短編、その二。お米に一歩近づいた!
今回、10000字超えています。
投稿に間があったのはそれとは別の理由ですがかなり長いので、少し読むのが大変かもしれません。それでもぜひ読んでいただけるとありがたいです。
では本編をどうぞ!楽しんでいってください。
あと、今回少しですけど問題を入れておきました。最後の最後にあるのでぜひ最後まで読んだ人はその問題探しと回答を楽しんでいってください。
では今度こそどうぞ!
いつまでこうしていのだろう。気がつけば日は沈んでしまっていた。
急いで本を閉じ、受付の職員に返す。本は後で戻してくれるそうで渡すだけですんだ。
急いで三人を探そうとしにいくが、そこでやっと思い出した。俺を監視しているやつを。
目線からして本棚に隠れながら見ているようだ。あまり見られるのも癪に障るので、仕掛けはしないがちょっかい位なら良いだろう決めて向かう。
まず本棚を障害物として認識、次に魔眼を開放して相手に見えなくても自分は見えるようにする。
そうしたら後は影を移動して・・・ほいっと、後ろへ移動完了。こんなんは楽勝だぜと心の中で高笑いしながら、後ろから羽交い絞めにする。
「さっきから俺のことをつけていたが、何か用か?」
なるべく声を抑えてしゃべる。右腕は羽交い絞めしながら大声で叫ばれないように口を封じる。
こっそり魔法【封枯】で喋れないようにはしている。ツノ魔法は相変わらず進展がない、むしろあれが凄すぎてこれ以上は高望な気がするが。
左はいつものナイフを首に押し当てて動けなくする。
ナイフは【収納箱】から出した。やはりこの魔法は便利すぎる!
こうやって近づいてみてわかったけど、以外と身長差がある。そのため、背伸びをしないといけなく足がプルプルしてきた。
正直つらいなのでさっさと終わらすとするか。
「今から手を離すが叫ぶなよ」
そうして手を離す。【封枯】のおかげで大声は出せないとはいえ、油断は禁物だ。
見た感じ、敵意は感じ取れない、それでも警戒は必要だろう。けれどもしもの時ように態度は変えておく、失礼の当たらないように。
そうして説明が始まったのである。
「あ、やっぱこの体制はきついからそこに座りましょう」
やっぱり辛かったのでさっきまで座っていた椅子に座ろうと提案する。
数分後。
「なるほど、理解しました。それなら私が口を出すべき話ではありませんね」
目の前の黒ローブ、もといオーラルさんは三人と同じく王立学園に通っているらしく、教義は『心理学』らしい。ちなみに自称三人のライバルらしい。
これだけでなんとなく察した人はすごいと思う。そしてこの話を聞いて、今だに一度も勝負で三人組に勝ったことがにと聞いて、俺は不覚にもオーラルさんの味方をしたいと思ってしまった。
別に軽ーく手を貸すだけだ、問題ない程度にする。
それを目の前のオーラルさんに話したら。
「ホントですか!それならスムーズに事を進められます」
と、大喜びでいた。一様図書館ではお静かに~。
俺はそのまま何事もなかったかのように3人のところに戻る。
図書館で得たことは大きい。お米の存在を確認できたのだ。
ここからもそんなに遠くない。王都に行くより実は短い。王都は通常のだったら1週間はかかる。それは盗賊や魔物に襲われたことも計算してだが、そういうの関係なしに直線距離だけでもそのお米がある街、レリディイのほうが近い。
俺だったら一日とかからずに付けるだろう。
俺は期待に胸を膨らませながら、そのことについて三人にも言おうと思う。
そうしてぐるっと一周してみるとちょうどすれ違いだったのか窓口付近で合流した。
そのまま出口に向かう。
今回の探していたものを伝える。お米という作物を探していたこと、どこらへんにあったのかを、そしてその特徴を永遠t・・・とまではいかなくても長々と話していた。
外に出ると意外と日が暮れていて焦った。この三人はこんな時間まで大丈夫なのか、さらにオーラルさんたちも大丈夫なのかと不安になる。
「ねえみんな、こんな時間まで付き合ってもらっちゃっていいの?」
