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ロイヤルロード(上)  作者: Koko
2nd Stage
8/40

転校生

~友菜Side~



迎えた月曜日



光ちゃんは、朝練で先に学校に行ったので、1人で学校に向かう。



校門まで来た時…



「坂本先輩」



「清水さんだよね?どうかしたの」



「少しお話があるんですけど、お時間大丈夫ですか?」



あたしと清水さんの共通の話って、光ちゃんのことしかないよね…



「うん、いいよ。とりあえず非常階段の所に行こうか」



「はい。わかりました」



うちの学校は、各学年の1組と7組の廊下を抜けた所に、非常階段がある。



生徒も普段立ち入ることができるものの、そこにはあまり人が来ず、穴場になっているのだ。



ほどなくして、非常階段に到着した。



2人で、隣同士腰を下ろす。



「それで話って、何かな?」



「単刀直入に聞きます。坂本先輩は、光太先輩のことを、どう思ってるんですか?」



「う~ん…兄と妹みたいな感じでここまで育ってきたから、家族みたいに仲良しな幼なじみって思ってるよ」



「そうじゃなくて、異性としてどう思ってるか聞きたいんです」



「異性?ごめん…考えたことないから、よくわかんないや…」



好きか嫌いかと聞かれたら、迷うことなく好きと答える。



でもあたしと光ちゃんが、付き合ってるなんて想像できないし…



「そうだろうとは思ってましたけど。あ~あ、光太先輩かわいそう」



「どうして、光ちゃんがかわいそうなの?」



「残念ながら、あたしの口からは言えないですよ。それで、坂本先輩に宣言しておこうと思って」



「宣言?」



「あたしは光太先輩のことが好きです」



「うん…」



「光太先輩の方も、少なからずあたしのこと好きでいてくれると思うんです」



やっぱりそうなんだ…



清水さんとは付き合わないって言ってたけど、今現在の話で、将来的にはわからないもんね…



こんな可愛い子にアプローチされたら、光ちゃんも嬉しいだろうし、もしかしたら気持ちが変わっちゃうかもしれないな…



「それで、もし坂本先輩が光太先輩のこと異性として好きじゃないなら、もう少し距離を置いてもらいたいんです」



「えっ?それは困るよ…登下校もクラスだって一緒なのに…」



「仮の話ですけど、あたしと光太先輩が今後付き合ったとするでしょ」



「うん…」



「でも光太先輩は、彼女が出来ても、坂本先輩と一緒に登下校している。彼女としては面白くないシチュエーションでしょ?」



「そうだけど…」



「逆の立場になって、考えてみてくださいよ」



「逆の立場?」



「例えば、坂本先輩に彼氏ができました。でもその彼氏には、女の子の幼なじみがいます」



「うん」



「どうですか?迷惑な存在だと思いませんか?」



「迷惑ではないけど…複雑な関係になりそうだね…」



「そうでしょ。だから、距離を置いて欲しいって言ってるんです」



「光ちゃんと距離を置くことなんて出来ないよ。だってあたしにとって光ちゃんは大切な存在だから」



「でもあたし達が付き合うことになったら、強制的に距離を置いてもらいますから、覚悟しといてくださいね。それでは失礼します」



そう言うと、清水さんは一方的に話を切り上げて、去って行った。



やっぱり清水さん、光ちゃんのことが好きだったんだ…



「友菜ちゃん」



考え事をしていると、声をかけられた。



「智紀君?どうしてここに?」



「光太に頼まれて、1年生の校舎で部員募集のチラシを配ってたんだ。そしたら、友菜ちゃんの姿が見えたから、声を掛けたって訳」



「そうなんだ」



「さっき話してたのって、うちのマネージャーの清水だよね?」



「うん…」



「友菜ちゃんと清水って、仲良かったんだね」



「ハハッ…」



面と向かって話したの今日が初めてなんだけど…



キーンコーンカーンコーン



HRの予鈴が鳴る。



「一緒に教室行こうか」



「うん」



急いで教室に向かった。



ガラガラ



「おはよう」



「おはよう、友菜。ついでに智紀も」



「あれ?光ちゃんは?」



「まだ来てないよ」



「そっか…」



光ちゃんの顔を見て、早く安心したかったんだけどな…



「友菜、元気無いね。光太君と仲直りしたんでしょ?」



「うん。光ちゃんの問題は、解決したんだけど…」



「じゃあ、何か他に問題があるんだ?」



「うん。清水さんのことなんだけど…」



「友菜と接点なんてなかったじゃん。最近まで知らないって言ってたし」



「俺も、さっき2人が話している所を見て、不思議に思ってたんだよね」



「今日の朝、いきなり校門の所で話しかけられたんだ」



「何か言われたの?」



「うん。清水さんが、光ちゃんのこと好きらしくて、付き合うかもしれないから、光ちゃんともう少し距離を置くようにって言われたんだ」



「はぁ?ホント自分勝手なやつだね。それで、友菜は何て答えたの?」



「[距離を置くことはできない]って、はっきり言ったよ」



