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BLACK TUNER  作者: 楽椎名
魔闘祭編
7/25

開催!! 魔闘祭!!

 カーテンの隙間から入り込む日差しによってレオンはゆっくりと目を覚ます。

 ベッドの上で仰向けになったまま、伸びをした。

 そしてゆっくりとベッドから降りてリビングへと移動する。

「おはよう、レオン」

 聞き慣れた声が耳に入る。

「おはよう、ミシェル」とレオンは返してキッチンへと移動するとそこには夏の制服の上にフリルの付いたピンクのエプロンを身に纏って朝食の準備をしているパートナーの姿があった。

 似合っているな、と思いながらもレオンはマグカップを取り出しポッドに入った白湯を注いで食卓へと移動した。

「そう言えば、今日からだったな」

 白湯を啜りながらカレンダーを見つめてレオンはそう口にした。

「そうだね」とミシェルは作った朝食を食卓の上に並べていく。

 それを終えると彼女はエプロンを取って彼と向かいの席に座った。

 いただきます、と二人は合掌して朝食を摂り始める。

「自身の方は?」とレオンが問うと、「あるよ」とミシェルは笑って答えた。

「今日まで頑張ってきたもんな」とレオンはミシェルとの修業を思い出す。

 この日までに、彼女は座禅をマスターしていた。 つまりそれはミシェルの中で迷いが消えた証拠でもある。

 まだレオンの力の域までは達していないが、それでも絶大な戦闘能力を得られた。

 この様子なら、あのギルバートと一対一で戦っても勝利する事が出来るだろう。

「優勝しような」

 対してミシェルは首を縦に振ったのだった。



 午前十時を回った頃、号砲が学園中に響き渡る。

「レディース・エンド・ジェントルメン! これより、ユナイテッド魔法学園による、格学年の最強を決める魔闘祭を開催致します!」

 待ってました、と歓声が響き渡る。

「開会式は我らが国王、アレックス様に執り行ってもらうぞ!」

 どうぞ、と司会者はミシェルの父、アレックスにマイクを手渡す。

 第一闘技場の高い所にある一番いい席から周りを見渡して彼はゆっくりと口を開いた。

「ユナイテッド学園の生徒諸君、今日という日を待ちわびた事だろう。 本日、各学年の最強が決まる。 相手を重んじ、戦いに挑むことを願いたい」

 さあ、とアレックスはマイクを持たない手を広げて声を上げた。

「思う存分、力を発揮したまえ! 魔闘祭、開幕だ!」

 国王陛下! 万歳!

 国王陛下! 万歳!

 国王陛下! 万歳!

 こうして魔闘祭が開催した。

「うぅ……、なんだか緊張してきた……」

 レオンの隣でミシェルが今更不安を覚える。

「大丈夫だ。 今の俺たち二人は最強だからな」

「最強だぁ?」

 二人の前に、音もなく風雷坊が現れる。

「この俺たち風雷坊を差し置いて最強を語るなんて余程の自信じゃねぇか?」

「ギルバート……!」とミシェルは親の敵を見る目で彼を睨みつける。

「今度はテメェごと潰すぜ?」

 レオンを指差してギルバートは宣戦布告する。

「残念ながらお前たちじゃ俺たちには勝てない」

「そうだな、確かに、風雷坊じゃレオンたち二人には勝てない。 そして、俺たち生徒会コンビにもな」

 そう言って現れるは小等部生徒会会長のベネット、そしてその相棒兼生徒会副会長のジミー。

「優勝は俺たちが貰うよ」とベネットは口元を緩める。

「ケッ! 後で泣き面かいても知らねぇぞ?」と噛み付くギルバート。

「まあ、お互い頑張ろう」とレオンは余裕の表情を浮かべていた。

 三組の間に火花が走る。

「それでは、試合についての説明をするぞ! 皆、こちらのモニターを見てくれ!」

 司会者の言葉に従って、その場にいる全員が闘技場に設置してあるモニターの方へと視線を移す。

「各学年別に分かれて、トーナメント形式で行うぞ! 最後に勝ち上がった者が優勝だ! ルールは至って簡単。 相手を降参または戦闘不能にさせた者が勝者となります! 時間削減の為、トーナメントは各闘技場にて全学年同時に行いますことを御理解下さい! それでは皆さん、健闘を祈ります!」

「俺たち小等部は第三闘技場だ」

 そう言ってギルバートは双子の弟、アルバートを連れて足早に向かっていった。

 それに続く様にレオンとミシェル、ベネットとジミーは跡をついていく。

 第三闘技場に辿り着き、三組はモニターに映し出されているトーナメント表を見た。

「何だ。 お前らと当たるには決勝まで勝ち上がらなくてはならないのか」

 レオンの言葉に、「決勝で会おう」とベネットが言ってきた。

「その前に準決勝で俺たちを倒す事だな!」

 悪い笑みを浮かべながらギルバートが釘を刺してきた。

 望むところだ、とベネットは爽やかに笑った。

「それではこれより一回戦を行うぞ!」

 司会者の言葉により、辺りは静まり返る。

「一回戦、最初に戦うのはレオン、ミシェルコンビ対エイドリアン、ビルコンビだ!」

「お、俺たちか。 行くぞ、ミシェル」

「うん!」

 レオンとミシェルは闘技場のステージへと上がった。 それと同時に対戦相手のコンビも上がってくる。

 二組はある一定の距離まで近づいて対面した。

 審判が二組の間に移動する。

「これより、レオン、ミシェルコンビと、エイドリアン、ビルコンビの試合を始める」

「お手並み拝見とさせてもらうぜ」とギルバートは陰でレオンたちの様子を眺める。

 審判は腕を前に出し、そのまま、

「始め!」

 振り上げた。

「『同調(シンクロ)』!」

 二組は同時に同調を開始する。

「行け! ファイアーボール!」

 先手を打ったのは対戦相手の同調体。 掌を此方に向けてその先からバレーボール大の火の玉を飛ばしてきた。

「ダーク・シールド!」

 レオンとミシェルの同調体は黒い盾を展開してそれを防いだ。

 初めて見る闇属性の魔法に対戦相手の同調体が戸惑う中、レオンとミシェルの同調体は人差し指を向ける。

「ライト・バレット」

 刹那、その指先から光で出来た弾丸が放たれる。

 聖属性特有の光の速さが容赦なく相手を襲う。

 しかし、それに構わずレオンとミシェルの同調体は対戦相手に光の弾丸を浴びせていく。

 そうしていく内に光の弾丸が対戦相手の同調体の眉間に直撃してそのまま倒れ込み、同調が解ける。

 対戦相手の動きがない為、審判は彼らに近付き意識を確認する。

 そしてゆっくりと立ち上がり「エイドリアン、ビルコンビ、戦闘不能の為、勝者、レオン、ミシェルコンビ!」と試合終了を告げた。

 ワッ! と歓声が響き渡る。

「なんとレオン、ミシェルコンビ! 僅か五分足らずで勝利を捥ぎ取りました! これは次の試合も楽しみだ!」

「やったな、ミシェル」

 ミシェルと分離してレオンは親指を立てた。

 彼女は嬉しそうに「うん!」と微笑んだ。

「ケッ! 見せつけてくれるじゃねぇか」

 陰で二人の戦いぶりを見ていたギルバートは嫉妬にも似た感情を抱きながらアルバートと共にその場から去って行った。


 レオン・スミス、そしてミシェル。 忘れるなよ? テメェ等を完膚なきまで叩き潰すのは俺たちだ! 必ず勝ち上がってこい。


 その時、誰かの高笑いが闘技場に響き渡ったらしい……。


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