「まあ、大丈夫だろ」
「僕は、お父様に言ってあるから大丈夫」
「きっと母様や父様もコクヤ君えお助けなさいって言うと思うよ」
俺ってそんなに思われてるのと驚きながらも今度直接会って感謝を述べようと思った。
さて、向こうのほうも打ち合わせしたかなと後ろに目線を向けると、オーラルが肯きながらグッドサインを出す。
ちなみにだが、あの大きな本である世界地図を見て初めて分かったのだが、獣混族は純人族は仲が良く交易をしているが、純人族と小神族は仲が悪いらしい。もともと小神族は籠りやすいがとある勇者が原因でついには年に1、2回しか交易をしなくなってしまった、のだと。
純人族はその時の謝罪に前純人族の傘下または奴隷になっていた小神族を開放してお返ししたのだ。その時に返却役を行ったのが500年前の勇者だったのだ。
そしてもう一つわかった悲報が、この世界は最強の勇者、龍神の話にも出てきた謎の勇者である、500年前の勇者が奴隷制度というものを亡くしたため、純人族は正式な奴隷しかいない。しかも奴隷の扱いも法として定まっているぐらいだ。買われた瞬間から人権はなくなるが、それまでは傷つけたら犯罪になるし何してもいいということではない。
そんな奴隷だが、つまる話何を言いたいかと言うと、この話は人側だけの話なのだ。
純人族はどの種族ともそこそこの関係を保っている、しかし獣混族と小神族はあり得ないほど仲が悪い。その言葉がやさしいくらい険悪な状態だ。
常にどこかで小競り合いが起こり、純人族とその他奴隷の扱いが天と地ほどの差がある。
そんな状態らしい。だからこの二種族とは一緒に冒険することが出来ないらしい。
ああ~もふもふとエロフがー!てかエロフってなんだ?と唸っていると後ろから合図が来る。
三人に説明している間に所定位置についたらしい。俺はその合図に肯きを入れて、いったんその場に止まる。もともと路地裏付近に誘導していたためあっさりと俺はオーラルにさらわれる。
「うわぁーたすけてー(棒読み)」
今まで生きたなかで一番ひどい演技だった。声の声色が一切変わらない、普通の会話ですら変わる声色が。
「さあ、返して欲しければここに来な」
あらかじめ用意しておいた紙を投げる。風でグルグルと舞いながらも奇跡的にリオンの手に届く。
想像通りにはいかないな、と少しがっかりしながらも路地裏の先に駆け抜けていく。見えないところまで行くとオーラルが俺のことを放してくれる。
「うまくいったねオーラルさん。ところでその隣の人はお仲間さん?」
一様知らないふりをする。目の前の人はずっと三人に、特にユリアーノに目線を向けていた。だから気づくのにも少し時間がかかった。
まあ、気付かないということはないが。
「私はエリオラっていうの、あなたは?」
まさかの女性だった、しかもにじみ出るいい人オーラ。わざわざ俺の目線に合わせてくれたのでもわかるだろう。綺麗に整った顔から放たれる仏の笑みは黒夜の心を貫いた。
あ、別に恋に落ちたわけではないよ。何というかこう……ものすごく甘えたくなるような。
おっといかん、引きずり込まれるところだったよ。
「私の名前はコクヤ、黒夜・フィールといいます」
「あらら、ご丁寧にどうも黒夜くん」
完全に扱いが子供だ。その証拠に頭をなでなでされてる。別に嫌じゃないんだけど、嫌じゃないんだけど……っ!確かに見た目子供だし、文句は言わない。でも俺って子供の扱いされるので喜ぶような人だったっけ?あんまり覚えていないため言い切れない、少し不安だ。
けれどそんなことをやっていたら曲がり角から足音と声が聞こえた。
「エリー、気をつけて。もう少しで曲がってくるよ」
「わかってるよ、オー君。私はオー君よりも強いのだから」
「確かにそうだったね」
苦笑いするような、けれど事実を受け止めていてそこまで苦い顔はしていない。むしろ申し訳なさそうな顔をしている。
俺から目線を離し、立ち上がる彼女はまさに立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花だった。