「おっ!友菜にしては珍しく言い返したんだ」



「うん。ここは譲れない所だから。でも清水さん、ちょっとかわいそうだったかな?」



「そんなことないって。明らかに向こうが自分勝手なこと言ってるんだから、友菜は何も悪くないの」



「そうだね…」



「おっす」



あたし達から遅れること3分、光ちゃんがようやく教室にやって来た。



「何の話してたんだ?」



「えっと…しみ…」



話そうとしたら、唯香にいきなり口を閉じられた。



息ができないよ…



「しみ?」



「そう!肌に染みができちゃったって話してたんだよね?智紀」



「そうそう!お肌の染みが気になるお年頃なんだよな」



「絶対嘘だろ…怪しいけど、まあいいや」



プハ~



唯香の手が放されて、やっと息ができるようになった。



「唯香、ひどいよ。死ぬかと思ったじゃん」



「友菜がバカ正直すぎるから、いけないんだよ」



「ええっ」



「そういえば、今気づいたけど、友菜の隣の席に机置いてあるんだけど」



「ホントだ。始業式の日にはなかったのに…」



あたしの席は、廊下側から2列目の1番後ろにある。



始業式の日の時点では、あたしの右隣には机がなかった。



その席はドアの真横にあるため、皆が教室の外に出やすいように席が無いのかなと思って、あまり気に留めていなかった。



「もしかしたら、転校生が来るんじゃねえの?」



「うそ!男の子かな?女の子かな?」



「間違いなく、可愛い女の子だね。黒髪ロングの美少女に違いない」



「いいや、男の子だよ。肉食系の超イケメンだろうね」



「女!」



「男!」



また唯香と智紀君の、ショートコントが始まった。



「男か女かなんて、まだわかんねえだろ…てかその前に、転校生が来るかどうかもわかんねえし」



2人の話の収拾がつかないと思ったのか、光ちゃんが思わず口を挟む。



「光太、おまえには夢がないのか。妄想するのが、楽しいんじゃないか」



「そうだよ、光太君。光太君だって、どんな子か気になってるんでしょ?」



「まあ野球がうまいやつで、野球部に入ってくれるなら、嬉しいんだがな」



「おまえは、野球のことしか頭にねえのか」



「友菜はどんな子がいい?」



「どんな子か…男の子でも女の子でも、せっかく何かの縁があってこの学校に来ることになったんだし、仲良くなれるといいな~」



「友菜らしい答えだね」



どんな子がいいって聞かれても、困るな…



具体的な人物像が浮かぶ、唯香と智紀君は凄いよ。



キーンコーンカーンコーン



HR開始のチャイムが鳴る。



「とりあえず、席に戻るね」



「そうだな」



ほどなく、渡辺先生が教室に入ってきた。



「HRを始めます。まず始めに今日から一緒に授業を受ける転校生を紹介します」



皆の予想が当たっていたようで、本当に転校生が来るみたいだ。



ザワザワ



「よっしゃ~」



「先生!男?女?」



渡辺先生の思わぬ発言に、教室は騒然となる。



「静かにしてください!転校生の子が教室に入ってこられないでしょ」



シーン



一気に静かになった。



「今呼んでくるから、静かに待っててね」



渡辺先生はそう言うと、一旦教室の外に出る。



クラスの皆が、固唾を飲んで、渡辺先生の出て行ったドアを見つめていた。



ガラガラ



しばらくして、渡辺先生が教室に戻ってくる。



「それじゃあ、川越君入って来て」



ガラガラ



教室に入ってきたのは、男の子というより、漢っていう感じの人。



整った眉。切れ長の目。高い鼻。スラッと高い身長。それでいて服の上からでもわかる筋肉質の体。



いわゆる、肉食系イケメンといった感じの男の子だ。



離れたところにいる、唯香の方を見る。



やっぱり…



身を乗り出して、川越君を見つめている。



「キャー、かっこいい」



どうやら唯香は、興奮を抑えきれないようだ。



唯香だけではなく、大半の女の子は、黄色い声をあげている。



一方智紀君は、あからさまにうなだれている。



「川越君は親御さんの都合で東京からこっちに引っ越してきたので、色々と教えてあげてくださいね。それじゃあ、川越君、軽く自己紹介してください」



川越君の第1声に、注目が集まる。



「川越和馬です。よろしく」



渡辺先生が軽くとは言ったものの、かなり簡単な自己紹介だった。



無口な人なのかな?



「川越君の席は、1番廊下側の1番後ろの席です」



「……」



ダルそうに、ゆっくりこっちに向かって歩いてくる。



皆で予想した通り、あたしの隣の席だった。



ドスンと自分の席に腰を下ろす。



どうしよう?何か話し掛けた方がいいのかな?



席替えをするまでは隣の席なんだし、ちょっと話しかけてみよう。



「あたし、坂本友菜。せっかく隣の席になったんだし、仲良くしようね」



「……」



あれ?反応がない…



聞こえなかったのかな?



「分かんないことあったらなんでも聞いてね」



「……ああ」



川越君は1度こっちを見た後、再び廊下の方へ視線を向けた。



あれ?まさか嫌われてる?



