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ティアクライス物語  作者: (p‘・ω・〝q)
3/13

〈魚座〜the Fish〉


地上と星空の距離は思ったよりも長かったが、辛うじて星空へ辿り着くことが出来た。


「喉が渇いたメァァァ″、水飲みたいメァ″」


このままでは力尽きてしまい、勝手に星座にでもなってしまいそうな程疲れ切ってしまった。

自慢の毛皮はすぐにでも誰かに切り落として欲しいくらいだ。熱がこもってしまってローストビーフの様になってしまう。


やっとの思いで星空へ着いたムートンだが、星空は見上げるよりも広く、とてもじゃないがゼウスが何処にいるのかも分からない。


迷える子羊、という言葉を正に体現し呆然としていたが、時間の経過と共に目に映ったのは神秘的な輝きを放つ大きな天の川。

「水メァ〝ァ〝ァ〝」と、いきなり最後の力を振り絞り、駆けて行く。

頭の中には妹のことを考えている余裕は無かった。


美味しい水の流れる川のほとりは多くの神々の憩いの場となっていた。大体はカップルにアベック、神々の恋愛事情は基本的に拗れているから、ニュースで見た組み合わせとは大体違っていたりもする。


しかしムートンには関係ないし、神々の楽しそうな姿には目もくれず、川のほとりへついたムートンは川へ飛び込み水を身体ごと味わっていた。


周りの人々は大笑いした。


どこからともなく羊が凄い勢いで走ってきていきなり川に飛び込むという、理解の出来ないシチュエーションである。羊が泳ぐ姿なんて見たことないし、泳げるのかどうかも知る人はいない。


そこへ、突然の雷と炎、吹雪に突風がやってくる。

神出鬼没の天界最強の怪物、テュポーンが現れたようだ。テュポーンはイタズラ好きな神で、人々を困らせて注目を浴びたがる、天上の炎上家である。

地上にもたまに、台風という形でちょっかいを出してくる『かまってちゃん』である。


「ニュースで見た事あるメァ″。やばいメァ″」


逃げ惑う神達は次々と川へ飛び込み、様々な動物に化け、神ではないフリをする。


ムートンは人々を笑い返してやった。

「メ〝ァ〝ハ〝ハ〝ァ〝ァ〝」なんと下品な笑い方か、しかし笑っている場合ではない事と、如何に自分の器が小さいかという事に気付き笑うのをやめた。


愚かなことに、逃げなければいけない事には気づいて居なかった。

人々を笑う事で頭が一杯だったムートンのすぐ側にはテュポーンがいた。しかし、すぐそばをとんでもないサイズの怪物が通ったが、動物故に命に別状は無かった。

動物を殺めてもニュースにならないので、あくまでも狙いは人らしい。


「あんな化け物近くで見たら、もう怖いものはないメァ″ね」


テュポーン襲来によって勝手に一つ成長したムートンは先へと進んで行く。


https://www.dropbox.com/s/7plmqeh0g848dx3/8%2C%20%E9%AD%9A%E5%BA%A7%20The%20Fish.wav?dl=0



〈魚座〜the Fish〉

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