傍観少女とお昼ご飯(2)
あの後。私は教室に行き、自然にみんなに溶け込んだ。さすがに林宮先生にはお見通しだったみたいで、
「朝会の後、六華と一緒にいたが、一時間目に二人ともいなかったよな?今も六華はいないし。」
と聞いてきた。当然話す気はないので、にこりと微笑んで授業の準備をしにったけれどね。結局お昼に話すことになるのだから。
そのまま私はいつも通りのように授業を受け、お昼を心待ちにした。
コンコン。
「お、来たか。入っていいぞー。」
もし私じゃなかったらどうするつもりだったのかしら。そう思い、クスッと笑いつつ、私は部屋に入った。
「先生。今日のデザートはリクエスト通り、マンゴープリンにしました。」
「おお、そりゃ楽しみだ!じゃあまずは…うわっ!唐揚げじゃないか!俺の好物だよ!どこで知ったんだ?」
偶然入れただけなのだけれど、先生の少年のような満面の笑みを見て、私はそれを言うのをやめた。
「どうでしょうね。そんな事より先生、今日何があったか話すので、聞いてもらえますか?」
私の真剣な表情に気づいたのか、先生も顔を引き締めて、
「ああ。お前は噓をつかないと信じてるから。真面目に聞くよ。」
「まずは、私が今日、六華さんとトイレに行ったところから始まります。
――――――――――――――――――ということで、私だけが二時間目に出たというわけです。」
「…まず、聞きたいんだが、その、宗二朗って…お、男だよな?」
「いや、長年一緒にいた幼馴染がいきなり女になったらびっくりしますよ。」
私がそうツッコむと、先生は赤面して目を泳がせ、
「あー、あれだ。今から言う事、セクハラじゃないからな?」
はて、何を言うつもりなのだろうか?
「お前、女子トイレの中に入られることに違和感感じてないって…その、そういう関係なのか?」
ぷっ。
「あはははははは!先生面白くないこと言いますね!私と宗太郎が、そういう関係になることを、私は望んでいません。」
そう、少なくとも私は絶対にソウの事を好きにならない。私は昔、ソウに酷く冷たく振られた。それから私は、正堂さんに会うまで恋が出来なかった。私が相当怖い顔をしていたのか、先生は、
「ああ。悪いな。そんな質問をしてしまって。さ、マンゴープリン、食べよう。」
「はい、そうですね。」
穏やかに、和やかに、時は流れていった。