今日初めて会ったばかりなのにな…



先が思いやられるよ。



「転校生も入ってきて、テンションが上がってるかもしれないけど、今日から本格的に授業が始まるので、しっかり頑張ってくださいね。これでHRを終わります」



渡辺先生の言葉と共に、HRが終わる。



その瞬間、教室中の女の子が川越君の席を取り囲んだ。



「背高いね。身長何cm?」



「今どこに住んでるの?」



そしてすぐに、川越君への質問攻めが始まった。



当然隣の席にいるあたしも、身動きが取れなくなる。



「ちょっとごめんね~」



クラスの女の子達をかきわけて、唯香の席へと向かった。



光ちゃんと智紀君は、すでに集まっていた。



「ざま~みろって感じね。あたしの勝ち」



「くそ~」



「友菜~イケメン転校生が来たよ。しかも超あたしのタイプだし」



「ハハッ…」



唯香のテンションが、急上昇している。



「川越君、彼女いるのかな?やばいよ!生まれて初めて一目惚れしちゃったよ」



「あんなイケメン、彼女いるに決まってんだろ」



「そんなのまだわかんないじゃん。川越君があまりにイケメンだから、ひがんでるんでしょ?」



「うっせ~よ」



今日の口喧嘩は唯香の圧勝のようだ。



「でもあいつかなり愛想悪かったぜ。友菜が話しかけてもほぼ無反応だったし」



「えっ…友菜、川越君に話しかけたの?」



「うん。席替えするまでは隣の席だし、よろしくって言っておこうと思って…」



「そうなんだ…」



「そんな無愛想なやつやめとけよ」



「チッチッ、智紀は女心を分かってないね。無口なのがまたいいのよ。クールな男の人って素敵」



「なんだよ…俺に対するイヤミかよ」



智紀君は完全にすねてしまっている。



「友菜、隣の席なんでしょ?川越君の情報いろいろ集めてくれない?」



「うん。でもあたし川越君に嫌われてるかも…」



「そんなことないって。友菜はあたしと川越君のこと応援してくれる?」



「うん。唯香が初めて好きになった人との恋愛なら、もちろん応援するよ」



「ありがとう友菜。大好きだよ」



「うわぁ」



唯香がいきなり抱きついて来た。



女のあたしからみても素直に自分の感情を表現できる唯香はかわいいな。



まだ川越君がどんな人かよく分かってないし、正直不安な気持ちもあるけど、親友の恋を応援しない人はいないと思う。



本当は智紀君とくっついてほしいけど、唯香が生き生きしている姿を見るのがあたしの日々の活力になってるから、なんとか頑張ってほしいな。



話が一段落した時…



「坂本さん。ちょっと来てくれない?」



誰かが、あたしの名前を呼んでいる。



声のする方を見ると、渡辺先生だった。



「どうしたんですか?」



「ちょっと頼みたいことがあるんだ。川越君のことなんだけど…」



「川越君ですか?」



「うん。川越君に、この学校のこと色々教えてあげてほしいの」



「あたしがですか?」