俺の感情もずいぶん子供らしくなってしまったようだ。
まさかだが、体に心がひぱっられるとか・・・いや、あり得ない話でもない。
そんな話は置いといて、気がついたことがある。それは今いる路地裏の民家の上からこちらを覗いてる人影が二つ。まあ、実際に人影はないんだけど、人のいる気配を感じ取った。一度感じ取れたならもう逃がすことはない。進化した意味の俺はとことん人間離れしている。
もう、人間じゃないけれど。
うーん、ようく観察するとわかるが上の二人は本物だ。目の前の五人は一触即発だ。何だこのカオス空間。目の前の彼女らはそれぞれ、ライバルと戦う感じらしい。オーラルでいえばディオ、エリーでいえばユリアーノ、といった感じで。ちなみにだが、この戦いにおいてリオンは完全に巻き込まれた立場だ。
王立学園中等部一年上位三名を答えろと言われたら、リオン、ディオ、ユリアーノの三人だ。ディオは戦闘科、ユリアーノは魔法科、そしてリオンは研究科と呼ばれるもので学年トップなのだ。
だがここで間違えてはいけないのが、別にリオンは戦闘や魔法ができないほうではないのだ。逆に学年上位にも入っているが、ディオやユリアーノが優秀すぎて掠れてしまっているのだ。
「ああ、もう」
前方ではすでにバトルが始まった。
「こんにゃろー!」とか「いつもいつも!」とか、可愛らしい戦いが起こっている。
ディオとオーラルがそれぞれ得意武器の片手剣と双剣がぶつかり合う。
ユリアーノとエリーは魔法を競い合っている。ユリアーノは風で、エリーは火で、とそこらじゅうに火種をまき散らしている。
俺からは呆れの声が漏れた。
「私の魔法をなめないことね!」
「黒夜の前だもの、負けられないっ!」
エリーは自分の魔法のように燃え上がっていて、ユリアーノはどこ吹く風で自由にやり合っている。
「おらおらおら!どうした!」
「くっ!まだまだぁ!」
烈火の如く打ち入れる片手剣を駆け抜ける微風のように双剣ですり抜かす。
魔法に関しては分からないが、剣に関してはわかる。そして、そのわかる眼で見たところディオはやはり才能がある。それは13歳であそこまで剣を打ち込めるのがいい証拠だ。連激はそれこそ大人でも出来ないものは多い。剣を素早く打ち込むための持ち方、なるべく力を逃がさない振り方、相手に負けず打ち込む気合い。これらはひたすら練習し馴らさないとできるものではない。
しかもそれだけではなく、もっとも大事な重心をブレない用にすることができているのだ。これだけの技術が必要な技を、今の歳でできているなら、天才と言っても過言ではないだろう。
ちなみにだが、今の間もずっと上には警戒を入れている。魔眼でもちゃんとチェックを入れているので見逃すことはまずないだろう。
上は動く気配がないから置いといて、さらに白熱バトルと魔法戦が加速していく。みんな気になっているかもしれないが、リオンはひたすら魔法で被害が出ないように調整している。彼のすごいところはその頭脳じゃなくて魔力量なのかもしれない。魔眼で確認しなくても、多少の光の玉が体から出てるのが見える。あの光の玉こそ魔力の集合体だ。普通魔力は視認できないが、それができるほど魔力の密度が高く、その密度が高い魔力同士が合成するほどの魔力量が放たれているのだ。
これは、かなり驚いた。俺は今まで会った人たちをしっかり観察し、この世界の常識を学んできたつもりだ。その常識から照らし合わせても彼らはかなり強い扱いで間違いないかと思う。
しかし何より驚いたのが、オーラルだ。彼の剣技は俺達の、新月流にそっくりだった。
どんな攻撃でも確実に往なし、どんな態勢でも崩さないバランス。俺らの流れはそこにカウンターを入れる感じだ。
しかし勘違いしてほしくないのは、新月流は一つの形に固まらないのだ。もともと新月流は鎌倉時代にできたもので、確実に人を殺すための技なのだ。
そして、こんなに古い流派がいまだに残っているのは、決まりゆく戦争の定石に対応するために、ありとあらゆる技を取り込んできた。そのため、それぞれの型がありその方の技があるのだ。
