プロローグ
無謀にも初めてしまいました!拙い作品ですが原作者様に恥じぬよう頑張って書きたいと思います。どうぞよろしくお願いします
その日三人のフリュがレントゥーラ医療センターに駆けつけていた。
「あなた……」
「ファルン……」
「ファルン!」
……いや正確には彼女達だけではない。この医療センターだけでも数千人或いは数万人。イゼイラ全体なら数百万人もの人々が医療センターに押しかけようとしていた。
「どうか妻に会わせて下さい!」
「息子は! 息子はどうなったんですか?!!」
「姉貴!姉貴!」
「お願いマルマに会わせて!」
…別に災害やパンデミックが起きた訳でもあるいは暴動やデモの類が起きたわけではない。まあ一種のパニックからの集団ヒステリー寸前の状態にはなっているが。
封鎖された医療センターの入り口に押しかけた群集に浮かぶ表情は焦燥と渇望、そして…希望であった。
いくらティ連の進んだテクノロジーでも一度に何千何万ものそれも冷静さを欠いた人を施設内にいれるなんてことはできない訳で、大半の人は足止めをくらっていた。
しかし彼女達は少しだけ幸運だった。 "波"が起きた時たまたま施設内にいたのだから。
そのため大多数の人をさしおいて待合室に待機する事が許されている。
一人の医療スタッフが入ってきて待合室を見渡し彼女達と目が合うと小走りでやってくる。
「どうぞこちらへ」
小声で誘われたその部屋の入り口を震える手で開ける
シュン、と扉が開くとそこにはPVMCGで何かを必死で記録している若い…といっても青年というには年のいった赤毛のデルンがそこにいた。
彼の姿を見た瞬間…彼女は固まり、彼女は手で口を覆い、彼女は息を飲んだ
「スミマセン。今チョット手ガ離セナイノデ後ニシテクレルト助カ……リ……マ………?………………!?」
その気配に気づいたのかこちらを振り返ったややダストール風のデルンであったが彼女達のすがたを目にした瞬間。ポカンと口を開けて固まってしまう。
彼の瞳に見る見るうちに雫が膨れていきやがて決壊する
「ラーシャ……クロレーヌ……クリーヌ……」
「あなた!!」「ファルン!!」「ファルン~~~!!」
彼女達……いやもういいだろう。母と娘達は飛びつくように彼の元に駆け寄る。
父は腕を広げ三人をその胸に搔き抱いた。
懐かしい父の温もり。それは何十周期の時を経ても変わっていなかった。
「ミンナ……ミンナ。オオオオオォ……三人トモココニイルンダネ? 夢ジャナインダネ?」
その存在を確かめるが如く固く固く妻と娘達を抱き締める。まるで離すことを恐れるかのように震える腕が三人の頭をクシャリと順番に撫でる。
その感触が多少の乱暴さもありながら懐かしくも優しく温かく三人はされるがままだった。
だからだろう。
「ヤット……ヤット……目ヲ醒マシテクレタ……」
その言葉の違和感に誰も気付かなかったほど親子はただ再会を喜び噛みしめるのであった。