「本当は担任のあたしがしなきゃいけないんだけど、あたしも今年教師になったばかりで、今は自分のことで精いっぱいなんだ。だから生徒会長だし、川越君の隣の席の坂本さんにお願いしたくて…」



教師とは思えないほど、低姿勢で渡辺先生はお願いをしてくる。



そんな姿を見ていると、嫌われてるかもしれないから無理ですなんて言えないな…



「わかりました。頑張ります」



「ありがとう。よろしくお願いします」



キーンコーンカーンコーン



チャイムが鳴り、渡辺先生は隣の2組に入っていった。



さてあたしも戻りますか。



席に戻ろうとした時、チャイムが鳴ったにもかかわらず、あたしの横を通過していく人影があった。



「ちょっと石原君、どこ行くの?チャイム鳴ったよ」



「あっ!坂本。えっと…トイレ?」



「何で疑問形なの…教室に戻ってよ」



「嫌だね。日本人なんだから、英語なんていらないっしょ」



「またそんな訳分かんないこと言って…」



「悪い、坂本。体調が優れないから、保健室で寝てるって言っといてくれ」



「ちょっと~」



石原君は、去って行った。



石原健斗君はうちの高校では珍しい問題児で、よく授業をさぼっている。



いわゆる不良だ。



不良と言っても、毎日バイクを乗り回すような不良ではない。



背も165cmぐらいしかなくて、不良というよりは悪ガキという感じの人だ。



中学の時からの知り合いで、こうやってときどき話したりもする。



石原君は、なぜか屋上のカギを持っている。



どうせ今日は天気がいいし、屋上にでも行って、ひなたぼっこをしているのだろう。



石原君と入れ替わりで、英語の先生らしき人が、教室に入るのが見えた。



「やばっ」



チャイムが既に鳴っていたのを、すっかり忘れていた。



急いで席に戻った。



「日直の人、号令をかけてください」



[起立、令、着席]



さて教科書出さないと。



あれ?教科書がない?



忘れてきたのかな?



誰かに、教科書を見せてもらうしかないか。



まずは左隣を見る。



左隣の子は今日風邪でお休みだった…



ふと右隣を見る。



川越君は、授業を聞く気がないのだろう。



外の景色を見ながら、物思いにふけっているようだ。



ちらっと、川越君の表情を伺う。



世界をすべて拒絶しているような冷たい目…



あたしが川越君に対して抱いた第一印象。



なぜか、そんな川越君が気になって仕方なかった。



「川越君。悪いんだけど、教科書見せてくれない?」



「持ってねえ」



「そっか…今日転校してきたばっかなのに、教科書なんて持ってるわけないよね…」



「もう放っておいてくれねえ」



「ごめん…」



ううっ…なんかさらに嫌われちゃった気がする…



さすがに、もう話しかける気にはならなかった。



しばらく色々考え事をしている内に、授業が終わる。



でも川越君のこと頼むって言われちゃったけど、具体的に何をすればいいんだろ?



う~ん…



この学校のこと何も知らないわけだから、まずは放課後に校舎案内でもしてあげた方がいいのかな?