それの、もっとも大本となる動きが新月流では往なしと崩れぬバランスなのだ。もし、オーラルに剣を教えることができるなら、ぜひとも新月流を教えてやりたい。彼の動きにはまだまだぼろが出ている。つまりそれは、まだ上がる可能性を秘めているということだ。
今度そんな話をしておこう。
そんなことを考えていたら、上のほうで動きがあった。ちょうど仕切り直しになっていたから、そこを狙うらしい。さすがプロ、ちゃんと狙う場所を分かってる。
「感心している場合じゃないな。【陣風】【燈楼演気】っと」
手を上に向けて風のフィールドと、もしも用に身代わり魔法【燈楼演気】をかけておく。
「な、なに?!」
「これは……古代魔法。どうしたのコクヤ?」
「なんだなんだ??」
「この魔法は【陣風】だなコクヤ!」
「一体どうしたんだいコクヤ」
上から、エリー、ユリアーノ、オーラル、ディオ、リオンと言う順番だ。俺の力を始めてみるエリーとオーラルはかなり驚いてる。だが残りの三人は、無慣れてしまったのか落ち着きを見せている。
面白気がないなと思いながらも、説明してる暇はないので端的に伝える。
「詳しくは後で言うから、今は動かないでくれ」
そう告げたら、身体強化を体に掛け走り出す。そのままジャンプすると【飛定】を発動、空へと駆け出す。やはり空を飛ぶ……厳密には空中を走るだが、そんな非現実的な現実を見ているオーラルとエリーはとても驚いている。
それこそ、顎が閉じないぐらいに。その反応に少し笑ってしまう。それは仕方ないだろう、リオンたちですらこんな反応を示さなかったのに、この二人は俺の想像以上の反応を見せてくれるのだから。
「やっぱりいい反応をするなぁ」
ちょっとにやにやが止まらない。そんな顔であっという間に暗殺者の目の前、むしろ後ろまで回りこむと・・・
「ちょっと大人しくしててね~」
首トン&【傀儡操作】で作った糸でグルグル巻きにした。
やはり、強い相手と戦えるとなると黒夜のテンションはウナギ登りするらしい。
どこまで行っても戦いたがりやなのだった。さすがに龍神まで行かなくても、その道のプロと言うことで戦いたかったのである。
だが、街中でぶっ放すことはできず、そこでオーラルとエリーを利用したというわけだ。オーラルとエリーも俺に用事があったから、まさしくWIN―WINな関係だったのだ。
本人いわく、黒夜は『理性ある果てなき戦闘狂』らしい。
常識があるのはいいことだが、本当に五歳児かと疑われないでほしい。誰にも言っていないし、そう簡単に信じられることではないからな。
しかも、異端扱いは地獄生きまっしぐらだ。俺たちの地球でも中世ヨーロッパでは魔女狩りなんて言う、怪しい文化に取りつかれていたこともあったのだから。
本当に気をつけなくてはいけない。
俺が険しい顔をしているともう一人の暗殺者が襲いかかってきた。きっと俺が恐れ慄いたと思ったのだろう。
ここで、『プロなら実力ぐらい測れろよ』と思うかもしれない。だが今の俺は姿は6歳児、出すオーラも人間のもの、せいぜい魔力量ぐらいなものだがそれを図るにはかなりの魔法師ではないと無理だろう。そんな子供が下を向いて険しい表情をしていれば、誰もがビビったと思う。
俺自身も刀を出していない。脅威と言えばせいぜい手に持つナイフぐらいだろう。
そして、やはり目の前の人たちはプロだった。俺がどこからどう見ても子供なのに、仲間がすぐにやられたことを考慮してかなり警戒して襲ってきた。そして、それは仲間の信頼にもあたる。そんな仲間がやられても冷静なのはかなりの鍛錬と経験、そして暗殺者としての意識だろう。
その証拠に、相手は大振りの攻撃では無く、コンパクトに持っている短剣の特性をよく生かして、広い地形をうまく使い俺の背後を狙ってくる。
これができるのならプロの中でもかなりの修羅場をくぐったプロだろう。
その無駄なく洗礼された体を使って俺の小さい懐に入っていく。
小さい懐って財布のことじゃないよ!
