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BLACK TUNER  作者: 楽椎名
絆編
25/25

ハッピー・エンディング

「こうして父さんは、母さんが放った光に包まれて負けたんだよ?」

 レオンはミハエルと育んだ六才の息子、ブレッドを膝の上に座らせながら、一四年前の彼女との決闘の話を聴かせた。

 ブレッドは「母さんって凄いんだね!」と目を輝かせた。

「ああ、母さんは凄いよ」

 それからレオンは、ミハエルとの決闘で敗けた八年後、晴れて彼女と結婚し、ブレッドを産んだことを話す。

 すると、後方から「その話はよしてよ」と聞き慣れた声が耳に入った。

「あ、母さん!」とブレッドはレオンの膝から降りて、やってきたミハエルに抱き付く。

「良いじゃないか。 ミハエルの勇士を聴かせてやりたかったんだ」とレオンは微笑みながら彼女に近付き、頬に口づけをした。

 もうっとミハエルは頬を朱に染めながら照れた。

 彼女は高等部を卒業するまで男装でいた。 それから二年の月日を使って髪を伸ばし、今では膨よかな身体つきもあってとても女性らしくなっている。

 結婚式の時、彼女が女性で王女だったと知った時のクラスメイトの驚いた顔はとても可笑しかった。

「でもアナタに勝てて良かったわ」

「どうして?」

「もしあの時、アナタに勝てなかったら、きっと私は本当の意味で国民を守る女王にはなれなかったと思うから」

 ミシェルの言葉に、レオンは目を丸くするも、次第に口角が上がり、「そうだな」と彼女をもう一度優しく抱きしめたのだった。



 夜、ブレッドを寝かしつけた時、「可愛い寝顔ね」とミシェルは微笑んだ。

 それに同意する様に、レオンは「そうだな」と慈しむ様にベッドで眠るブレッドの頬を撫でた。

「もうあれから一四年経つのね……。 子宝にも恵まれて……」

 ねぇ、レオン。 とミシェルは言葉を続けた。

「私、幸せよ」

 その言葉に、レオンは小さく微笑みながら「私もだ」と応えてミシェルの唇に自分の唇を重ねた。

 永遠のコンビとなったレオンとミシェル。

 二人は息子のブレッドの三人でいつまでも幸せに人生を謳歌するのであった……。


 ―完―


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