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傍観少女は恋をする  作者: 星羅
5/13

傍観少女と絶体絶命?

ずいぶん間があいてしまい申し訳ございません。

コツコツコツン。

トットットッ。

女子二人が無言で歩いている絵は、とてもシュールなようで、前を行く人々が道を開けてゆく。まあ、歩きやすいからラッキーよね。

「まだ、つかないの?ほかのお手洗いに行った方がいいんじゃないかしら?」

そう訊くと、キッ、と私を睨んで私の腕を強くつかむ。ああ、痣になってしまう。

「いいから、ついてきて?まあ、星南ちゃんは言いたいこと、もう分かってるかもだけど。」

ごめんなさい、あなたの期待には沿えてないわ。ぼーっとそう思っているうちに、お手洗いの前に立っていた。近くには宗太郎のグループがいるだけ。私はそれを横目にみてお手洗いに入った。いきなり六華さんが振り向く。何気に驚いてしまったわ。

「あんた、転生者でしょ!同じ転生者でも主人公と悪役!嫉妬したから、冬二に近づいて、逆ハールートを壊そうとした!そうでしょ?でも残念。この世界は私のためにできてるの!あんたは悪役にしかなれないのよ!」

自分が言うことはすべて正しいとでもいうように、高笑いをする六華さん。でも、転生って、何を言っているのかしら?それに、この世界は誰のものでもないわ、全ての意味が、分からない。

「あの、もしかして、生きる者はすべて輪廻転生するという考えをお持ちで?」

と聞くと、キッと私の事を睨んで、

「そこ、動かないで。」

地を這うような声で私にそういうと、その瞬間。


バシャッ!!!!!

予測できていたはずなのに。私の体は石のように固まって、動けなくなった。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ドンっ!


「大丈夫?俺のせーな。」

やっぱり、いざという時に頼りになるのは、宗太郎だ。

「あ、あんた誰よ!」

と宗太郎に六華さんは話しかけのだけれど、

「は?てめえが誰だよ。つーかせーなに酷いことしてる時点でお前は死ぬべきだと俺は思うんだけど…

そこで一端言葉を切った宗太郎は、ほぼ三百六十度の角度でこちらを振り向いた。怖い怖い怖い。

「ねえ、せーなもそう思うよねぇ?」

私に聞かないでほしいわ。でも、口を開かなければ文句を言われるんだから、面倒くさいのよね。

「別に、死ななくてもいいと思うわ。私にとってはゲーム脳のお馬鹿さんでしかないもの。」

「は!?あんた生意気なのよ!ねえ、そう思いません?お名前が分かりませんけどぉ、イケメンなお方♪」

あ、これはまずい。そう思い、口を開こうとすると、

「てめぇ、いつまでなめ腐った演技してるつもりだ!俺の星南に、何てことしようとしてるんだよ!…ここで、殺してもいいんだぞ?」

と宗太郎がキレてしまった。ああ、宗太郎が怒るのも無理ないわ。私を庇ってくれたせいで、びしょぬれになっている宗太郎は、濡れている髪をかき上げながら、こちらを向いて、艶やかに言った。

「俺の愛しいせーな。君を傷つける者は、この世にイラナイ。」

そう言うと、いつものおちゃらけた顔に戻り、

「さ、授業に遅れちゃうから行っといで。二時間目なら間に合うよ。こいつは俺がどうにかするから、さ。」

申し訳ないけれど、お言葉に甘えて、私はまたコツン、コツン、とローファーで廊下を踏みしめながら、何度も何度も後ろを振り返りながら、教室へ向かった。

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