「ってそんな場合じゃない!」
相手の攻撃を紙一重でよけるものの直に追撃が出る。その中で一番大振りだった攻撃を受ける。
相手の口角が上がるのを俺は確かに感じた。しかしすぐにそんな物は消える。残るのは不思議な顔をしたまま気絶している暗殺者だった。
直に【傀儡操作】でグルグル巻きにして嘘気絶にも対応する。
そして、そのまま近づいて被っていたローブと仮面をとる
「こいつら女だったのか」
そこには顔に傷のついた女がいた。体つきは見事ローブで隠されていたというわけだ。
相変わらず不思議そうな顔をしている。
どうして相手の攻撃を受けて無事だったのかと言うと、元々俺は敵の攻撃なんか受けていない、ではなぜ受けていないかと言うと、その前に【燈楼演気】を発動していたため俺の残像を暗殺者は切ったのだ。
大きくため息をつき、彼女たちを抱えて下に戻る。今は路地裏の平らな屋根の上だったから誰もここまでは来れてなかった。
「大丈夫だったか黒夜」
「こんなことに巻き込んでごめんなさい。今日会ったばかりなのに」
「気にしないでください。私が首を突っ込んだのも同然でしたから」
オーラルとエリーが深々と頭を下げてくる。それに対し、完全に邪な気持ちがあったためかなりの罪悪感を覚える。
「まあ、俺は心配なんかしてないけどね」
「嘘ね。そわそわしていたもの」
「な、…言うなよ!」
「二人ともぉ、落ち着いて」
そんな会話に思わず笑みがこぼれてしまう。
三人は、約一年前のグランとの戦いを見ているからこんなことぐらいでは乱さないと思っていた。けれどちゃんと心配してくれていることにありがたさと友情を感じた。
本当に幸せ者だと思いながらも、そんな三人だからこそちゃんと全部伝えるべきだと思った。
今回の全部を。
二人がついていたこと、俺がオーラルと話して一枚噛んでいたことを、実は途中から暗殺者に気が付いていたことも。だが案外驚かれなかったし、お咎めはなかった。
そんな二人の優しさに感謝していたらリオンがぼそりと「いつものことだしね」といった。
つまりはよくあるのだそうだ、エリーやオーラルから喧嘩をふっかけられるのが。
今回みたいに暗殺者に狙われたことはないとも言っていたが。
俺はその理由が気になったため少し踏み込んで聞いてみると…
「実は、私とオーラルの家は共同計画を進めているの」
…話によればオーラルの家エルゼウィン家とエリオラの家ハーベルス家は、小麦に代わる新しい穀物を栽培しているのだそうだ。
そして今回は、それが嫌な貴族からの手だろうと言うことだそうだ。
だが俺はそんなことよりも新しい穀物に目が行った。
「まさかその穀物って…」
「うん。昔勇者が進めたっていう『米』って穀物」
なるほど、勇者が進めたとなれば人気は知れずと出る。しかも新しい穀物、売上もかなりなものになるだろう。これは何が何でも止めたくなるなと納得しながらも二人に詰め寄る。
結果、俺をその育ててる場所へ行くことができるようになりました。
急展開に驚きながらも冷静になり改めて日程や時間の調整をして行く日が決まりました。
俺は目的を達成したのでとりま二人の暗殺者を開放します。
ちなみにもう路地裏には俺一人しかいない。五人には無理やにお帰り願った。それは何故かと言うとこの二人の暗殺者に改めて話を聞きたかったかだ。
「なあ、なんでお前らは暗殺業なんかしてるんだ。見るからに若く、それでも動きはプロと言う。不思議だろ、不思議だよな」
かなりの圧を出しながら質問する。回答以外は望んでいないし許可しないスタイルだ。
「私たちは子供のころからこの仕事をしていたのさ」
「もう10以上一緒に組んでる。だから、何がしたいのかもわかる」
なるほど、理解した。これがとても胸糞悪いことだってことが。二人の見た目から、十年以上前と言えば俺より2、3上ぐらいで、まだまだ子供と言ってもいい年だ。
日本で考えたら文句無しで子供だ。法律上でもそうだし、精神的、肉体手にもだ。それなのに仕事を・・・しかも人を殺す汚れ仕事をやらされていたなんて。
「胸糞悪すぎて吐き気がする」