さっき思いっきり拒否されたから、話かけづらいな…



「川越君。放課後…」



「友菜先輩」



川越君に話しかけようとしたら、横から聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「あっ!勇気君。どうしたの?」



「こっちに帰ってきてから、光太先輩と会ってなかったんで、会いに来たんです。光太先輩いますか?」



「うん。いるよ」



あたしが川越君と話をしようとしている内に、光ちゃんはすでに唯香の所に行っていた。



「呼んでくるね」



「はい。お願いします」



皆の所まで、歩いて行く。



「光ちゃん、勇気君が来てるよ。何か話したいことがあるんだって」



「わかった。すぐ行く」



2人で、勇気君の所に戻る。



「お久しぶりです、光太先輩。相変わらず爽やかですね」



「褒めても何も出ねえよ。おまえは、何か雰囲気変わったな」



「眼鏡のせいですかね?実は伊達なんですけど」



「野球するには邪魔だから、俺は興味ねえな」



「そういえば、野球続けてるんですよね。今もタイガースファンなんですか?」



「当たり前だ。昔はよく一緒に応援してたじゃねえか」



「はい。でも今は、カープファンなんで」



「そういえば、おまえ、広島に引っ越したんだっけ?」



「そうです。だからこれからは、ライバルですね」



「絶対負けねえし」



7年振りに会った2人だけど、すでに打ち解けている様子だった。



久々の再会で積もる話もあるだろうし、2人きりにしてあげますか。



2人に気づかれないように、静かに教室に戻った。



2人の所に戻ると…



「先だし!」



「後だよ!」



何かもめていた。



2人きりになると、すぐ喧嘩するんだから…



「どうしたの?」



「ちょっと友菜、聞いてよ~友菜は好きな物って先に食べる?それとも後?」



「先だよな?腹いっぱいの時よりも、一口目に好きなものを食う方が、うまさが感じられるじゃねえか」



「後だよ~好きな物を最後の楽しみに取っておくのがいいんじゃん」



「「さあどっち」」



2人がすごい勢いで迫ってくる。



「あまり意識したことはないけど、気づいたら最後に好きな物が残ってるかな。でも人それぞれだし、どっちでもいいと…」



「友菜ちゃん…君だけが最後の希望だったのに」



「友菜ならそう言ってくれると思ってたよ。友菜はあたしの味方だもんね~」



「ちくしょう~」



「あっ!智紀君…」



智紀君は、教室から出て行ってしまった。



「智紀君、ちゃんと授業が始まる前に帰ってくるかな?」



「智紀なんてどうでもいいのよ。さて、あたしの愛しの川越君は何してるかな?」



川越君の机の方を見る。



「あれ?川越君いないね」



「おかしいな…さっきまでいたはずなのに。英語の授業の時はいたよね?」



「うん…」



トイレに行ったのかな?



しかし授業が始まっても、川越君が戻ってくることはなかった。



智紀君は、ちゃんと戻って来たんだけど…



智紀君って意外とまじめなんだよね。



次は国語の授業だった。



渡辺先生が、ぎこちなく授業を進めている。



何か渡辺先生って、不器用なんだよね…



でも一生懸命さは凄く伝わってくる。



「坂本さん」



授業が終わった後、また渡辺先生に呼ばれた。



「何ですか?」



「石原君と川越君、さっきの授業いなかったよね?どこに行ったか知ってる?」



「石原君は、どうせ屋上でサボってるんだと思います。川越君は、どこに行ったかはちょっと分からないですね…」



「川越君、Come Back…」



陽菜は、川越君がいなくなってテンションが急降下しているようだ。



「もし石原君と川越君を見つけたら、教室に戻るように言ってね」



「「わかりました」」



渡辺先生は去って行った。



川越君って不良なのかな?



授業をまじめに聞いている感じもなかったし…



「今から、川越君を一緒に探しに行こうよ」



「ダメ。これから授業があるでしょ?」



「いじわる…」



「昼休みになったら、一緒に探しに行こう。あたしも、石原君探しに行かなくちゃならないし」



「よし。それじゃあ昼休みに、川越君捜索大作戦だ~」



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