手
交差点、平日でみなが歩いている中1人息を荒らげ全力疾走する青年がいた、僕である、たった数十分前にとてつもなく怖い体験をし気が気ではなかった。
「はやく、早くあの人の所に行かないと」
息が切れそうな中そう思い目的の場所へと足を走らせた、もう十分走ると目的の場所が目に入った
「やった、助かる」
とても喜ばしく思い、気を抜いてしまった、多分これが行けなかった、人は物凄く集中すると全力を出せるが気を抜いた瞬間、魂が抜けたように力が抜ける、気づくと目の前には地面、恐らくコケたのだろうだが今はコケたことよりもあの人の所に行かないとという気持ちが強かったしかし思うように体が動かない、立とうと悪戦苦闘しているその時、誰かに地面についていた手を握られた
「ひっ」
言葉にならない声が出た、振り向かず手を振りほどいて走ろうとした、しかし振りどけない尋常じゃない力で握られている、解こうとしていると耳元で
「テェニギッテェクレェタネェ」
と、とても嬉しそうな女の声で言った声が聞こえた、
終わった、と思った瞬間、鉈が飛んできて僕の耳の横を通り後ろの”ナニカ”に刺さった、瞬間
「ギャアアアアウギギャガゴロジデヤルゥ」
と女と言うよりドスの効いた声と甲高い声が交互に出ているような奇妙な声、いや鳴き声と言った方が正しいのかもしれない、その鳴き声が消えると同時に手にあった気持ちの悪い感触も消えた
「おい、早く立て今のは救命措置だ、ついてこい」
と伊織が言った、この時はとてもかっこよく思えた、そうこの時”だけ”は