その憎悪にまみれた声は六歳児が放つものではないほどに低く殺意がこもっていた。その桁違いの殺意に充てられたのか、二人は口をパクパクさせたまま固まってしまった。
「おっとすまない。ついつい、ね。・・・ねえ、よかったら足を洗う気はないか」
その言葉に一人は希望を持った眼を、もう一人はすでにあきらめに満ち余計な事をと言わんばかりの目を向けてくる。やはりまずかったかと思って自分自身にダメ出しをする。そこで怯えながらもしっかりとした眼で、しかし震えている声で俺に頼んできた。
「もし私たちに人を殺す以外ができるならやってみたいです」
「できる!むしろ俺が何とかする」
「無理だよ。どうせこの首輪がある限り何もできない。私たちは、檻の中」
その言葉に二人の首輪に目が行く。奴隷用の首輪がかなりごついものが多いが、二人がつけているのはスリムなタイプだ。かなりいいものだろう。それほどこの二人は優秀で、その優秀な暗殺者が必要な立場と言うことでもあるんだろう。
仕方無いとは言いたくない、けれど、そう思うと落とし所は見つけられた気分になる。そして、落とし所を作れてしまう自分に恐怖を感じる。
「それでも、人に無理やり首輪をつけるってのは納得いかない」
やはり首輪に関しては納得がいか無く、そこに手を伸ばす。触れたと同時に呪いの副作用で反発、いわゆる『触れられない』が起こるはずなのだが、それは触れると同時だ。それよりも早く解呪をしてしまえばいい。ちなみに首輪をはずせる鍵を持つものには反発がない。そもそも呪いが発動しないらしい。あと解呪は体のどこかでも触っていればできるし、触らなくてもできるのがある。むしろそっちが主流だ。
元々俺は解呪の魔法なんて知らないし、能力も無い。しかしここ半年の努力で急激に変化したものが解呪をしてくれた。それが『ツノ魔法』だ。角は五つの層に分かれており、それの一層目にあったのが肉体変化、正式には自分が望んだ、一番実力を発揮できる姿になるというもの。そして他にも、姿を変えたりすることのできる。そして二層。ここにはゲームで言うところの状態異常を直す魔法が多くあった。
そこにあった、かなり下級の解呪を使ったのだ。この角にある魔法は全てが古代魔法と同等かそれ以上のものだ。つまりは通常魔法よりは圧倒的に上、むしろ比較にならないぐらいのものだ。呪いなどは聖職者などにお金を払えば解呪してもらえるが、奴隷には賃金が与えられない。つまりは実質はずすのは無理、しかも堂々と外すのは犯罪だ。だからこそ、みんなが帰った後でこの路地裏に行ったのだ、最初から外す予定だったのだ。
これは見られるわけにはいかないのだから。解呪のしかも下級のものなのに奴隷の首輪をはずせるというのはかなり画期的なものだ。そして同時に奴隷商人には脅威となる。
バッチ!と言う音と青白い電撃が走る。
「きゃっ!」
「ほいっと。とれたよ」
ごとっと質量のある音がする。こんなものを首に付けてるなんて、かなり速度が落ちるはずだし、この二人には致命傷の代物だ。
「な、なんで…?」
「解呪の魔法だよ。少し複雑で特殊なね」
「お願いします!私のも取ってくれませんか!?」
「もちろん。君たちには変わる権利と常識、何より思いがある」
「ありがとうございます」
勢いよく頭を下げるものの縛られているためうまく下げられない。
「じゃあ首を出して」
「は、はい!」
少し緊張しながらも首を出す。今だに本当かどうか信じられないんだろう。
だが、これはまぎれも無く現実で、そのため彼女の首にある首輪が落ちる。
これにより裏切りがないとわかった俺は二人の拘束である【傀儡操作】を解く。その瞬間二人ともほとんど同時に首元を触る。安堵なのか、感動なのか分からないが大粒の雫を目元に溜めながら静かに泣いていた。
なんでこの二人が俺を裏切ることがないとわかったかと言うと、あのとき首を素直に出したからだ。もしそこで一瞬でも渋ったり、顔に反応があれば今信用していないだろう。首は生物にとっての弱点であり、それを差し出すというのは斬られる可能性があるということだ。それでも何のためらいもなく出すということは絶対的な信頼を置いているということだろう。そんな物が裏切るとは考えずらいため放したのだ。
