第6話 貴族のパーティー 前編
すみません!今回も説明みたいになってしまって二つに分けることになりました!本当にすみません!!
では楽しんでください!
今日は全く待ってない貴族のパーティーだ。ああ〜森に行きたい。今作りかけの武器を早く作りたーい。てか移動手段はやっぱり馬車なのね。
そう、今黒夜はあの森の家ではなくマリアさんが所有しているなんとも貴族ような馬車に乗っている。なんでこんな貴族ぽいものに乗っているか聞いたら、元は別の人が持っていてそれを押し付けられて今でも使っているらしい。その貴族は借金が大変で何かとものを売っていたらしいが、ついには馬車まで売るとわ、もうプライドもクソもないな。
でも結果的に俺たちの役に立ってるからいいか。別に俺に関係することでもないし。
閑話休題。
俺たちは、いったいどこに向かっているかというと……てかまず簡単にこの世界の地形と俺たちが住んでる場所がどこか話さなきゃいかんのよなー。
うーん、面倒。
なので簡単に話すとするか。
まず、俺たちが住んでるあの森の家はネバーレフィス王国の王都、ウィネーバから5キロメートルぐらい離れた山の麓だ。
では、今どこに向かっているのかというと、王都ウィネーバから2番目に近い、町と言うか村と言うか微妙で中途半端な場所に向かっている。取り上げず町にしよう。ちなみに町名はナラタンだ。この名前を聞いた時「たんって、町名に “たん” 付けで呼んじゃってるし」と笑ったのは言うまでもない。いやー思い出すだけで笑いが出ちゃうよ。
「うん、どうしたの黒夜?馬車酔い?」
「えっ!?いやいや別になんでもないよマリアさん」
「こら、今はお母様と呼びなさい」
コツンと頭を叩かれる。痛くはないがちゃんと心に響く。こういうことをされると不意に思い出す、母さんのことを。もし怒られたらこんな感じかな〜とか、母親はこんな風に起こるのかな〜とか。今ではもうありえないとわかっているのに、ついつい心が反応してしまう、求めてしまう。
そんなネガティヴ思考が顔に出そうになっとのでとっさに頭を振りいやな思考を消す。
「ごめんなさい、ちゃんと会場ではお母様と呼ぶから」
「そう?それならいいけど。本当に大丈夫?無理してない?」
「うん!大丈夫だよ!」
「そっか」
そうやって心から安心した声を出す。こんな風に、本当に母親はみたいな仕草をされると胸がえぐられたような痛みが走る。ぎゅっと胸を押さえてしまう。涙が出そうになる。だけど心配させないために我慢しなくちゃと言い聞かせて、無理やり笑顔を作る。
正直かなり黒夜は参っていた。しかし今までこんなことはなかったし、無駄に大人に近い思考を持ったせいで、心と精神が均衡を保ててない状態に気がついてないのだ。
しかし、黒夜はそれを無駄な思考と頭を振って消そうとする。
話を戻そう。いったいどこまで話したっけ?そうだ町の名前だったね。
まあ取り敢えず場所はわかったと思う。一様これは余談だが、森の家からナラタンまでざっと3時間くらいかかる。
まあここまで聞けば不思議に思ったことはないだろうか。そう!王都でもないのになぜ貴族がいるのか、だ!
答えは簡単。ネバーレフィス王国という国は、自分の領土内の町や村に自分が認めた王都の貴族を1人使わせて、領主とさせているのだ。そのためネバーレフィス王国には村長や族長と呼ばれるものがないのだ。
ちなみに、マリアさんも実は国王に認められてあの山の領主をしているらしい。
そのため、あの山に来る冒険者とも仲が良かったりする。さすがはマリアさん、そこいらの貴族とは一線解す人だけはある。
さらにそれだけではなく、今の話を聞く限り、ネバーレフィス王家とも関わりがあるとわかる。さすがはマリアさん!以外と王様は、誰でも隔てなく接することができる貴族が好ましいのかもしれない。
そんな事を考えてる内に、もうナラタンの門前まで来ていた。王都と違って門番はいない。つまり出入り自由ということだろう。
そのまま町中に入り、大きなお屋敷までの道をまっすぐ進んで行く。
「結構大きな屋敷ですね!」
「まあ、直轄領だからね」
「これぐらいで驚いてたら、王都の城を見た時には腰抜かしちゃうんじゃないの?」
「そんなにでかいの?」
「そりゃあーねえ?国の一番大事なところだもん。言うなりゃあ心臓だよ」
「そうゆうもんなの?」
「ええ、マリア様の説明であってますよ。まず王都が動かなくなったら国が滅びると思ってください」
「わかりました。それだけ大事なんですね」
「ええ。っと、着きましたよ」
そこには大きな玄関があった。いや、玄関というよりは門に近いかもしれない。
そこにいた門番に手紙を渡すと10秒はしっかりと手紙を見て許可を出す。
それを見たグランさんが馬車を進めて行った。そこには巨大な庭があり、その中心部分には噴水があった。
後ろには巨大な玄関、前には大きな屋敷。なんともファンタジーな光景だ。
屋敷の入り口で止まってグランさんは馬小屋の方へ馬車を止めにいった。
