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傍観少女は恋をする  作者: 星羅
8/13

傍観少女と泣き虫わんこ

傍観少女の星南ちゃんが新たな攻略対象者(六華の魔の手に絡めとられているともいう)と出会います。

「あ~~~~~~~っ!」

私としたことが…忘れ物をしてしまったわ。しかも、明日提出の課題。参考文献を書かなければいけないのに。仕方ないわ。戻るしか、ないわね。

        っ!

空が…暗い。こ、怖くなんかないですよ。ええ。怖くなんて…

「ね…ぇ。」

「きゃーっ!」

ごめんなさい撤回します本当はとても怖いです。だから、だから!

「呪わないでください…」

「ふぇ…う、ひっく、…ま…たぼ、く…こわ…が、られた。」

え?人間…かしら。いえ、人間よね?泣いてるし、話を聞く限り、私が泣かせた…って、この子、噂の生徒会書記の…えーと、何君だったかしら。思い出して、私の頭!よっぽど真剣な顔をしていたのか、書記君は泣くのをやめ、私をじっと見つめてきた。

「ぼ…く、さ…いじょ、う…か、いり。せ、んぱ、は?」

そうそう、葛城海里さいじょうかいり君だった!やっと思い出せたわ。

「私の名前は、海瀬星南。よろしく。葛城君。」

そういうと、頬を膨らませ、

「むー…か…い、りで、い!」

と言ってきた。下の名前でいいのならそうするけれど、女子たちの恨みが怖いわ…まあ、気にしなければいい話、よね?うん、そうよ。そう思ってないとやってられないわ!

「分かった。私の事は好きに呼んで、海里。」

今度は顔をぱぁっ!と明るくして、

「じゃ…ぁ、せーちゃん…でも、い、い?」

…海里、君って、あだ名は途切れないのね。すごいわ。そんなどうでもいいことに感心していると、海里が、

「ね、ど…して、こ、こにき…たの?」

と訊いてきた。そうだったわ!私は課題を取りに来たんだった!危うく忘れるところだったわ。

「私、課題を取りに来たの。まあ、海里が言ってくれなかったら忘れてたでしょうけど。ありがとう。」

本当に感謝してもしきれないわ。あの先生、怖いのよねー。そう考えていると、どすっと私の体に衝撃が与えられた。何?なんかすごい衝撃だったのだけれど。見てみると、海里が私にタックルをしていた。大事なことなのでもう一度言うわ。海里が私にタックルをしている。


どうしてこうなった!

いえ、答えがほしいわけじゃないです。ただ、少し、いえ、かなり疑問に思ったものですから。

「せー、ちゃん。は、じめて…ぼ、くに、かん…しゃし、てくれ…た。み…な、ぼ、くに、せ…とかぃのし、ごとおしつ…ける。け、きょくせ、いどうし…かや、てく、ない。」

いや、そんな大したことじゃないのに。そんなことよりも、なんですって…?生徒会は庶務も含めて七人。一匹狼の先輩(不良)は六華さん目的で居座っているだけなので含めない。…五人の戦力がいなくなり、肝心の生徒会顧問の林宮先生も六華さんにぞっこん。酷い状況だったのね。

「そう。私にできることがあったら何でも言って。はい、これ私のLAIN。」

そういうと、破顔して

「い…の?きょ、れ…らくす、ね?」

と言ってきた。おかしいわ…なぜか犬の耳としっぽが見える…私、眼科に行った方がいいかもしれない。そう考えていると、

「う、ふぇ、し、あわ、せす…ぎる。い、の?」

と訊いてきた。抱きしめられたままなので、頭をポンポン、となでて、

「あなたはもっと欲深くなった方がいいわ。誰が何と言おうと、私が許す!」

というと、もっと泣き出してしまった。もう、泣き虫なわんこ君だなぁ。

まあ、それはともかく今日は生徒会の海里とも仲良くなれた。友達が一人増えたことは、とても喜ばしい事だわ。その日、スキップしながら帰ると、周りの人に不審者として通報されそうになったのは私だけの秘密だ。

私としては、海里君チョロすぎやしないかと。こりゃあ六華に目を付けられますよね。皆さんはどう思いますか?

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