幼なじみ
ピンポーン
慣れた手つきで、チャイムを押す。
「は~い」
扉が開き、中から人が出てきた。
「おはよう、友菜ちゃん」
「おはようございます。光ちゃんは起きてますか?」
「ううん。まだ寝てるのよ~」
「やっぱり…じゃあ、あたしが起こして来ますね」
「いつもごめんね。助かるわ~」
朝練のない日は、光ちゃんを迎えに行くのが通例になっている。
光ちゃんは、毎日遅くまで野球の練習していて、疲れて帰ってくることが多い。
しかも低血圧で、朝なかなか起きないため、おばさんも手を焼いている。
そこで、あたしが駆り出されているのだ。
小林光太
通称、光ちゃん。
あたしの幼なじみで、野球部のキャプテンを務めている。
「おじゃましま~す」
光ちゃんの部屋は、2階にある。
階段を駆け上り、部屋をノックする。
コンコン
反応がない…
「光ちゃん、起きてる?入るよ~」
光ちゃんの部屋は、3畳ほどの小さな部屋だ。
阪神タイガースの熱狂的なファンである光ちゃんは、甲子園に通い詰め、選手のサイン入りボール等、様々なタイガースグッズが所狭しと置かれている。
「光ちゃん、起きてよ~」
光ちゃんはあたしの声に反応し、寝返りを打ったものの、起きる気配はない。
こうなったら…
「え~いっ」
勢いよく、光ちゃんの布団を引きはがす。
そして…
「起きろ~」
ドン
鈍い音とともに、光ちゃんの上に馬乗りになった。
「うっ…」
さすがの光ちゃんでも、効き目抜群だったようで、光ちゃんは目を覚ました。
「おはよう、光ちゃん」
「おはようじゃね~よ。早くどけろって」
「光ちゃんが起きてくれるまで、どけない!」
「分かった。起きるから」
光ちゃんを、ようやくベットから引きはがすことに成功した。
「部屋に入って来るなって、いつも言ってるだろ」
「光ちゃんが、起きないのが悪い!」
「じゃあ、外から声を掛ければいいだろ?」
「声を掛けたけど、起きる気配が無かったから入ったの」
「まあいいや。まったく…無防備すぎんだろ…」
「んっ?何か言った?」
「何も言ってねえよ。制服に着替えるから、外に出てろ」
「二度寝しちゃだめだよ?」
「分かってるっての…」
しばらくして、制服に着替えた光ちゃんが出て来た。
階段を降りて、リビングに向かう。
「おはよう、光太」
「おはよう」
「光ちゃん、早く朝ご飯食べてね。学校に間に合わなくなっちゃうよ」
「まだ余裕だっての。早く起こしに来過ぎなんだよ」
「光ちゃんがすぐに起きてくれないから、早めに来なくちゃいけないんじゃん!」
「仕方ねえだろ。朝は苦手なんだから…」
そう言った後、光ちゃんは朝ご飯を食べ始めた。
光ちゃんがご飯を食べている間は暇なので、テレビをつける。
ポチッ
「あっ!占い始まった。光ちゃん、何座だっけ?」
「かに座だよ。付き合い長いんだから、それくらい知っとけよ」
「ごめんごめん、誕生日は知ってても、人の星座は意外と知らないものなんだよ」
[7位は、かに座のあなた。年下の人から、猛烈なアプローチを受けるかも]
「光ちゃんって、学校の後輩に知り合いの女の子っていたっけ?」
「さあな。どうせ占いなんて、信じね~し」
猛烈なアプローチって、何だろう?
さて肝心のあたしは… あった!
[12位はいて座のあなた。何をやってもうまくいかない日。今日は一日おとなしくしておくのが、吉かも]
ガーン…
「最下位とか、だっせ~」
「何よ~占いなんて、信じないって言ったくせに!」
「お前が、占いで落ち込んでるのが面白くて」
「いいの。占いなんて、自分の都合のいいことだけ信じればいいんだから」
「何だよそれ…占いの意味ねえな」
そんな話をしている間に、光ちゃんが朝ごはんを食べ終わった。
「おばさん、行って来ます」
「行ってくる」
「2人とも行ってらっしゃい。気をつけてね」
2人で小林家を後にして、学校に向かった。