マリアさんが屋敷の扉の前に立っていた門番にさっき見せた手紙を渡す。こちらも10秒ぐらいじっくり見た後入れてくれる。その間にグランさんも戻ってきた。
そのまままっすぐ屋敷に入ると、すぐにメイドや執事が案内してくれた。
まず、大きな扉が目の前にあってその扉の左右に階段がある。俺らはそのまま大きな扉に入った。
後からこの家の構造を聞いたところさらに横に二つ部屋があって、右がキッチン(めちゃくちゃ広い&でかい)、左が裏庭への道。
二階は、職務室や会議室、後は客間などで、三回はこの家の侯爵の部屋らしい。
うん、めちゃくちゃ広いな。
ちなみに地下もあるそうで、地下は騎士達や冒険者の訓練場と王宮鍛治師の見習い用に鍛冶場がある。
4階は普段使われていないが、緊急時のための避難所として使われてる。いわゆる学校の体育館みたいなものだ。 これだけで侯爵がいい人ということはわかる。
そうじゃなきゃ、こんなみんなのために自分の家を使うことは出来ないはずだ。
閑話休題。
俺は今になってこのパーティーの大切さを感じて気を引き締めた。ここでマリアさん達に迷惑はかけられないと。
昨日も一昨日もあんなに練習嫌がってたのに、と言われたら痛いが別にみんながどうでもいいわけではない。
俺が魔物を狩っている理由だって半分は食料調達の意味もあるのだ。俺という成長期の子供がいるだけで食費はかなり増すからな。俺のせいであんまり無理させられないし、だから武器も自分で作ることにしているのだ。武器は高いからな。
そんなことを考えているとマリアさん達が部屋に入って行ったので俺も後ろを追いかける。俺は部屋に入った途端思わず眩しさに目を瞑る。落ち着いてから目を開けてみると、そこは美しい装飾がされた部屋だった。さすがは貴族のパーティー、目がチカチカする。でも嫌な感じじゃない。とか思ったりする。余談だがこの時俺はお金がすごいかかってそうだな〜とか思ってりもする。
そうして俺がキョロキョロしている間に集団で話している貴族の人たちの元へ行ってしまう。アリスさんやグランさん、リシューさん達は従者が集まっている場所に行ってしまった。
俺はキョロキョロするのをやめて、目立ち映えしないようにしながらついていく。だってそんなの事したらみっともないじゃん。
そうしてマリアさんが話しかけた後紹介を受けて俺が挨拶をする。その度「しっかりしてるね〜」とか、「さすがはマリアちゃんの息子だね〜」とか言われている。なんか俺が想像していた貴族と違う。う〜ん、簡単に言うと親戚のおじちゃんって感じかな。
そのまま挨拶してマリアさんが「ありがとう、これで一通り挨拶したから少し会場を見てきなさい」て言うので俺は「はい、わかりましたお母様」と言ってマリアさんから離れる。未だに家とかでは母と呼べないが今は公共の場だし、立場上俺はマリアさんの子供だからちゃんと人前では「お母様」と呼んでいる。
俺は一つ疑問に思った、俺は今5歳だ。マリアさんはそれを隠そうともしていない。つまりみんな疑わずに信じているのだ、マリアさんが年齢的に “13歳” で子供産んだという妄言を。俺が日本出身だから感覚が狂って、俺の方がおかしいのかとも思うが普通に貴族の結婚は13〜15歳なため、13歳で子供を産むというのはおかしなことだ。ちなみにこの情報はアリスさんの元だ。初日に不思議になって聞いてみたところあっさり教えてくれた。
俺は今のところもう一つのミッションであるマリアさん達の本当のことを早く聞かなくてはと、知ってそうな人たちに挨拶しては、失礼にならないように話しかけていった。
そうしてわかった新事実。てか子供だからってなめすぎ、こんな隠し事すぐにバレるのに。いや、普通の子供だったらうまく話を誘導して、おだてて、相手を不快にさせずに楽しい気持ちで情報を出させるなんて、普通に大人でも難しいことだよ。
いやいや、そんなこと今はどうでもいい。
まずわかったこと一つ目マリアさんは12歳で結婚していた。マリアさんからの求婚だったらしい。歳は18歳、今も生きていたら今年で24歳か。
その人はマリアさんと同じ下級貴族だった。一目惚れだったらしい。その人の名前はレン。レンは別に年下好きのロリコンだったわけではない。マリアさんが3回結婚を申し込んだ時に折れたらしい。その愛がすごかったんだろう。
そして見事結婚したのはいいが次の年に子供を作ってしまう。結婚してから半年だ。これはどっちが誘ったのかわからなかったが、きっとマリアさんだろう。俺にしては珍しく確信している。
そして子供を支えるために人一倍働いたレンは、もともと体が弱かったのもあり倒れてしまった。そうして子供を産んだ13歳の9月ぐらいに亡くなってしまった。それに悲しんだマリアさんは伏せてしまい、子育てをしなかったそうだ。まあそのため愛着がそこまで湧いていなかったのか、それともレンの死がそこまで答えたのか、あるいは自分に対しての罪悪感でそう思い込んでいるか。のどれかだろう、あるいは全部かも。そんなことで彼女の赤ちゃんは病気で死んでしまった。悲しかったらしいが伏せはしなかった。
