依頼
今回は過激な表現がされています。
伊織に手を引かれるまま千鳥足でついて行く、
「あいつなんでまじない効いてないの」
と泣きそうな声で聞く僕、
「逆だバカ、効いてるから本気出してきたんだよ」
えぇ、と思った分かってやらせやがったのかこいつと口には出さず心で静かに激怒した、しかし何故、店に向かわないのだろう道具はいつもあそこなのに次の瞬間僕は恐らく伊織が店に行かない理由が分かった、男だ、ただの男ではなくこいつも”アイツ”と同じ類なんだろう綺麗なスーツで磨かれた靴しかし、顔は死後何日たってるか分からないほどぐちゃぐちゃ、髪の毛は所々抜け落ちており辺りには腐臭が漂っている
「うっ」
僕は吐き気を催したが伊織に肩を叩かれてふと我に返った、僕を追っていた女が男と向かい合っている、ただ女の顔は憎しみに満ち文字道り鬼の形相だった、
「ギギギミヅゲタヴヴヴ」
と女が唸り声混じりに呟いている伊織は知っているようだが僕だけが状況を飲み込めてない女が男に飛びかかり首元に噛みつき食いちぎった、すると
「後はあいつらの問題だ帰るぞビビりくん」
伊織はまた僕に変なあだ名を付けた、だが僕はその女と男が怖いので足早に伊織ついて行った。
カランコロン
「たでーま」
オヤジかとツッコミを入れそうになったが、そんな気力はもうない、ソファーに転がっていると奥から
「姉貴帰ってきたのか?」
と僕よりかは少し小さい男の子がでてきたちなみに僕は181cmと大柄ではあるが小心者である。この男は伊織の弟の雪兎さんで怪力ゴリラとあだ名を付けられている、キレるとめんどくさいのがたまにキズである、
「姉貴帰ってくるのおせーよ、なんか作ってぇ」
伊織に飯をせがむ雪兎ここだけを見ると仲睦まじい兄弟なのだが、まぁいい、
「僕にもお願いします」
僕はヘトヘトなので今日のご飯は伊織にお願いした、何せ伊織のご飯はとても美味い、BARより喫茶店の方がいいと思うほどに、あっ、と僕は思い出した
「伊織、あの男と女の関係についてなんだけど」
「あぁ、ありゃ典型的な女たらしと男に騙されたバカ女の復讐を手伝っただけだ」
と伊織は簡単かつ悪口を挟み説明した、詳しく聞くとある女性、今回は女性視点で語ろう、彼女がある男に出会い恋に落ちるまではそうじかんはかからなかった、しかしその男は彼女を呼び出し多人数で襲い集団レイプ、挙句殺害し死体を僕の家の近くの雑木林に遺棄、だが彼女の念が強すぎて悪霊となり男を呪殺し雑木林を通り掛かった知らない男達を襲っていた、というものだった。なんとも迷惑な話なんだろうと僕は深くため息をつく
「まぁ、なんだ運が悪かったってやつだな」
伊織は軽く流した、こっちは女の復讐で危うく死にかけたのだ全くたまったもんじゃない
「人を巻き込まないで欲しいよ」
僕はふてぶてしく呟いた、伊織の手が止まった
「ガキ、巻き込むなだとぉ、お前が巻き込まれようが結局原因は人間だ、この事件も元は人間が起こしたことだ、人間は知識や技術を手にしたが根本的にゃ、何も変わってないチンパンジーと変わんねぇよ」
出た、伊織の人間否定、僕はもう聞き飽きたと言っても過言ではないほど聞かされた
「んじゃま、飯食ったら帰って明日の準備でもしてろ」
ん?明日の準備、明日?まさか
「伊織まさかとは思うけど明日って仕事」
「おう、その”まさか” だ」