傍観少女と林宮先生
土日と言ったのに、その日になってしまいました!すみません。
将を射んとする者はまず馬を射よ。
まずは外堀から埋めましょう。私は、もう少しで六華さんに惚れて職権乱用をしそうだと予測した、林宮冬二をまず射止めようと思った。もうあちら側に堕ちている人よりも、まだ踏みとどまっている人の方が射止めやすいもの。計画はこう。六華さんのことが好きというのは、教師として許されないこと。それで脅しているうちに、お弁当を作り、胃袋をつかむ!料理と勉強しか取り柄がない私は、これが一番のアプローチだとおばあちゃんに教わった。では、職員室に行きましょう。
コンコン
「はーい。どうぞ」
「失礼します。林宮先生は、いらっしゃいますか?」
「ああ、海瀬か。今手が離せないから、こっちに来てくれるか?」
あら、二人だけみたい。ラッキー。
「はい。今行きます。」
「悪いな、次の授業の準備をしていて。何の用だ?」
「はい、先生が、六華さんのことが好きな件について。」
「ごほっ、ごほっ!お、お前、変な冗談を言うな!せ、先生は、別に好きじゃないからな!?」
動揺しまくりね…でも好都合。攻めればいけるわ。私は獲物を見つけた虎のように、目をキラッと光らせた。
「うそつかなくって良いんですよ。先生が六華さんの事を好きなのは、前から知っていました。生徒との恋。辛かったでしょう。吐き出して、いいんですよ。」
「海瀬…」
スイッチ、オン。
「ああ、おれは、立夏の事が好きだ。許されないことは分かっている。それに、本当に好きかも…わからない。」
「どういうことですか?わからないって。」
「あいつはきっと、おれたちが何を言ったら、どういう反応をするか、全て分かっていると思う。分からないけど、そう思うんだ。これは仕組まれた恋心なんじゃないかって。」
「そうですか。先生、すみません。」
「どうしたんだ?」
「ボイスレコーダーで全部、録音してました。脅します。」
「うそだろ!?お前なら分かってくれると思って話したのに…」
「あ、それは別問題なので。普通にかわいそうって思ってましたよ。」
「じゃあ何で脅すんだよ!」
はぁ。説明するのが面倒。
「二週間、一緒にご飯を食べてください。私がお弁当を持ってきます」
「質問に答えてくれよ…まぁいい、そんな事なら余裕だからな。」
「まあ本当は下僕になれとか言いtげふんげふん、そんなこと要求するわけないじゃないですか!」
いけない。つい本音が口から出てしまったわ。
「不穏な言葉が聞こえた気がするんだが。」
「とにかく!明日からよろしくお願いします。」
将を射んとする者はまず馬を射よ作戦、開始!