それから3年、マリアさんは引きこもっていたらしい。さらにもう3年でレンは死んだが赤ちゃんが死んだことは隠しておこうとしたらしい。そしてどうにか貴族達には言い訳をして子供を出さずに、自分の息子になってくれそうな子を探していたそうだ。
これで全てが繋がった。
俺は自分勝手にマリアという人間を決めていた。今なら普通に母と呼べる気がする。恥ずかしいからしないけど。
てか、暗い雰囲気になってしまったな〜。どっかで楽しいことないかな。なんて考えてぐるぐるしていたら、小学5年生くらいの男女グループを発見した。ので話しかけてみた。
「あの〜こんばんわ」
「ああ、こんばんわ」
「こんばんわ〜」
こんな感じで話してみたところ3人は上から……
リオン・ライオスレイド。
ライオスレイド家の長男で、王都ウィネーバにある学園からわざわざ来たらしい。ちなみに鼻にかかる感じが無く、とても好ましい。地味に優秀らしい。2人が自慢げに話してた。リオンは照れてた。
2人目は、ディオ・シングラク
シングラク家の次男でリオンとは幼なじみらしい。こちらも王都からわざわざ来たらしい。王都からここまで半日かかるのによくやることだ。ちなみに日帰りらしい。大変だな!今の俺じゃ確実に無理だ。
3人目は、ユリアーノ・ネリーシンス。
この子、実は王族の人だった。まあ三女だから別に王位継承権はないが。しかも従姉妹だし。
しかし失敗したと青ざめていると普通に仲良く話してくれた。
ちなみにこの人も王都から来たそうだ。
この3人は今日中に王都に帰ってしまうので、今のうちに仲を深めよう。まあ俺も今日には帰るのだけど。
「で、マリア様の息子さんて言うからどれだけ凄いのかと思ったら予想以上だね」
そういうって俺の顔を覗き込むリオン。以外とリオンも人懐っこい。
「いやいや、そんなことないですよ。私なんて……」
「謙遜なんてしなくていんだよ!」
相変わらず子ども扱いをしてくるディオ。
あ、俺今子どもだった。しかも5歳児だった。てへぺろ。
「そうそう、こんな可愛いのに」
「ええ〜可愛いですか」
そう、さっきから可愛い可愛い言ってくるのはユリアーノだ。長いからユリーって呼んでる。てかそう呼んでって言われた。あと可愛いって言うな!
そんなたわいもないことを話していた。
「そういえば皆様はこの会場の料理で、何が一番美味しかったですか?」
この質問は単純に俺の疑問だ。だって三日前に作ったローストビーフの方が3倍は美味しかったんだもん。これでかなり有名な料理人なんてがっかりだよ。
とか思っていたりいなかったり。
「僕は炙りカンオかな」
カンオとは日本のカツオのことだ。この世界でも海に住んでいて、海に面していないネバーレフィス王国からすれば高級食材だ。
「俺は全部美味しかっと思うよ」
「ええ〜。その中から選ぶってことなんだけどな」
「頭はいいのにほんと馬鹿ねディオは」
「なんだどー!……」
「ちなみに私はサクサクでチョコはしっとりしてたクッキーが美味しかった」
こうして料理の話をしているうちに、なんの料理が好きかの話になり、料理を作れるかの話になり、気がつけば来月、俺たちの家で作ることになった。
俺は食材を探したり、また魔法を使って大人になり余った素材を売りに行かないとと思っていたら、今回の主役であるバリガイダ・アクトがやっと入ってくると司会が言った。その時の俺は気がつかなかった、司会の声が震えていることに。
「そ、それでは新しく領主になるバリガイダ・アクト様と、前領主のドアガイス・アクト様の登場です」
そこで現れたのは黒ずくめの下卑た笑みを下げた男達だった。
今回は長いため裏話は短くなり……と言いたいんですけど、前回に出したかったマリアさんのステータスカードを書きたいと思います。
あと次の話以降、そこそこ短くなると思います。長い方が好きと言われる人はすみません。ですがそうしないと投稿ペースを速くすることができませんでした!
次回は来週の月曜日に投稿したいと思います!
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マリア・フィール (18歳)
ネバーレフィスの貴族。
HP1857 MP389
筋力190 (230)
体力157 (189)
耐久123 (145)
俊敏134 (189)
耐性98 (153)
魔耐133 (191)
《使用魔法》
『通常魔法』
[下級魔法]
〈火属性〉
【ファイアーボール】
【ファイアーアロー】
【ファイアースピン】
〈水属性〉
【ウォーターシールド】
【ウォーターカレント】
[中級魔法]
〈火属性〉
【ファイアーウォール】
【フレイズスピアー】
《能力》
『自動MP回復』『魔法威力増大』
『護身術Ⅱ』『身体強化率』
《状態》
『良好』
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