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BLACK TUNER  作者: 楽椎名
絆編
23/25

ミシェルとダリア

「それで、レオンの事について聞きたい事って?」

 ダリアが聴きたがっている事を予想はしているが一応、人の少ない岩場で肩を並べて座って問い掛けるミシェル。

「はい。 単刀直入に聞かせて頂きます。 王女様はレオンの事をどう思っているのですか?」

 レオンの事をどう思っているのか。 その問いに、ミシェルはすぐに答えられなかった。

 ダリアは真っ直ぐな目でミシェルの瞳を捉えて口を開いた。

「私はレオンの事が好きです」

 刹那、ナイフで胸を抉られる様な感覚をミシェルは覚えた。

 レオンの事が好き。 そう言う事を告げられる事も、ミシェルは何となく予想していた。

 だからこそ、彼女が問いに堪えられなかった。

 簡単に、レオンの事が好きだなんて言えない。

 自分はレオンと出会って僅か数ヶ月しか一緒に過ごしていない、おろか彼に救われてばかりだ。 しかし、彼女はどうだろう? ダリアは今よりも小さい時からレオンと一緒にいて、想いを馳せていた。 それを民の掟だからと言って引き離されたのだ。 これを残酷と言わずに何と言えようか?

 答えに迷っている時、でも、と構わずダリアが言葉を続けた。

「諦めることにしました」

 意外な言葉に、失礼ながらもミシェルは何故? と聴いてしまった。

 だが彼女は気にする事無くどこか吹っ切れたかのように微笑んでその訳を口にした。

「王女様の事を話しているレオン、何だかとても幸せそうでしたので」

 そうだったのか……。

 予想外の答えに、ミシェルは瞼を大きく開いた。

「王女様は確かレオンと決闘をするのですよね?」

 対してミシェルは首を縦に振って肯定する。 するとダリアは満面の笑みを浮かべて拳を握りしめながら言った。

「私の分をレオンに一発お願いします。 そして必ず勝ってください!」

 ダリア……。 そうか……。

 彼女の思いを受け取ったミシェルは口角を上げて「約束するよ!」と右の小指を立てて差し出した。

 ダリアも微笑みながら自分の右の小指で差し出された彼女の小指に絡ませた。

 こうして乙女の間で交わされた契りを胸に、ミシェルはレオンに、パートナーに勝つと言う決意を更に強固たるものになり、カールの下へと戻り、再び王国ユナイテッドへの帰路につくのであった。

 必ず勝つから……!


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