「ほ、ほんとうに、ありがとう、ございますっ」
「私からもお礼と感謝を、本当にありがとう…!」
「もう大丈夫、これで自由だ」
二人を抱きよせ、言い聞かせるように言う。こうやって、もう囚われの身ではないと教えるのだ。アフターケアもしっかりするのが俺のやり方なのだ。俺を楽しませてくれたお礼でもあるが、それ以上に、こうしてもらったらほうが落ち着くだろうなと思ったのだ。
実際、たくさん泣いて、たくさん甘えれば、後は落ち着くだけなのだから。
「ごめんなさい。もう大丈夫、落ち着いた」
「わわっ、はずかしいところをみられました。私たちよりも年下なのに強いし、しっかりしていたのでついつい甘えちゃいました」
「いいや………気にしなくて良い。俺が好きでやったことなのだから」
二人の様子に安堵しながら、ふと気になったことを聞く。
「なあ、これから二人はどうするんだ?」
「これからとは?」
「そのままの意味だと思う。私たちはもう奴隷ではない」
そう彼女たちはもう奴隷では無いのと同時に庇護も、資金も、人脈や家すらも無いのだから。
そんな二人がこの先生きていけるはずがない。また奴隷になるまでだ。
だがここで俺が手を貸しては意味がない。そんなんじゃ二人は俺がいないと駄目になってしまう、何から何までやるのは違う気がする。だが間接的に手を貸すなら大丈夫だろうと自分に言い聞かせて二人に助言してあげる。
「周りに迷惑をかけず、自己責任で、二人みたいに身元や正体の明かせないものでも出来る仕事があるよ」
「そ、そんなのがあるんですか?」
「もしかして冒険家?」
「う~ん……当たらずも遠からずってとこかな」
「え、ちがう・・・の?」
嘘と言わんばかりの顔。きっと彼女たちはそれ以外知らないのだろう。ほかにもそういうような職業はあるけど、今回は関係ない。さっきも言ったとおり遠からずなのだ。
「わからないです~!もったいぶらずに教えてください!」
「私も同感」
「こらこら少しは頭を使いなさい、思考を止めてはだめですよ」
「「うぅ~ん??」」
二人の考える姿が面白く、からかってしまったが本当に思考を停止して誰かに頼るのはよくない。これはそういう訓練みたいなものだ。一人でも大丈夫なように。
しかし、全然答えが出ないのでやっぱり教えることにした。
「答えは・・・」
「「答えはっ!?」」
「・・・答えは、冒険者ギルドの受付員だ」
「「受付員…」」
うんうん二人の言いたいことはわかる。素性も明かせない怪しい人間を雇ってくれるか不安なんだよね、でもその心配は無用だってギルドはたいてい人手不足だもの。
「ギルド職員は基本忙しい、そしてそんな忙しい職員たちの時間を一番多くとるのが受付だ。しかも受付は意外と危ないらしい。よくたちの悪い冒険者に絡まれると言っていた」
換金などで納得がいかず手を挙げられるものがいるらしい。他にも
態度が気に入らねえとかでイチャモンつけられ対処でさらに時間をとられてしまうらしい。
「だから、腕が立ってしっかり働いてくれるという信頼があればなんとかなる」
「でもその信頼がない」
「私たちは体にかなり傷があるからそれで怖がられるとも思うし…」
「そんなこと心配しているのか?別に、俺に傷を見せても問題ない、恥ずかしくないと言うなら治してあげるよ?」
傷が見えるなら神話魔法の【リザレクションアビィリティー】で完全に消すことができる。あんまり解呪で魔力もとられていないし、やろうと思えば二人の傷を治すことぐらいなんてことない。
「ホントですか!?」
「けれどそれには、二人の強いイメージと意思が必要だ」
「それでも消えるなら消したいです!」
「私も、この忌々しい傷が消えるなら、なんでもできる」
そうして二人は服を脱ぎ始めた。
俺は同時に無心になった。あまり喋らない無口キャラちゃんのほうが胸でかいとか思ってない。
二人ともすらりとした良いスタイルを持っているとか思ってない。思って無いったら思っていないのだ!
