枚の手紙〜〉

歩いていると毛皮も乾いてきた。

というか、温度がどんどん上がって行き砂漠の様な地帯へ着いた。

川で半分溺れる様に水を飲みすぎたムートンは不幸中の幸いで、砂漠を歩くだけの体力を持っていたし、毛皮も水に濡れているお陰で焼けずに済んでいた。


「こんなところにヘレもゼウスも居るわけ無いメァ〝」


さっさとこの暑い砂漠を抜け出して、天界の街へ向かいたかった。


そこへ、目の前から鋭い目つきのサソリが歩いてくる。


テュポーンを凝縮した様な禍々しいオーラを放ち、あたり一帯が冷え込んでいる。


どうみても危険だが、道は途中で合流しそうだし、あのサソリもどうみても街へ向かって歩いている。


方向が一緒だが、サソリの前を歩くなんて怖くて無理だった。

後ろから常に刃物を突きつけられて歩くようなものだ。ムートンは歩くペースを落としサソリの後ろをゆっくり歩く事にした。


しかし、それが仇となってしまった。そう、サソリはバックステップが速い。


背後の気配に気付いたサソリは一瞬でムートンの隣に現れ、両手のハサミでツノを抑え、尻尾の針を顔に向けた。


サソリはカバンを2つ持ち、どちらのカバンも大きく膨らんでいた。


「俺は殺し屋さ、左のカバンには依頼書、右の鞄には心臓を入れてあるんだぜ。別に意味の無い殺しはしないが、依頼がきたら誰でもこの毒針で秒殺さ。お前はなんで俺のあとをつけてんだ?返答によっちゃ、お前の命も刈り取るぜ?俺だって、いつ誰に狙われてもおかしくねぇからな。」(こ、、こいつも充分ヤバいメァ″ね...)


「たまたま方向が一緒なだけメァ〝!刈り取るなら毛皮だけにするメァ〝〜〜ァ〝!!」


「なんだ、それならそうと早く言え、こんな所を羊が歩いてるなんておかしいだろうがよ、ラクダじゃねんだからよ」


サソリはムートンを離し、また街へと向かう。ムートンはサソリの持っている殺しの依頼書が気になっていた、もしあのリストにヘレの名前があったら、サソリを説得しないといけないと考えた。


倒すという思考は浮かびもしなかった。

「サソリさん、僕、妹を探してるメァ〝、その依頼書見せて欲しいメァ〝。もし妹の名前があったら代わりに僕を殺すメァ〝〝」


これがムートンの思いつく唯一の説得だった。説得というよりもただの懇願に等しい。


「おっ、そりゃ楽でいいや、なんていうか、オメェは命の重さをわかってんのか、俺がお前を殺った後に妹さんを殺らねぇ保証があんのかい?」


「それはサソリさんを信じるメァ〝よ」


「馬鹿なヤロウだ、馬鹿羊野朗だな、まぁ見てみろよ、俺の記憶にはこのリストに羊はいねぇ。いいか、天界には信じれる事なんてなんも無ェんだ。どんなことをしてでも偉くなった奴が偉い世界なんだからな。ホラよ。」


ムートンは依頼書を見せてもらい、そこに妹ヘレの名前が無い事を確認した。

ちらりと見えたリストには知っている神々の名前ばかりであった。地上に流れてくるニュースの事件の殆どはこのサソリの所業であった事に気付き、最早芸能人に出くわしたような気持ちになってきた。


「ここ天界には正義も悪もねぇんだぜ、何てったって、善悪を作る場所だからなァ。俺はその為の法なんだよ。」


サソリはただの殺し屋ではなかった。乱暴な物言いの奥には正義を感じる強い使命感があった。

天界の無法地帯に居る、ゼウス意外にも唯一の裁きを与えられるサソリであったし、ムートンは思ったよりも怖くないサソリに着いて行く事にした。

彼といれば身の安全が守られる様な気がしたし、禍々しいと思っていたオーラは普段見慣れないだけの、強い情熱だったようだ。


サソリが次に狙っていたのはなんと英雄ヘラクレスであった。


https://www.dropbox.com/s/s60l5ndybxw8qa3/9%2C%20%E8%A0%8D%E5%BA%A7%20%E3%81%82%E3%82%8B%E8%A0%8D%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%A8%E3%81%AB%E5%B1%8A%E3%81%84%E3%81%9F%E4%B8%80%E6%9E%9A%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99.wav?dl=0


付随音楽〈蠍座〜あるサソリのもとに届いた一枚の手紙〜〉

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