「な、なら強くイメージして。(こいつら恥ずかしくないのか?!)呼吸を整えて目をつぶって。(ああ、堂々としすぎ!少しは恥じらいをもって!)傷のない自分を強くイメージして。(なんでこんなに俺のこと信用してんだよ…)一回深呼吸。(ああぁ!揺れてる!どこがとは言わないけど揺れてるよ!)じゃあ行くよ。(見てるこっちが恥ずかしい)」
内心で悶絶しながらも神話魔法を発動する。神秘性が高く目立ちやすい、むしろこんな路地裏で使っても神々しい雰囲気や魔力、光のせいで必然的にばれる。だからそこら辺を強く意識して無理やり押さえつける。かなり疲れるがどうってことない。
そうして彼女たちの傷は消えていった。
「はい。終わり。服を着てもいいよ」
そこには痛々しい傷も、真っ赤にはれた痣も、首輪の跡すら消えていた。
二人は長い間傷のない姿を眺めていたが、さすがに恥ずかしかったので無理やり着させた。風を引いてもいけないしな。
「本当にありがとうございました!」
「いんや~別に気にしなくて良いよ。ところで行き方はわかる?」
「はい!もちろんわかりますよ!」
少し不安だが無口っ子がいるからどうにかなるだろう。彼女は少し抜けてそうだが無口ちゃんはしっかりしてそうだしな。まあただの偏見だが。
「そう。今度お邪魔するからその時はよろしく。俺の名前を出せば一発でしかも即採用だから覚悟しておいて」
「本当に、何から何までありがとう」
「いいや俺は何にもしてないさ。二人が頑張ったからだよ」
「違う。あなたが助けなければ今の私たちはいない。それを忘れないで」
何か少し怖い。でもその心づかいには素直に感謝しておく。ほめられて嫌なわけではないし、別にツンデレでもないしな。
「わかったよ。最後に俺の名前は黒夜………コクヤ・フィールだ」
「覚えましたあ!コクヤ様ですね!!」
ものすごくキラキラした目で俺を見てくる。そんな眼をしても何も出ないぞと心の中で呟いた。
「別に様はいらないけどな」
「いや、私たちが勝手につけて呼ぶだけだから気にしないで」
「そっかなら気にしない」
なんとなく悪い気はしないのでそのままにしておく。別に早々会うわけでもないし問題は無いと思ったのだ。しかしその時は知らなかった、このことで近い未来修羅場を見る羽目になるとは。
「なあ、最後に二人の名前を教えてくれ」
「いいですよ!私はプルウィアって言います。これからもよろしくお願いしますコクヤ様」
「私はセレーノよろしくコクヤ様」
二人の名前を聞いて思わず笑ってしまう。それ、見事に逆だろう、と。
しかし二人に行っても通じないので黙っておく。
「うん。二人ともいい名前だ」
頭をなでてやりたいが身長が足りなかったのでやめた。相変わらずこの体は成長が遅い。一年たっても5、6センチぐらいしかかわっていないのだから。
「じゃあな」
二人に手を振って俺は帰っていった、今日あった出来事を思い出しながら。
この世界に来れてよかったと思いながらも、ちゃんと忘れないでおこうと思った日であった。
裏話?いえいえそんなンはありません。
まずは謝罪を、一か月以上投稿期間があいてしまいすいませんでした!!
色々あったんです!それ以上は深く聞かないでください。決してPS4のゲーム、コンパイルハートさんの新作である『Death end re;Quest』にはまっていたわけではありません!
しかもアニメ『多田くんは恋をしない』の続きが気になるほどはまっていたわけではありません。
他にも住野よる作品にはまっていたなんてことは決してありませんから!!
まあそんな茶番は置いといて、今月はもう一作品書ければ投稿したいと思っています。
少し遅くなるかもしれませんが・・・たぶん出しますから!
あと問題と答えは解けましたか?問題は「プルウィアとセレーネは何語でしょう」で。
答えは「プルウィアがラテン語(羅)セレーネがイタリア語(伊)」でした!
今回の話はかなりネタを多く、同時にシリアスと成長を書きました。
詰め込みすぎ?ま、まあ是非もないよね!
今回は私が暴走気味で忙しさで死んでいたのでこんなことになってしまいましたがこれからは落ち着くことかと思います。
後、ちなみに今北海道来ていて、満喫していま~す。食べ物が全部おいしい~太っちゃいますよ。
とまあ、こんな感じなので皆さんもゴールデンウィークは楽しんでください!
ではではまた次回会いましょう。またね^~^
ー裏話ー
「ねえ、お米ってどんな食べ物なの?」
「お米はねふんわりもちもちの食べ物なんだよ」
「それってパンとどう違うの?」
「たしかにそうだな?」
「もう見た目から違うし、何よりふわふわ感が違う。あと何でも合うらしい。」
「パンに合うものならたいていは合うわよ」
「ほえぇ~僕達も食べたいな」
「確かに!俺も食べたい!」
「私も右に同じく」
「なら今度黒夜を連れていく時に一緒に行かない?」
「そうね、また5人で集まりたいと思っていたし」
「なら俺達はもう友達だ。前々から言ってたらいばる?をやめるわけではないけどあったらすぐ喧嘩をする必要もないと思う!何より俺達気が合いそうだしな!」
「そうだねディオ。俺もこれから喧嘩はしない」
「ああよろしくなオーラル」
その二人の間に交わされた握手は大人になっても繋がれたままで、彼らの代は生涯助けあいであったそうだ。ちなみにエリーとユリアーノはこの時からあんまり喧嘩をしなくなった。しかし友達となるのはもう少し後の話である。




